VAIOから、ついに第11世代Intel Coreプロセッサを搭載した高機動ビジネス向けモデル「VAIO SX12」と「VAIO SX14」が登場しました。最上位モデル「VAIO Z」の開発にあたって培われた技術が多数盛り込まれているとのことで、デザインやボディの剛性、キーボードの完成度がさらにひとまわり高められています。というわけで今回は、メディア向けに行われた発表会や製品画像を中心に、「VAIO SX12」と「VAIO SX14」をすみずみまで眺めてみようと思います。
製品の仕様については別途初出時のニュース記事をご覧いただくとしまして、なんと言っても最も大きなトピックは第11世代Intel Coreプロセッサの搭載です。一部モデルを除いてIntel Evo Platformに準拠し、高いグラフィックス性能による快適な操作感や、高速なスリープ復帰、最大30時間というスタミナ性能を担保。最新世代とはいえ登場からやや時間が経った感のあるプロセッサですが、個人的に注目なのはCeleron搭載モデルも選択できるところ。高性能で高価格なものだけではなく、VAIOの高機動モデルをリーズナブルな価格で手に取れるようになったというわけです。
12型ノートPCの最右翼「VAIO SX12」を眺める
小さな12.5型ディスプレイを採用する「VAIO SX12」から見ていきましょう。かなり当たり前ではありますが、ひと目見て「すごい小ささだ」と感じるくらいにはコンパクト。今回お借りしたのはクールな印象のホワイトです。
やはり特筆すべきは、12.5型というコンパクトなボディにもかかわらず、極めて優れたレイアウトのキーボードを搭載しているという点です。コンパクトなボディの横幅いっぱいにキーが広がっており、キーピッチはとても広々としています。電源ボタンは押し間違えにくい上部に配置され、十字キーの「↑」キーは左右が空いたベストな仕様。もちろんパンタグラフユニットはVAIO Zから引き継いでおり、深々としたストロークを備えて快適な打鍵を行えます。
ただ、どうしてもタッチパッドが若干狭い点が実用性とデザインの上でやや気になります。というのも、キーボード最下列は必要以上に縦長すぎる気がしており、これをもう少し縮めつつタッチパッドを上下左右にもう少し広げられれば、よりモダンな印象に仕上げられそう。さらに難癖をつけるとすれば、パームレスト面がシルバーなのもやや疑問。ここは家庭用の「VAIO FL15」同様、キーボードもパームレストも白に統一したほうがスタイリッシュさをさらに高められそうな気がします。
外観はさておき、両側面に目を向けてインタフェースをチェックしてみましょう。やはりThunderbolt 4端子の採用で映像出力や給電、高速なデータ転送などを一挙にサポートした点が大きなポイント。それでいてHDMI端子やLAN端子を排除せず、コンパクトモデルながら極めて高い周辺機器との接続性を確保しています。
重量は実測値で895g。ここまで軽量だと完全に片手でヒョイと持ち上がるという感じで、リュックや手提げ、バッグの形態を問わず快適に持ち運ぶことが可能です。
触ると本当に欲しくなってしまうVAIO SX14
続いて、VAIO SX14についても見ていきましょう。これまで少ないながらもあれこれとノートPCを見てきましたが、いざ触って「本当にほしいな」と真剣に思わされた製品はたぶんこれが2回目。まずは写真で製品外観をご覧ください。
VAIOといえばディスプレイを開くとキーボードがせりあがり、素晴らしいレイアウトで快適に文字入力を行えるノートPCとして極めて有力ですが、本機ではその魅力にさらなる磨きがかかっていると言えるでしょう。VAIO Zで開発されたパンタグラフキーボードユニットを継承し、キーストロークは約30%も深くなった約1.5mmに。キートップにはフッ素含有UV硬化塗装で耐指紋防汚機能を備え、さらに打ちやすく凹んだ形状で吸い付くような打鍵感を実現しています。
なお、キーボードのフレーム部では肉抜きを施すことで、高性能プロセッサの搭載で増加した重量を相殺する新しい試みも行われているとのこと。発表会ではその部材を眺めることができました。
内部構造といえば、新しい冷却機構の採用も見逃せません。これまでは1本だったヒートパイプが3本に増加し、うち1本はプロセッサへの給電用電源回路の冷却を担当。これに伴って増加した重量を相殺するため、冷却機構をカバーするシールドの肉抜きをより細かいものにしたという必死の努力についても紹介されていました。
今度はボディ側面に目を向け、インタフェースをチェック。新生VAIOはビジネス向けモデルであることを強くアピールしていたこともあり、2020年発売の前VAIO SX14では映像出力端子としてVGA端子まで備えていましたが、新モデルでは廃止に。充電・給電用端子も廃されてThunderbolt 4端子に統合され、やっと最近のモダンなノートPCらしくなったと言えそうです。それでいて、HDMI端子やLAN端子をしっかり続投して搭載しているところもポイント。ユーザービリティを損ねたモダン化を推し進めるのではなく、しっかりとした取捨選択が行われていることを伺わせます。
最後に重量を計測してみると、実測値で1,010gという結果に。一般的な14型ノートPCでは1.2~1.3kgという重さのものも少なくない中で、なかなか軽量な仕上がりになっていると言えるでしょう。
勝色仕様の「VAIO Z」も登場!
なお、VAIO社は今年で設立7周年。これを記念した特別なプレミアムエディション「勝色特別仕様」が数量限定でVAIO SX12、VAIO SX14、VAIO Z各モデルで展開されています。深く濃い藍色である勝色はVAIOのコーポーレートカラーで、いずれも共通して天板に採用されているカーボン素材が際立つように塗装。個体ごとに違った表情になっているとのことです。
VAIO SX12とVAIO SX14ではほぼ同じ仕様で塗装が行われていますが、最上位モデルのVAIO Z勝色特別仕様では表面に光沢UVコーティングを施すことで、ツヤツヤのピカピカになっています。指紋の付着が気になりそう、という考えを見透かすように勝色の専用クリーニングクロスを同梱するとのこと。手持ちの荷物で統一感をしっかり維持できるというわけです。
最新構成でモダンになったVAIOシリーズが出揃う
同社主力モデルであるVAIO SX12とVAIO SX14に先行し、第11世代Intel Coreプロセッサ(しかも高性能なTiger Lake-H)を搭載してVAIO Zが登場したのが今年2月。半年ちょっと遅れるかたちで、ついに第11世代Intel Coreプロセッサを搭載するVAIO SX12とVAIO SX14が出揃いました。
個人的に最もポイントなのは、インタフェースの取捨選択が行われた点だと思います。というのもさすがに2020年時点でVGA端子はあまりにレガシー過ぎ、使用頻度で敬遠されていた面も少なくなかったのでは…と感じるため。VAIO SX12とVAIO SX14なら、両製品ともに素晴らしい機動力を備えつつ、ビジネスシーンを強力に戦っていける力強いパートナーになれるでしょう。