東京大学は10月12日、在宅勤務が「イクメン化」を促進するという因果関係を実証したと発表した。発表者は、東京大学 大学院経済学研究科 経済専攻 博士課程の井上ちひろ氏、デューク大学経済学部 博士課程の石幡祐輔氏、東京大学 大学院経済学研究科 経済専攻 教授の山口慎太郎氏。

三氏による研究チームは、子どもを持つ男性にとって、在宅勤務を行うことが家族とのかかわり方に与える影響を推定した。その結果、在宅勤務を行う日が週1日増えると、男性の家事・育児にかける時間が6.2%、家族と過ごす時間が5.6%増加し、仕事よりも生活を重視するように意識が変化したと回答する割合が11.6%上昇することが明らかになった。これらの結果は、在宅勤務が行動・意識の両面で男性の家族志向を高めることを示唆するという。しかも、生産性の低下は認められていないとのことだ。

  • 在宅勤務が週1日増えることがもたらす効果 引用:東京大学

研究チームは、今回の研究が、少なくともテレワークできる業務の割合が多い男性について、平均的には、在宅勤務が仕事の生産性を低下させることなく家族志向を高めることを示したと分析している。

これまでの在宅勤務に関する研究の多くは女性の仕事と家庭の両立に着目しており、男性の行動・意識両面における家族とのかかわりへの影響は明らかになっていなかったという。

男性の家事・育児参加の促進は、出生率向上・少子化解消につながる重要な社会的課題であり、研究チームは、今回の研究の結果はコロナ禍終息後のあるべき働き方について示唆を与えるものとしている。