Gartnerが発表した2021年第3四半期の世界PC出荷台数の予測によると、新型コロナ禍の過去18カ月に比べて出荷台数の伸びが大きく鈍化した。原因の1つは、テレワークやリモートワーク向けにPCを買い急いだ需要が落ち着いたこと。もう1つは、半導体不足と物流危機に起因する供給の逼迫だ。PC部品の不足は2022年前半まで続く見通し。PC市場では「Windows 11」のリリースが大きなニュースになっているが、新製品の新規購入より買い換えが現在のPC需要の中心になっており、今年のホリデーシーズンのPC出荷台数が昨年を下回る可能性を指摘している。

2021年第3四半期の世界PC出荷台数(暫定値)は8414万7000台、前年同期比1.0%増。Gartnerは今回の予測からChromebookをPC出荷台数に含めている。

  • 2021年第3四半期のベンダー別世界PC出荷台数(暫定値)

    2021年第3四半期のベンダー別世界PC出荷台数(暫定値)

米国における公立学校の対面授業の再開など、消費者および教育機関の支出がPCから他の優先事項へとシフトし始めてPC市場の勢いが鈍った。学校での利用を中心としたChromebookの出荷台数は前年同期比17%減だった。これは2011年にChromebookが登場してから初の二桁減。

一方で、経済回復やオフィスの再開などを背景に、ビジネスPCの需要は引き続き堅調に推移している。ただし、半導体不足がノートPC供給のボトルネックになっており、ビジネスPCの伸びはデスクトップPCに集中している。

ベンダー別のトップはLenovo(1994万5000台、前年同期比1.8%増)。HP(1762万4000台、同5.8%減)、Dell(1524万2000台、同26.5%増)が続く。トップ3の顔ぶれは前年同期と同じ。HPは、Chromebook需要の減退によって米国の出荷台数が30%減だった影響から2四半期連続の減少になった。

地域別では、5四半期連続で二桁成長を続けてきた米国が前年同期比8.8%減。ビジネスPCの需要でデスクトップは同8%増だったが、例年だと9月の新学年度スタート前に売り上げが伸びるコンシューマ向けが振るわず、ノートPCとChromebookが同10%減だった。Gartnerによると、米国の教育市場で生徒1人あたりのデバイス数の割合が1対1に近づきつつある。

EMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)は前年同期比11.8%増。アジア太平洋が同5.7%増だったが、日本は大幅に減少した。小中学校における1人1台の端末環境整備が進んだことに加えて、世界の動きに比べて日本企業がハイブリッドワークに消極的であることを原因に挙げている。