今ではすっかり一般的になったつみたてNISA。とはいえ、月々いくらくらい投資したらいいのか、実際どれくらいお金が増えるのか、明確に答えられる人は少ないのではないでしょうか?

今回は「つみたてNISAで月2万円の積み立てをすると、10年間でどれくらいお金を増やせる?」というお悩みについて、年間100人以上のクライアントのお金の悩みを解決しているマネープランナーズの裏門春菜が解説します。

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月2万円のつみたてNISA、10年間でどれだけ増える?

ご相談者さんの状況

相談者:高橋さん(仮名)
    女性・27歳・会社員・年収450万円・投資経験はつみたてNISAとDC

お悩み

つみたてNISAを昨年から始めました。きっかけは同僚がやっていたのと、YouTubeでオススメされていたからです。

楽天証券のアプリからなんとなく始めましたが、増えている感じはありつつも、本当にこの先も増え続けるのか心配です。また、増えているといっても総額がどれぐらい貯まるかが分からないため、このまま続けていいのか不安です。

今積み立てている2万円が10年間でいくらまで増えるのか教えていただきたいです。

FPの回答

そもそもつみたてNISAって?

つみたてNISAとはあくまでも投資の『制度』です。投資を行い利益が出ると、通常は利益に対して課税されますよね。つみたてNISAでは、政府が国民の投資の後押しのために20年間は利益に対して非課税措置を取る仕組みになっています。

つまり、つみたてNISAを利用するだけでは収益は見込めないため、積立金を何で運用しているかが大事になってきます。つまり、運用先によって収益は大きく変わるということです。

運用先とは?

運用先とは、具体的に言うと「運用するファンド」です。

ファンドは別名「投資信託」といわれ、日本で購入できるファンドは現在約6000種類存在します。

つみたてNISAでは、その6,000種類の中から金融庁がピックアップした199種類を購入することが出来ます。

ですので、199種類の中から目的に合ったファンドを選ぶ必要があります。

平均収益率3%のファンドで運用したら?

もし、高橋さんのファンドが平均収益率※3%のものだったとしたら、シミュレーションは下記のようになります。

毎月2万円、期間10年間を、平均収益率3%で運用した時のシュミレーション
積み立て金総額:2,400,000円
運用収益:394,828円
合計:2,794,828円

このように、10年間だと394,828円の収益を出すことが出来ました。

※収益率(リターン)を年あたりの年利「年換算利回り」に換算した数値。年当たり収益率をみるときには「平均」を使用するが、「算術平均」と「幾何平均」の2パターンで計算できる。今回は「幾何平均」を使用する。

ダウンサイドリスクに注意

先述での平均収益率3%とは比較的、収益性の良い運用結果と言えます。ただし、収益性の高い銘柄にはその分ダウンサイドリスクが伴います。ダウンサイドリスクとは「下振れリスク」「下方リスク」ともいい、損失の度合いによっては元本割れする可能性もあることも理解しておくことが大事です。

ファンド選びのポイントは?

ファンドの選び方

ファンドによって収益が大きく変わってくると解説しましたが、どのように購入するべきファンドを見極めたらよいのでしょうか。見るべきポイントは3つです。

(1)運用手法
(2)アセットクラス
(3)手数料

(1)運用手法

投資信託の運用方法は2つ、「インデックス型(パッシブ型)」「アクティブ型」に分けられます。

インデックス型は日経平均株価やTOPIXのようなベンチマークとする指標と連動する運用成果を目指す運用手法のことで、一般的に運用にかかるコストが低いと言われています。また運用成果が指標と連動する傾向にあるため、運用状況が分かりやすいというメリットもあります。

アクティブ型とは、ベンチマークを上回る運用成果を目指す運用手法です。ファンドマネージャーと呼ばれる運用のプロが、市場分析や企業調査など様々な情報収集を行い独自の割合で株式等に投資するため、インデックス型と比較し運用にかかるコストが高いと言われています。コストは高いですが、運用が上手くいった場合にはインデックス型よりも大きな運用成果を得られる可能性があります。

(2)アセットクラス

アセットクラス(資産クラス)とは、投資対象となる資産の種類や分類のことです。

アセットクラスを「資産」と「地域」に分けて、それぞれのリスク・リターンで分けると以下のようになります。

リスクとリターン
【資産】
株式 > バランス型 > 債券
【地域】
新興国 > 先進国(日本以外) > 日本国内

このように、アセットクラスごとのリスクとリターンを理解しながら運用先を決めることが大事です。

例えば、収益性を重視して運用したい方が、資産「債券」&地域「日本国内」という運用を行っていても、期待する収益性は見込めない可能性が高いです。

(3)手数料

つみたてNISAでは、通常の投資信託に比べて信託報酬が低く、購入時手数料も0円(ノーロード)のファンドに限定されています。

ただ、ファンドによっては、解約・換金時の手数料(信託財産留保額)が必要な場合もあるため、確認が必要です。

ただし、手数料だけ気にしていても、運用益がでなければつみたてNISAのメリットは享受しづらいため、ある程度手数料がかかってもその分増えるファンドを選ぶことも大事です。

この記事を執筆したファイナンシャルプランナー


裏門春菜(うらもんはるな)
所属:株式会社マネープランナーズ

2級ファイナンシャルプランニング技能士
鳥取県出身。
新卒で上場ITコンサル会社に入社し、大手企業向けにECコンサルティングを担当。
その後、保険代理店で主に個人のお客様を中心にマネーコンサルティングを行う。
現在は保険だけでなく、不動産や運用・ライフプランニングのスキルを取得し20代・30代中心に総合的なコンサルティングを行っている。