JR西日本は10月11日に実施した社長記者会見にて、地震発生時に乗客を速やかに降車させるため、新たなルールと細かい範囲で震度を推定できる新システムを導入したことを発表した。
2018年6月に発生した大阪北部地震では、150本を超える列車が駅間で停車し、乗客約14万人を降車させるのに最大6時間近くの時間を要した。このときの課題をもとに、地震発生時になるべく早く乗客を降車させる対策を2つ導入したという。
ひとつは、指令所から一括して送られる規制に関する情報を各乗務員が自ら確認して対処できる「新ルールへの見直し」。地震が発生して列車が停止した場合、乗務員は指令所から送られてくる「規制区間別路線図」により、規制レベルが「停止規制」「徐行規制」「規制なし」のいずれに該当するかを確認する。続いて「徐行規制」「規制なし」の場合は、次の駅まで15km/h以下の徐行で列車を移動させる。これにより、乗務員は指令所と個別にやり取りすることなく、次の駅まで速やかに列車を移動させることが可能となり、駅間で長時間停車するケースを減らせるという。この取扱いは、今年6月から大阪総合指令所で管轄する京阪神エリアを中心に実施しているとのこと。
もうひとつは、細かい範囲で震度を推定できるシステムを導入し、移動可能な列車を特定する取組み。従来から使用している鉄道地震計は約40km間隔で設置し、震度を計測していたが、新システム「ダイザー」は500m間隔で震度を測定できるという。これにより、鉄道地震計で「停止規制」と判定されても、「ダイザー」でより細かい範囲の震度を確認して問題がない場合、次の駅まで徐行で移動し、駅での降車を案内することが可能となる。
「ダイザー」は今年6月から東海道本線や大阪環状線などで導入しており、次の駅までの列車移動の判断に「ダイザー」を活用する取組みはJR西日本が初めてとのこと。