ビジネスパーソンが“今読むべき本”を厳選し、要約してそのエッセンスを伝える「flier(フライヤー)」。最新のトレンドを学んだり、読みたい本を見つけたりするためのツールとして、累計87万人のユーザーに活用されています。

この記事では、flierを利用する意識の高いビジネスパーソンの中でも特に、20代~30代のユーザーが今、リアルに読んでいる本とその傾向を紹介します。同世代のビジネスパーソンは今、どんな本を読んでいるのでしょうか? なぜその本が選ばれたのでしょうか? 気になった本があれば、ぜひチェックしてみてくださいね!

「2着で1万9800円」のドレスをつい買ってしまう理由

9月、20代~30代に一番読まれたのは、『サクッとわかる ビジネス教養 行動経済学』(阿部誠監修、新星出版社)でした。

伝統的な経済学では、人間は常に合理的な判断をするものとされています。たとえばあなたが、友人の結婚式で着る安価で素敵なドレスを探しだし、そのドレスを着こなすためのダイエットを決心するとしましょう。これは合理的な行動だといえます。

一方、私たちは時に非合理的な判断をすることがあるのも事実です。1万5000円のドレスを買おうとしていたところ、「2着で1万9800円」という表示が目に入ったら、思わず2着買ってしまう方も多いのではないでしょうか? 結婚式では1着しかドレスを着られないのだから、2着購入するのは合理的な行動だとはいえないにもかかわらず、です。行動経済学は、こうした人間の矛盾した行動に焦点を当てる学問です。

行動経済学的な事例をもうひとつ紹介しましょう。水を加えて混ぜるだけでおいしいホットケーキミックスが発売されたものの、あまり売れませんでした。これを、卵と牛乳を加える通常のホットケーキミックスに戻したところ、よく売れるようになったといいます。いったいなぜでしょうか?

理由は2つあります。1つ目は、人間は自分が苦労して手を加えたものに対しては価格以上の価値と愛着を感じるものだから。もう1つは、手間いらずのホットケーキミックスが「家族から手抜きだと思われるかもしれない」と敬遠されたからです。どちらの理由にも納得できるのではないでしょうか。

本書では行動経済学について、身近な事例を交えながら、「サクッとわかる」形で解説されています。自分の行動や選択と照らし合わせつつ、新たな学問の世界をのぞいてみませんか?

社内で「自分らしさ」をうまくアピールするには?

2位は、『「スルーされない人」の言葉力』(ひきたよしあき、大和出版)でした。

あなたは、自分の「言葉力」に自信がありますか?もしイエスと断言できないなら、本書の主人公とともに、「言葉力」をトレーニングしてみましょう!

大手スーパーマーケット「ダイワ・フーズ」に勤めるバイヤー、中田晴。業務のあらゆる場面で社内外とのコミュニケーションが発生するのですが、言葉力が低く、思うように成果が上がっていません。

そんな晴のところに、救世主・エドが現れます。エドは晴が子どものころに飼っていた愛犬で、晴の言葉力をアップさせるために過去から戻ってきてくれたのです。

エドは晴に、「相手の頭の中に印象的な写真を貼り付けよう」とアドバイスします。たとえば料理好きの晴なら、「キャベツの千切りでストレス解消をしています」とアピールするのです。「料理好きなら結構アピールしているよ」と思うかもしれませんが、「料理が好きな中田晴」よりも「ストレスが溜まるとキャベツの千切りをする中田晴」のほうが、確実に相手の頭の中に残るでしょう。

これを自己紹介で話したりSNSに投稿したりして料理好きをアピールすれば、「料理好きの中田晴」というイメージが浸透します。すると、料理にまつわる、自分らしさを生かした仕事が自然と集まってくるはずです。

このように本書は、ストーリー形式で、言葉力を自然とアップできる一冊となっています。自己紹介やプレゼン、企画立案など、役立つシーンも具体的に示されているので、仕事の成果に直結すること間違いなし!

やる気がでなくても仕事をサクサクこなす2つの方法

3位は、『今日がもっと楽しくなる行動最適化大全』(樺沢紫苑、KADOKAWA)でした。

本書の著者は、『学びを結果に変えるアウトプット大全』などのベストセラーの著者でもある、精神科医の樺沢紫苑氏。本書では、脳科学などの観点から、一日のさまざまな行動を最適化するための方法が紹介されます。

「仕事の最適化」で紹介されるのは、やる気が出てくるのを待つのではなく、とにかく行動に移すこと。部屋の掃除をする気が起きなかったが、少しずつ片付けているうちにいつの間にか夢中になっていた……そんな経験はないでしょうか。やる気が湧かなくても、とりあえず行動をはじめれば、だんだん気分が盛り上がって集中できるものなのです。

また、仕事をはじめるときのルーティンを決めるのもおすすめです。著者のルーティンは、机に向かったらまず「TO DOリスト」をつくること。このルーティンを毎日繰り返すことで、やる気のあるなしにかかわらず仕事にとりかかれるようになるはずです。

脳科学的に最適な行動を選んで、貴重な時間をもっと有益なものにしませんか? ほんの少し行動を変えるだけで、生活がガラリと変わるはずです。

ビジネス書から、ビジネスのヒントを得よう

今回も、現在の自分の姿と向き合い、さらなる成長を遂げようとするビジネスパーソンの姿が見えるようなランキングとなりました。

本の要約サービスflierには、他にも、ビジネススキルを磨きたいときや自分とじっくり向き合いたいときに役立つ書籍が多くそろっています。9月のランキングでは、『伝える準備』(藤井貴彦、ディスカヴァー・トゥエンティワン)や『説明の一流、二流、三流』(桐生稔、明日香出版社)、『脱! 残念な考え方』(幸本陽平、自由国民社)などがベスト10にランクインしました。

来月はどのような本が注目を集めるのか、楽しみにしていただければ幸いです。