• ZV-E10(ホワイト)

いわゆる“ハイエンドコンデジ”がすっかり定着して久しい昨今、スマートフォンのカメラ性能も向上し、驚くほどキレイな写真や動画を簡単に撮影できるようになりました。

また、YouTubeやTikTokなどで動画コンテンツをインターネット上に公開しているという人も珍しくなく、多くの人が簡単にクリエイター側に立てる時代、といっても過言ではないでしょう。

そんな“ハイクオリティな動画”を“手軽に”という時代を象徴するようなアイテムがソニーから登場しました。αシリーズのブランドを冠した「VLOGCAM ZV-E10」(9月17日発売/ボディ単体:実売78,000円前後)です。

ZV-E10でYouTuber風の動画を撮ってみた

Vlog――ビデオログ(※)に特化したデジカメといえば、同じくソニーから「VLOGCAM ZV-1」(2020年発売)が発売されています。サイバーショットなどの流れを汲んだ、単体で扱いやすいコンパクトなモデルです。

(編注:旅行の様子やガジェット紹介といった自分の好きなことを、ブログなどで文章で表現する代わりに、YouTubeなどネット上に投稿する動画としてまとめたもの)

  • VLOGCAMシリーズのZV-1(左)とZV-E10(右)を並べたところ

ZV-1が上記で言うところの“手軽に”を重視した機種とすれば、ZV-E10は“ハイクオリティな動画”を重視した機種といえます。レンズ交換などの機能が追加され、VLOGCAMのとっつきやすい要素はそのままに、より本格的に使い勝手をカスタマイズできるようになりました。

スペックの紹介やZV-1との簡単な比較を含めた、ZV-E10のファーストインプレッションについては、製品発表時のレポート記事をご覧ください。

今回は、ZV-E10のレンズキット(実売89,000円前後)を実際に使ってレビュー動画を撮ってみました。ソファに座り、カメラに向かってトークを展開する、いわゆるYouTuber的なスタイルの動画です。ZV-E10には、手元の小さなアイテムもキレイに撮影できる「商品レビュー用設定」など、さまざまな撮影シーンを想定した機能が備わっています。フィックス(固定)での撮影であっても、スマートフォンより一段上の動画を撮れること間違いナシです!

  • ZV-E10を撮影位置にセット

スマートフォンでの撮影の場合、キレイに撮れるアウトカメラで撮影するか、画面を確認しやすいインカメラで撮影するかが悩みどころですが、本製品では液晶画面が180度近く開くおかげで、自撮りであっても快適に撮影できます。Vlog用途では地味ながら外せないポイントですね。

  • 工藤氏の動画撮影風景

上記の環境で実際に撮影してみた動画がコチラ。

音声収録はカメラの内蔵マイクのみで、外付けマイクなどは使っていません。撮影した部屋では、窓の外の環境音などもそこそこ聞こえていましたが、実際に撮ってみると良い感じに声を聞き取りやすく拾ってくれていることがわかると思います。ただし、指向性が広いため、狭い室内だと少しリバーブが気になるかも。本体側面にはマイク端子も用意されているので、撮影環境に応じて内蔵マイク・外付けマイクを使い分けると良いでしょう。

ちなみに、シューには付属のウインドスクリーンを装着することができるので、屋外での撮影でも安心。風切り音や環境音を気にせずに撮影できます。

  • 付属のウインドスクリーンを装着したところ

一般的なカメラやスマホの内蔵マイクはこの辺りが弱いだけに、付属品で手軽に対応してくれるのは助かりますね。ウインドスクリーンを付けたままでもすべての操作を行えるので、ホットシューを使わないのであれば、装着したままで運用してもいいかもしれません。

ZV-E10は手ブレ補正機能(電子式)も非常に優秀なので、何の心配もせずに屋内外問わずガンガン使えちゃいます。撮影はオート設定で行いました。ライティングは天井のシーリングライトと窓からの自然光のみでしたが、かなり明るくキレイに撮れています。

  • 天井のシーリングライトと窓からの自然光のみでも明るく撮れている

手元のアイテムへのフォーカスも素早く正確。背景も美しくボケています。単純に画としても質が高いですし、レビュー動画においては商品に目が行きやすいのもイイですね。

  • iPhoneをレビュー商品の例として使用。手元に素早くピントが合い、背景もキレイにボケる

フィックスで動画を撮る場合はあまり使いませんが、ズームリングによるパワーズームの制御も非常にスムーズ。手持ちでの撮影時など、細かなニュアンスもしっかりと伝えてくれます。

  • レンズキットに同梱のパワーズームレンズは、ズームリングとズームレバーで焦点距離をスムーズに変えられる

  • APS-Cサイズで有効約2,420万画素のExmor CMOSセンサー(右)を搭載。レンズマウントはEマウント

物撮りやWeb配信でも活躍、1台で何役もこなせる

続いて、ZV-E10の目玉ともいえるレンズ交換を試してみます。室内での撮影程度であれば1本で済んでしまうのでは? と思うほど、キットレンズの映りも悪くないのですが……。

  • APS-C用のマクロレンズ「E 30mm F3.5 Macro」を装着したところ

APS-C用のマクロレンズ「E 30mm F3.5 Macro」(SEL30M35)を装着してみました。ZV-E10自体がかなりコンパクトなこともあって、小さめのレンズであるSEL30M35がむしろちょっと大きく見えるのが面白いですが、デザイン的には違和感なく馴染んでいます。

イヤホンを撮影してみると下の写真のような感じで、物撮りもカリッとキレイに撮れました。用途に応じてレンズを使い分けられるのがレンズ交換式の良いところ。動画メインのカメラであっても、普段の動画撮影はキットのズームレンズ、動画に挿入する写真はマクロレンズ……といったように、撮る対象や環境などに応じてパパッと切り替えられるのは大きなメリットだと感じました。

  • ソニーのイヤホンを静止画で撮ってみた

また、ZV-E10をPCとUSB Type-Cケーブルで接続することで、Webカメラとして使えます。こちらも上記のメリットを生かしつつ、オンライン通話や動画配信など、さらにカジュアルで幅広い用途に使えるのが嬉しいですね。テレワークでWebカメラの需要が高まりつつある昨今、1台で何役もこなしてくれるのは頼もしいところ。

  • ZV-E10はUSB Type-C端子を装備。PCとケーブルでつないでWebカメラとしても使える

「USB給電」を入にすることで、USBケーブルを電源につないでカメラのバッテリーを充電することもできます。最近は身の回りのほとんどのデバイスをUSBで充電している人も多いと思いますので、スマートフォンやワイヤレスイヤホンなどと同じ感覚で充電できるのはありがたいポイントですね。

  • メニュー画面からUSB給電の設定を入(オン)にしたところ

Vlog入門カメラに最適。レンズ交換&撮影の勉強にも

以上、ZV-E10の試用レビューでした。コンパクトかつシンプルなプロダクトデザインと、レンズ交換式ならではの拡張性により、ちょっとしたVlogや動画配信、本格的な映像撮影まで幅広くこなしてくれる万能なカメラです。

一眼レフやミラーレスに慣れている方であればすぐに使いこなせると思いますし、難しい設定をせずに簡単に使いつつ、レンズ交換による色んな撮影も勉強してみたい! という方の入門的なカメラとしても最適。多くの方にとって「持っていて損はないな」と思わせてくれる魅力がありました。

それこそ、こうして記事を書いたり動画を撮ったりしている僕のような人間にはジャストで刺さる製品かも……。同じく刺さってしまった方は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。