女優・松本まりかが新ドラマ『それでも愛を誓いますか?』(ABCテレビ毎週日曜23:25~、テレビ朝日毎週土曜26:30~※TELASAで全話配信)で演じるのは、結婚8年目で夫とは5年間セックスレス、結婚を機に仕事を辞めて以降キャリアもないという主人公の純須純(すみす じゅん)、35歳。悩み、揺れ、葛藤する“求められていない女性”を圧倒的なリアリティで描いた今作について、松本は「たまにはビシッと言ってくれる、『頑張りなさいよ!』とお尻を叩いてくれる作品があってもいいんじゃないかな」と表現する。

  • 女優の松本まりか 撮影:宮田浩史

    女優の松本まりか 撮影:宮田浩史

■完成された原作へのリスペクト

原作は、電子コミックサイト「めちゃコミック」で1,500万ダウンロードを突破し、2020年上半期総合1位&年間総合2位を獲得した同名漫画(萩原ケイク氏)。松本は「原作は、『よくぞ私たちの気持ちを分かってくれた』と救ってくれる作品だったと思います。救いを求める人にとっては原作が最高潮でそれ以上はない。一方ドラマは、甘えさせてくれない作品になりました」とドラマ版の立ち位置を語る。

物語の主人公は、多くの共感を得るために“正しく”“いい人に”描かれることが多い。しかしドラマ版の純は「女っぽかったり、人のせいにしたり……。見た人が『私は、他人からこう見えているのか』と同族嫌悪や共感性羞恥を覚えてしまうほど自分のダメなところを客観的にまざまざと見せつけられて、指摘されているような気持ちになるかもしれない」と王道の主人公像から逸脱していることを明かし、演じている松本自身も「目を背けたくなるようなところがたくさんある」とキッパリ。

「ラブストーリーなのに、共感しにくい主人公をやるのはハードルが高い」と葛藤を抱えた心のうちには、「萩原先生が命がけで書いている作品」と話すほどの原作への大きなリスペクトがある。「原作の純の印象が強かったから、演じているとつい原作に寄せて見せてしまいそうになりました。でも監督から原作の純より『もっとウジウジしてください』『もっと女っぽくしてください』と言われて」とドラマにはドラマの役割があることを再認識したという。

■リアルな厳しさを描く裏に大きな愛がある

「ドラマでは純を批評的に描いている一面もあるので、そういった意味でもチャレンジングであると伝えたい」と原作と違うアプローチを“挑戦”だと捉え、「ドラマ版の純を受け入れて演じきることは、私とってもすごく大事なことだと思いました。女性監督ならではの厳しさでリアルな女性を描いていて、そこには大きな愛がある。女が強く生きていくためには、痛みも必要ですから」と監督の意図を説明。そして“女性には、痛みや厳しさが必要なときもある”と自分に言い聞かせるように繰り返し、「ここは記事にも書いておいてくださいね(笑)」と笑顔を見せた。

そんな主人公だからこそ、「相手やまわりのせいにしても人生が前に進むことはない。『状況を変えるには、自分が頑張るしかない』と気付かせてくれると思う」と、成長していく姿には一層の現実味を感じさせる効果もある。ただしその発見には“成長痛”が伴う。「傷を癒してくれるドラマを求めている人は多いと思います。でも、このドラマは辛口なんです。たまにはビシッと言ってくれる、『頑張りなさいよ!』とお尻を叩いてくれる作品があってもいいんじゃないかな」。