新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、テレワークが普及したことで、Web会議は必須のビジネスツールとなった。さまざまなWeb会議ツールの利用が拡大したが、中でもZoomは利用が急増した。標準の機能でも十分使い勝手のよいZoomだが、操作性を向上するアドオン製品が続々と登場している。そこで今回、Zoomの認定ディストリビューターであるSB C&Sに、Zoomをもっと快適に使うことを可能にする機能やサービスを紹介してもらった。
会議の一体感を醸成するZoomの機能「Immersive View」
初めに紹介するのは、Zoomが提供している機能である「Immersive View」だ。これは、ホストが参加者を同一のバーチャル背景に配置する機能だ。Immersive Viewを使うと、すべての参加者が1カ所に集まっているような感覚で、バーチャルなミーティング スペースでつながり、コラボレーションすることが可能になる。
背景は、クラスルーム、役員室、大会議場、友人との待ち合わせ場所など、複数用意されているので、用途に応じて選択できる。ただし、Immersive ViewはZoom 5.6.3 以降でのサポートとなるので(無料アカウントも対応)、対応していないバージョンを使っている人の背景は変わらない。
ICT事業本部 クラウド・ソフトウェア推進本部 リカーリングビジネス推進統括部 リカーリングビジネスマーケティング部 リカーリングマーケティング1課 榊原大輔氏は、Immersive Viewについて、「Zoomの会議では、顔が見えない人もいれば、ミュートにしている人がいて、対面の会議とはやはり違います。しかし、背景を統一すれば、同じ部屋にいるかのような感覚、会議に参加しているという感覚が得られます」と語る。
また、ICT事業本部 クラウド・ソフトウェア推進本部 リカーリングビジネス推進統括部 リカーリングビジネスマーケティング部 リカーリングマーケティング1課の水野旭海氏は、「私はビデオフィルターをお勧めします」と話していた。この機能で、ヒゲや眉毛、唇の形や色を調整できる。また、外見補正で美肌効果を設定することもできる。
会議のDXを進める、議事録ツール「ZMEETING」
次に紹介するのは、Hmcommが開発したWeb会議の音声をテキストにしてくれるツール「ZMEETING 」だ。Zoomをはじめ、Microsoft Teams、Google Meet、Cisco WebexなどのWeb会議システムと同時並行で利用できる仕様となっている。
ZMEETING はWeb会議ツールと並行して使うことで、AIを活用してリアルタイムで発言を発話者別にテキスト化すること、発話している音声の音量や音質などから感情を認識して顔記号で表示すること、録音した音声ファイルをテキスト化することが可能だ。テキスト化されたデータはリアルタイムで修正することもできる。ちなみに、音声認識の精度は85%~99%であり、ユーザーからは「精度がよかった」という声が届いているという。
多言語対応もZMEETING の強みだ。参加者がそれぞれ自分の発話言語と表示言語を設定でき、例えば、相手が英語で話しても、日本語で表示することができる。現在、英語、中国語(簡体字・繫体字)、韓国語に対応している。
ICT事業本部 システム基盤推進本部 プラットフォーム推進統括部 販売推進部 NVIDIA&AI販売推進課の丸山香織氏によると、ZMEETING は、「毎日、議事録を出さなければいけない」「残業してまで、議事録を出すのは非効率」といった企業の悩みに応える形で、開発されたという。
開発元のHmcommは同社のAIの協業パートナーで、ZMEETING の基となる製品(Vミーティング)から半年かけて、同社は開発に協力したそうだ。丸山氏は「AI系スタートアップによる汎用的なプロダクト化やサービス化は難しく、売れる製品を作っているAI企業は少ないです」とも語る。
Web会議で自社の機密に関わる話をする場合、議事録の漏洩を懸念するケースもあるだろう。丸山氏は競合製品に負けない点として、セキュリティを挙げる。
ZMEETING はデータをクラウドに保存しており、閲覧やダウンロードが可能だが、それは参加設定したユーザーのみとなっている。クラウド上の議事録は暗号化保存されているものの、予約時にクラウドに議事録を保存しないような設定も可能だ。そのほか、承認制や会議室ロックに加え、議事録だけ見ようとする不正なユーザーや間違って承認してしまったユーザーの参加を防ぐため、強制退出にも対応している。
ユーザーからは、「会議にかかる工数が減った」「資料の共有が容易になった」「余計なことを話さなくなるので、会議の効率が上がった」といった導入効果を聞いているそうだ。
スピーカー、モニター、マイク、サーバ一体型の「DTEN D7」
続いて、ハードウェアを紹介しておきたい。1つ目は企画段階からZoomと連携して開発されている、16アレイマイク、最⼤視野⾓120度のカメラを搭載している4KタッチパネルディスプレイのZoom専用端末である「DTEN D7」だ。
従来のビデオ会議はスピーカー、モニター、マイクをバラバラに用意しなければならないが、D7は4Kディスプレイに高品質なマイクと4K対応カメラがオールインワンとなっているため、導入から利用・運用まで手間がかからない。また、タッチパネルで直感的に操作でき、ディスプレイ1台で、初心者でも簡単に高品質なZoom会議を開催できる。
日本国内で製品の導入・設置・サポートを手掛けている日本ラヒシステムズのウォン氏によると、D7は操作がシンプルでわかりやすいため、ユーザーもシステム管理者もZoom会議に伴う手間を大幅に削減できるという。ディスプレイのサイズは55インチと75インチがあり、会議室の大きさや用途に応じてどちらか選択できる。
オーディオや画⾯表⽰の⼯夫が光る⼀体型デバイス「Neat」
もう1つのハードウェアは、既存のディスプレイに取り付けて使う⼀体型端末である「Neat Bar」だ。同製品は、5つのマイク(エンドファイアアレイ)と3つのセンサーマイクを搭載しており、参加者の声をしっかりと拾って、不要な音は遮断する。また、複数の人が同時に話した時も、それぞれの声を処理できる。オーディオに詳しい技術者が作った製品だけに、オーディオのクオリティが高いそうだ。
ウォン氏はNeat製品の特徴として、「Neat Symmetry(オートフレーミング機能)」を紹介した。Neat Symmetryは、リモートの参加者が会議室にいる参加者のジェスチャーや顔の表情を見やすくする機能だ。オートフレーミング機能は、会議の参加者の顔を検知して自動で表示する。コロナ禍では、ソーシャルディスタンスを保つために、広い会議室でも離れて座っているケースが多いだろう。その場合、カメラから遠くなってしまうので、画面に映る顔が小さくなってしまう。しかし、オートフレーミング機能なら、参加者の顔をトリミングして拡大してくれる。
ICT事業本部 システム基盤推進本部 エンドポイントデバイス推進統括部 エンドポイントデバイスマーケティング部 周辺機器2課の三上 司氏によると、新型コロナウイルスの影響も相まってZoomを活用するためのハードウェアの需要も大幅に拡大したという。特にDTEN、Neat製品は初心者でも簡単に会議室での高品質なZoom会議を実現できる製品として、昨年から両メーカー製品をSB C&Sで取り扱いを開始し、いまだ販売店からも導入に関して多くの問い合わせが来ているという。
以上、Zoomを業務で使いこなすためのアドオンツールを紹介してきた。新型コロナウイルスのとうじょうによって、われわれの働き方は一変し、これからもZoomをはじめとするWeb会議は業務において必須のツールとして、利用されるであろう。となると、少しでも効率よく、Web会議を進められるよう、工夫したいところである。