NTTドコモは6日、スマートフォンの新製品の発表を行いました。すでに各メーカーから先行して発表されている製品も多く、時代の流れを感じさせるところです。冬春モデルとして発売するのは、折りたたみスマートフォンをはじめとしたハイエンド、1万円台をうかがう低価格モデル、そしてシニア向けスマートフォンの全8機種ですが、全て5Gに対応させたという点がポイント。初めてのスマートフォンユーザーでも手軽に5Gを利用できる点をアピールします。

  • 冬春モデル8機種が登場

また、スマートフォン以外の周辺デバイスにも製品を拡大。5G対応のノートPC「ThinkPad X1 Nano」やスマートグラス「Nreal Air」などの取り扱いにより、ユーザーへのサービスを拡大させます。

1万円台で5G、シニアから初めてのスマホユーザーも5Gに

スマートフォンのラインナップは、ハイエンドスマートフォンが「Galaxy Z Fold3 5G SC-55B」や「Galaxy Z Flip3 5G SC-54B」、「Xperia 5 III SO-53B」。スタンダードモデルとして「AQUOS sense6 SH-54B」、「arrows We F-51B」、「Galaxy A22 5G SC-56B」。シニア向けとして「らくらくスマートフォン F-52B」、「あんしんスマホ KY-51B」を用意します。

  • Galaxy Z Fold3 5G 開いた状態
  • Galaxy Z Fold3 5G 閉じた状態
  • 開くとタブレット、閉じるとスマートフォンの折りたたみ端末「Galaxy Z Fold3 5G」

  • Galaxy Z Flip3 5G 開いた状態
  • Galaxy Z Flip3 5G 閉じた状態
  • 同じく折りたたみ端末で、閉じるとコンパクトに、開くとスマートフォンになる「Galaxy Z Flip3 5G」

  • Xperia 5 III ラインナップ
  • Xperia 5 III
  • 充実したカメラ性能のコンパクトなハイエンドスマートフォン「Xperia 5 III」

  • AQUOS sense6 ラインナップ
  • AQUOS sense6
  • IGZO OLEDを採用したお手頃価格の「AQUOS sense6」

すでにGalaxy Z、Xperia、AQUOS、arrowsの各ブランドはメーカー自身が発表を行っており、発表済み。ただし前日に発表されたばかりのarrows Weについてはこの日がほぼ初公開となっています。新たに発表されたのはGalaxy A22 5Gとシニア向けスマートフォン2機種で、シニア向け商品は、9代目となる「らくらくスマートフォン」に加えて、京セラ製の「あんしんスマホ」を投入します。

  • arrows We ラインナップ

    arrows We。レッドはドコモオンラインショップ限定カラー

  • arrows Weを手に持つ
  • arrows We 手に持った背面
  • 手のひらに収まりのいいサイズ

  • 荷重テスト

    arrowsでおなじみの堅牢さのアピール。100kgの力をかけても壊れないというが、筆者の力だとせいぜい20kg程度しか試せなかった

  • arrows We 右側面
  • arrows We 左側面
  • arrows Weのシンプルなフラットボディ

  • arrows We 上部
  • arrows We 底部
  • arrows Weはイヤホン端子も備えている

  • arrows We シンプルモード

    タイル状のUIでシニアの使いやすさを考慮したシンプルモードを搭載

  • arrows Weの詐欺対策機能 1

    オリジナル機能として搭載されているフィッシング詐欺対策機能。例えばメールのURLにアクセスしてしまった場合

  • arrows Weの詐欺対策機能 2

    いつものサイトがログインを求めてきたら、いつものように入力してしまうかも知れません

  • arrows Weの詐欺対策機能 3

    しかし、そのURLや内容が不自然だった場合、パスワード入力欄をアクティブにすると警告が表示されます

  • arrows We プライバシーモードオフの状態
  • arrows We 通知画面
  • プライバシーモードも搭載。プライバシーモードオフの状態から通知画面を表示して……

  • arrows We スワイプ
  • arrows We プライバシーモードオンの状態
  • スワイプすると画面が切り替わり、プライバシーモードがオンになります。この状態だとアプリを隠すなどの設定が利用できます

  • プライバシーモードを解除するには暗証番号や生体認証が必要になります

  • Galaxy A22 5G

    Galaxy A22 5G

京セラは、ドコモ向けはフィーチャーフォンやカード型端末など一部の製品にとどまっていましたが、以前から両者で話し合いをしており、ラインナップ拡充を図っていたドコモが、京セラ側の提案を採用した、といいます。

  • シニア向けスマートフォンのラインナップ

    シニア向けスマホのラインナップ。左からあんしんスマホの裏表、らくらくスマートフォンの3カラーです

シニア向けスマートフォンは、長年の提供でメニューや操作に慣れた人も多いらくらくスマートフォンに対して、大画面のあんしんスマホという特色が異なる2つのラインナップを用意。シニアの様々なニーズに応えたい考えです。arrows Weも、ターゲット自体は幅広いとしつつ、メーカーのFCNTはシニア向けのサービスを充実させており、シニアが様々な端末をチョイスできるラインナップになっています。

Galaxy A22 5Gも、「家族もそろそろスマホに」というファミリーの最適な端末としており、「お財布にも優しい5Gスマホ」(プロダクト部部長・安部成司氏)としています。ドコモのラインナップはハイスペック/スタンダードの2種類の分け方ですが、スタンダードの中でも端末代金としてはローエンドが中心で、それでいながら5G対応によって移行を促す戦略です。

安部氏は、「シニアは花を撮って名前を調べるなど、写真を結構使う。5Gによってそうした機能をより便利に使ってもらえる」と話し、端末の5G化を進めることで、ネットワークとサービスの双方の普及を促進したい考えです。

2019年7~8月のAndroidスマートフォンの購入比率を見ると、スタンダードモデルの構成比が高かったものの、ハイスペックモデルもそれなりに購入されていました。ところが2021年にはこれが激減し、スタンダードモデルの購入比率が高まりました。これは、端末価格の高騰がひとつの原因で、その分、より低価格なモデルの購入比率が増加したようです。

  • カテゴリ別の購入比率

    スタンダードモデルの購入比率が大幅に増加

  • 冬春ラインナップのポイント

    そうした点も踏まえた安価なラインナップを拡充

今回は多くの端末を事前にメーカーが発表しており、キャリアではなくメーカー自身が製品を発表する流れになっています。とはいえ、あくまで端末はメーカーとキャリアの共同開発という形になっています。安部氏は、ドコモとメーカーが連携して開発することで、ネットワークに最適化されることで快適に使えると強調。メーカーと連携して周波数の対応を進めていくことが、キャリアによる端末提供の意義だと話します。

  • 5G対応

    シニア向け端末、ノートPCを含めて全て5Gに対応

逆に、各キャリアごとの周波数帯しか使えないと、別のキャリアにMNPした場合にと十分なエリアで使えない可能性があります。こうした点について安部氏は、幅広い周波数帯に対応することで端末コストが増大するため、「価格とのバランス」を重視する考え方を示しています。ただ、SIMロックフリー化や2年縛りの撤廃で、ユーザーの流動性は上がっていることから、他社の周波数帯もサポートすることの必要性にも一定の理解を示しています。

ノートPCからARグラスまで、スマートフォン以外も拡充

5Gに対応したノートPCであるレノボの「ThinkPad X1 Nano」をドコモが販売するというのも大きなトピックです。特に、残価設定型の「いつでもカエドキプログラム」に対応し、24カ月目以降の支払いを免除することで、安価に端末を利用できる購入サポートプログラムに対応しているのが新しい点です。

  • ThinkPad X1 Nanoの概要

    1kgを切る軽量ノートPCの「ThinkPad X1 Nano」

スペックのカスタマイズには対応しませんが、2年間でお得にノートPCを利用できます。ドコモ回線契約の有無は問われませんが、ドコモの5Gギガホ プレミアなどのユーザーであれば、5Gデータプラスを利用することで、月額に1,100円を追加することで契約プランに応じたデータ容量を利用できます。

  • ThinkPad X1 Nano
  • ThinkPad X1 Nano SIMスロット
  • 軽量ノートPCをドコモから購入できます。SIMスロットはヒンジ部にありました

こうしたスマートフォン以外のデバイスとしては、スマートグラスの「Nreal Air」も提供します。見た目は普通のサングラスに近い軽量デバイスで、スマートフォンと接続して、スマートフォンの画面を眼前に投影することができます。最大130インチという大型の画面が目の前に浮かび、その合間からは現実世界が透けて見えるため、ARグラスに近い使い方ができます。Androidスマートフォンに対応し、機種によっては複数のアプリを同時に表示することもできるそうです。

  • Nreal Airの概要

    厳密にはARグラスとは言えないかもしれませんが、日常遣いもできるデザインとサイズに仕上がっています

  • スマートフォンを接続して画面をメガネ内に表示します。実際に装着してみると非常に軽量

新サービスとしては、デバイスレンタルサービス「kikito」を拡張した「kikitoデバイスガイド」を2022年1月から提供。「デバイス管理プラットフォーム」と銘打って、デバイスの購入から売却までをサポートするサービスとしています。

  • kikitoデバイスガイド

    スマートフォン以外にもさまざまな機器の認知を広げる記事などのコンテンツ、そこから購入やレンタルも可能で、利用時には便利な使い方や連携する機器、取扱説明書も確認できます。最後にはフリマで売却するところまでをサポート

kikitoデバイスガイドは、スマートフォンに限らない様々なデバイスの情報を集約。デバイスのサポート情報や活用方法の指南、それと連携する周辺デバイスの紹介といったコンテンツを用意し、家電から美容器具まで、幅広いデバイスの情報を集約します。

  • kikitoデバイスガイドのアプリイメージ

    実際のアプリはこういった感じになるといいます

  • 所有しているデバイスの登録

    dアカウントを登録すれば、ドコモで購入した端末は自動登録され、自分で周辺機器を登録することも可能

  • デバイスの検索画面

    ドコモが取り扱っていないデバイスを含めて、幅広い製品の情報を集約する計画

デバイスのサポート情報や取扱説明書へのリンク、購入サイトへのアクセスも可能にするほか、最終的にフリマサイトで売却するまでをサポートするアプリにする、としています。現時点で、連携するフリマサイトなどは交渉中としており、サービスの詳細は明らかになっていません。

スマートフォンだけでなく、その周辺を組み合わせることで5G時代の新たなサービスを模索するドコモ。その1つの方向性として、取り扱うデバイスを拡大していく方針を示しました。今後、どういった製品、サービスへと拡大していくのか注目されます。