いちごは洗ったらそのまま食べられる、手軽さが魅力の果物です。実はビタミンCなどの栄養素が豊富に含まれていますので、ぜひ日々の食事で取り入れたい果物とも言えます。ビタミンC以外にもさまざまな栄養素が含まれていますが、一体どんな栄養素が含まれているのか、知らない人も多いでしょう。
この記事では、いちごに含まれている栄養素や期待できる効果効能、おいしいいちごの選び方などを紹介します。食生活の改善に興味がある人は、ぜひご一読ください。
いちごはどんな果物
いちごはバラ科の多年草になる果実。そのままで食べられる手軽さから人気がある果物です。ケーキなどスイーツの材料としてもよく使われています。
いちごの品種は300種類以上
日本のいちごは約300種類と、実にたくさんの品種があります。
かつては東日本では「女峰」、西日本では「とよのか」が代表的な品種でした。近年生産量が多い各県で、オリジナル品種を育成して、地域ごとのご当地ブランドが次々に生まれています。
例えば福岡の甘く大きないちご「あまおう」や、関東を中心に生産されている「とちおとめ」などが代表的な品種です。
国内で生産量が多いいちごは?
平成30年時点で、いちごの生産量が多い上位5県は、栃木、福岡、熊本、静岡、長崎です。それぞれでよく収穫されている品種や育成品種を紹介します。
栃木 | とちおとめ、とちひめ |
福岡 | あまおう(福岡S6号) |
熊本 | ゆうべに、ひのしずく |
静岡 | 紅ほっぺ、きらぴ香 |
長崎 | ゆめのか |
日本全国で品種改良が進められていることから、地域ごとに魅力的な品種のいちごが生産されています。
いちごの主な栄養素と期待できる効果効能
いちごはさまざまな栄養素が含まれている果物ですので、食べることでさまざまな効果や効能が期待できます。どのような栄養素が含まれているのか、具体的に見ていきましょう。
いちごに含まれている成分とカロリー【生・ドライ・冷凍】
いちごの食べ方には生で食べる方法の他に、ドライいちごにして食べる方法や冷凍して食べる方法があります。生のいちごとドライいちごの成分の違いは下記の通りです。
エネルギー (kcal) |
水分 (g) |
たんぱく質 (g) |
脂質 (g) |
炭水化物 (g) |
灰分 (g) |
|
いちご(生) | 31 | 90.0 | 0.9 | 0.1 | 8.5 | 0.5 |
ドライいちご | 329 | 15.4 | 0.5 | 0.2 | 82.8 | 1.0 |
(可食部100gあたり)
冷凍いちごの成分は、生のいちごと大差ありません。しかし、収穫してすぐに冷凍したいちごだと、鮮度の落ちた生のいちごに比べると栄養価が高いことがあります。
いちごに含まれるビタミンCを他の果物と比較!
いちごは栄養素が豊富に含まれている果物です。いちごに含まれている代表的な栄養素をみかんやりんごと比較してみました。
ビタミンC (mg) |
水溶性 食物繊維 (g) |
不溶性 食物繊維 (g) |
カリウム (mg) |
カルシウム (mg) |
葉酸 (μg) |
|
いちご(生) | 62 | 0.5 | 0.9 | 170 | 17 | 90 |
うんしゅうみかん(生) | 32 | 0.5 | 0.5 | 150 | 21 | 22 |
皮なしりんご(生) | 4 | 0.4 | 1.0 | 120 | 3 | 2 |
ドライいちご | 0 | 1.2 | 1.7 | 15 | 140 | 4 |
(可食部100gあたり)
生のいちごには生のみかんやりんごに比べて、ビタミンCやカリウム、葉酸などが豊富に含まれていることがわかります。
いちごの代表的な栄養「ビタミンC」摂取量目安
厚生労働省によると、いちごに含まれている代表的な栄養素であるビタミンCは、成人の場合1日100mgの摂取が推奨されています。
他の年齢では目安となる量が異なりますが、通常は摂りすぎても排泄されますので、健康障害が起こったという報告はないようです。ただし腎機能障害がある人は体に悪影響を与える恐れがありますので、摂りすぎには注意してください。
いちごの栄養と健康効果
いちごに含まれる代表的な栄養素が、ビタミンCです。ビタミンCには抗酸化作用があることが知られていますので、体内の酵素で処理しきれない活性酸素の働きを抑えてくれ、風邪予防などに役立ちます。
さらにいちごは食物繊維も豊富に含まれていて、腸内環境を改善し、便秘解消効果も期待できる果物です。他にも虫歯予防効果を期待できるキシリトールや、抗酸化作用が期待できるフラボノイドも含まれています。
いちごの栄養と美容効果
いちごに含まれているビタミンCの抗酸化作用にはシミやシワを防ぐことによる美肌効果も期待できます。
さらに抗酸化作用が強いアントシアニンに期待できるのは、シミの予防や免疫力を落とさないことなどです。また、葉酸は貧血や冷えの改善効果が期待できますので、むくみ防止や代謝アップ効果が期待できます。
新鮮でおいしいいちごの選び方
せっかくいちごを食べるのであれば、新鮮でおいしいものを選びたいもの。そこで、いちごの見分け方や保存方法を紹介します。
甘くておいしいいちごの見分け方
甘くておいしいいちごを選ぶのに注目したいのが「ヘタ」で、緑が濃くて反り返っていて乾いていないなら、収穫されてから日が浅く新鮮です。実は赤くならない品種もありますが、赤い品種ならヘタの近くまで色が赤く鮮やかで張りがあって傷がないものが、甘みが強いでしょう。
さらにいちごのツブが立っていると、さらにおいしいです。
いちごの保存方法
いちごは果実が柔らかいので、傷つきやすいのがネックです。生ならできるだけ早く食べましょう。保存する際は、洗わずにラップをしてから野菜室で保存してください。
冷凍保存する場合は、洗ってからヘタと水気を取って冷凍してください。
栄養を落とさないいちごの洗い方
いちごを水気がついたままにすると、傷みやすくなってしまいますし、ビタミンCも流出してしまいます。少しでも流出を防ぐためには、ヘタがついたままで食べる直前に洗いましょう。表面の汚れを落とすよう、優しく洗ってください。
洗ったらキッチンペーパーで押さえながら水気を拭き取りましょう。
いちごは食べ方を間違えると身体に悪い?
いちごを食べる際には、気をつけたいポイントがありますので、具体的に見ていきましょう。
食べ合わせに注意
いちごは食べ合わせによっては、吸収を阻害したり、消化器官に負担をかけたりすることがあります。
例えば甘みの強いバナナを酸味のあるいちごと一緒に食べると、胃腸への負担が大きくなってしまいますので避けるのがいいでしょう。また、カフェインはビタミンCを破壊する可能性があります。いちごを紅茶やコーヒーなどカフェインが多く含まれている飲物と同時に食べるのは避けましょう。
傷みやすい
いちごは傷みやすい果物です。購入日から3日程度しか持ちません。
いちごが傷むと発酵していきますが、発酵は表面から進みます。ツヤがなく水分が出ているいちごは、傷んでいる可能性が高いです。かじったときに酸味が強くかび臭いいちごは傷んでいるので避ける方がいいでしょう。
栄養たっぷりのいちごをおいしく食べる方法
いちごには程よい酸味があることから、下記のようなレシピにアレンジできます。
- ヨーグルトと一緒に食べる
- ジャムにしてパンなどにつけて食べる
- サンドイッチにする
- ケーキやゼリーなどの材料にする
など
このように、いちごはさまざまな食べ方を楽しめます。
いちごはビタミンCたっぷり! 少量でも日々の食事に取り入れましょう
いちごは他の果物に比べても、たっぷりのビタミンCが含まれている果物です。さっと洗えば手軽に食べられるだけでなく、ジャムやサンドイッチなどさまざまな食べ方があり、飽きずに食べられます。
ただし栄養を落とさないためには、洗い方も重要。ヘタを取り除く前に洗って、水気は拭き取っておきましょう。また、いちごは傷みやすい点や食べ合わせなどにも注意が必要です。
いちごは栄養豊富で手軽に食べられる果物ですので、日々の食事に取り入れていきましょう。
【参考】
農林水産省「いちごの品種、増加中!」
文部科学省「食品成分データベース 果実類/いちご/生」
文部科学省「食品成分データベース 果実類/いちご/乾」
文部科学省「食品成分データベース 果実類/(かんきつ類)/うんしゅうみかん/じょうのう/普通/生」
文部科学省「食品成分データベース 果実類/りんご/皮なし/生」
厚生労働省「ビタミンC」
厚生労働省「「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書 ビタミン(水溶性ビタミン)」
厚生労働省「e-ヘルスネット 」
厚生労働省「e-ヘルスネット 抗酸化ビタミン」