劇場版『きのう何食べた?』(11月3日公開)の完成報告会が6日に都内で行われ、西島秀俊、内野聖陽、山本耕史、磯村勇斗、松村北斗、中江和仁監督が登場した。
同作は『大奥』『西洋骨董洋菓子店』などで知られる漫画家・よしながふみによる、累計発行部数500万部の同名コミックの実写化作。2LDKのアパートで同居する、料理上手で几帳面・倹約家の弁護士・筧史朗、通称・シロさん(西島)と、恋人で人当たりの良い美容師・矢吹賢二、通称・ケンジ(内野)の毎日の食卓を通して浮かび上がる、男2人暮らしの人生の機微を描く
ドラマからの映画化に、西島は「監督とこのメンバーでこうやって集まって会見ができて、撮影以来なので本当に嬉しい」と喜び、内野も「最初は深夜ドラマでひっそりとゲイのカップルの話をやっているつもりでいたのに、いつの間にかこんな華やかな映画という舞台に立たせていただいて、本当に感無量」としみじみ。中江監督も「深夜テレビが始まる前は『途中で打ち切られるんじゃないか』とか、『視聴率がめちゃくちゃ悪いんじゃないか』という心配をプロデューサーに話していたのに、気づいたらこんなことになってました」と振り返った。
撮影の思い出を聞かれると、西島は「京都で内野さんがスマホを持って2人で互いを撮ったりするシーンは、ロケのスタートの方で撮ったというのもありますし、幸せな感じが戻って来て印象深いです」と明かす。「素が出ている」という映像は、実は丸投げだったようで、監督は「内野さんがどこを撮るのかわからないので、(映り込まないように)スタッフが周りに誰もいられないんです。だから有名人2人を京都の街中にほっぽり出してみんな隠れるんです」とまさかの裏側。さらに監督が「内野さんが撮影したやつを見て、ちょっと役者さんに申し訳ないですけど、カメラワークがダメで、もう一回とか……指が入っちゃってたりして」と語ると、内野は「ダメだったんですか!? あれ!」と突っ伏して苦笑していた。
内野は「コロナで大変な時期だったんですけど、その分観光客の方も少なかったので、意外と撮影はスムーズに行きまして。僕はもうケンジの扮装をすると、西島さんがシロさんに見えちゃうので、ラブラブな感じで。そのまま『大好きな人と京都来た、ルン♪』という感じでスマホの自撮りとか、自由にやらせてもらった」と撮影時の心境を表す。「素敵な西島さんをたくさん撮ってありますので」と見どころをアピールした。
連ドラから続くチームについて、西島は「こうやって並んでみると、かなりいかついんですけど、不思議なんですよ。さっき4人で手を繋いで写真撮ったりして。個々に会うと大人の男の、しかもいかつい俳優たちなんですけど、やっぱりこの役に入った時に、心のひだの繊細なところまで演じるメンバーだなと。昨日またちょっと作品を見返して見ると、改めて感じました」とその表現力も絶賛。内野も「役に入ると、みんなそのまんまになっちゃう。普通男性たちは照れくさかったりするじゃないですか。それはもう一切ない。チームでやってきた歴史があるので、変な緊張とか一切なく自由にやらせていただいた」と語る。
山本は「4人が集まるシーンと、2人2人のシーンがあるんですけど、それぞれキャラクターが違っていて。画面から感じ取れる立ち位置と逆転したりする瞬間がある」と分析。「例えば4人でいる時は、ジルベールとケンジのやり取りをシロさんと小日向さんが包容力ある感じで見てるんだけど、実を言うと包容力があるようなことを訴えたり、投げかけてるのが(ジルベールとケンジの)2人で、こちらが考えさせられる瞬間があったりする」と魅力を明かす。
一方、磯村はこのチームについて「なんか、家族だなと僕は思ってるんです。勝手に」と表現。「今回の劇場版で戻ってきたときに、クランクインが4人のシーンだったんですけど、『ここ、戻ってくる場所だったのかな』と思えるぐらい。やっぱりお三方の包容力と言いますか、本当に現場が楽しいと思える作品だったので、もう、ひとつの家族のような形なのかなと思いました」と思いを表した。