BPO青少年委員会は6日、千葉県八街市の飲酒運転による児童5人死傷事故の取材で、被害者の同級生へのインタビューを放送した番組について、委員長コメントを公表した。
BPOには視聴者から、「死亡事故による深い悲しみの中で、故人についてインタビューする行為は、事故によるトラウマを想起させ二次被害に繋がることがあり、専門家でも慎重な対応が必要である」「(事故被害者の通っていた)学校では、事故の翌日、子どもたちの心のケアのために休校にしている。あれを見た他の子どもや保護者の心は考えなかったのか」などといった意見が寄せられていた。
これを受け、「同級生の死という特に子どもにとって心理的ショックの大きい時期に、痛ましい記憶の想起によるPTSDなどを起こしかねない取材のあり方に大きな問題があった」と考え、討論を行った。
同委員会では、2002年に米国同時多発テロの映像による子供のPTSDの懸念から、「衝撃的な事件・事故報道の子どもへの配慮」を求めた提言を行い、05年には「児童殺傷事件の報道」を受け、家族や友人、特に児童へのインタビューに対し、「親しい者の死を悼む子どもの心的領域に踏み込む行為」として、慎重を期すよう要望していた。
それを踏まえ、「事故に巻き込まれた犠牲者に対する複雑な感情を発言している映像を、インタビューを受けた子どもやその友人が繰り返し見る事による人間関係の障害や、本人の呵責の念などの深い心理的ダメージにつながる危険性は看過できません」と主張。さらに、「特に今回の友人である子どもへのインタビューが、本来事故の報道番組の伝えるべき中核的な内容であったのかという点に照らし合わせると、今回のインタビューそのものの必要性にさえ疑問を感じます」とコメントした。