いつか子どもは欲しいと思っていました。けれど大人になってからの生活は、年を重ねるごとに面白くなり、仕事では自分を必要とされることに高揚感を得たり、お金も自由に使えてちょっと高い服を買ってみたり、夜遅い時間に一人でサクっと飲みに出かけたり。好きなものを好きなときに食べて、好きなときに好きな人に会って、都会は毎日が刺激的で、まさに謳歌していました。
そのころの私は、子どもはそりゃあかわいいと思うけれど、かわいいと思うのはだいたいはじめの5分だけで、「私は友達と話したいのに、子どもがいるとおしゃべりもままならないな」とか、最終的には子どもが好きとか、かわいいと言う人は、自分のこといい人にみせようと思って言っているのでは……なんて酷いことを本気で考えていたりしました。
自分に子どもがいる未来になんだか現実味が湧かなくて、私って冷たいな、こんな私でも母親になれるのかしら、こんなに自分一番の私が無償の愛を子どもに注げるの?と心配になっていました。