ミュージカル『October Sky-遠い空の向こうに-』の公開ゲネプロが5日に東京・Bunkamuraシアターコクーンで行われ、甲斐翔真、阿部顕嵐(7ORDER)、夢咲ねね、栗原英雄、朴ロ美(※ロは王偏に路)、中村麗乃(乃木坂46)、井澤巧麻、福崎那由他が取材に応じた。
同作は全米でベストセラーとなった元NASAの技術者ホーマー・H・ヒッカム・Jr.による感動の自伝小説『ロケットボーイズ』映画化作の、ミュージカル版。ジェイク・ギレンホール、クリス・クーパーら出演で、アメリカの小さな炭鉱を舞台に、厳しい現実に直面しながらもロケットに夢をかける高校生の姿を描いた1999年公開の青春映画が、アメリカでの2度のトライアウト公演を経て(2015年シカゴのマリオットシアター、2016年サンディエゴのオールドグローブシアターにて)、日本初演となった。
主演の甲斐は「このような状況下でここまで来れたんだという実感が、たった今、沸いてきました。この奇跡を噛みしめながら、ボクたちが作り上げた日本初演の『October Sky』を届けられるように千秋楽まで走り抜けたいと思います」と意気込む。ロケットボーイズの一員である阿部も「ロケットを打ち上げる前の気持ちと、来てくださる皆さんにこの作品を観てもらう気持ちが重なって、とてもワクワクしています」と心境を吐露した。
初の海外翻訳ミュージカルに挑戦となった中村は、普段の乃木坂46の活動と比べ「歌って踊るとき振り付けがあってパフォーマンスしているんですけど、この作品は『歌がセリフ』みたいな感じ。だから稽古場で『思うようにやってください』と言われた時は、『はい』と言ったけど、心の中で『どうしようどうしよう』となっちゃって、そこから衝撃でした」と振り返る。「生のオーケストラなので、それもまたいつもと違った迫力があって、新鮮だなと思っています」と楽しんでいるようだった。
ロケットボーイズを導く教師役の夢咲は「この話をいただいたときに原作などを見て、『彼らの光になれるような存在でありたい』と思ったんですけど、いざお稽古に入ってボーイズと対峙したら十分輝いていてまぶしくて、エネルギッシュでパワフルで、『どうしよう負けちゃう』と思った」と明かし、ロケットボーイズ達は恐縮した様子に。「彼らのプラスアルファになって、光として突進して行けたらいいなと思いますし、彼らを率先するような場面もあるので、彼らのエネルギーに負けないように突き進んで行けたらと思います」と語った。
甲斐の父親役を演じた栗原は同作について「群像劇」と表し、「閉塞感やそれを打破しようというところも共有できるし、父と息子の関係、家族の関係、友情関係、先生と生徒の関係、街と人々の関係、国と人々との関係、時代背景全てがとても素敵な作品になってます」と紹介。同じく甲斐の母親役を演じた朴も「この作品の一番の魅力は、実話であることにつきるんじゃないかな。夢物語じゃなくて、実際にあった話で、私たちも舞台の上で生きようとしているところが1番の魅力」と語り、「誰にでもある話だと思うんです。みんなが必死に生きてるから私たちがいる、ということをとても強く感じられる」と魅力をアピールした。
最後に甲斐は「日本初演の作品を作れたし、僕個人としてはシングルキャストが初めてで、稽古の段階から『お客様はどう思うのかな』ということの積み重ねで来た」としみじみ。「明日幕が開いて、皆さんがどういう感情を持って帰っていただけるのか本当に楽しみにしています。とにかく全員が無事に、常に健康に舞台に立てることを、一応座長として祈りながら、東京、大阪まで駆け抜けたいと思っています」と思いの丈をぶつけた。
東京公演はBunkamuraシアターコクーンにて10月6日~10月24日、大阪公演は森ノ宮ピロティホールにて11月11日~11月14日。