2021年10月1日、千葉県千葉市のガソリンスタンド「太陽鉱油 千葉新港サービスステーション」(以下SS)内に、TOUCH TO GO(以下TTG)の無人決済システムを使った「フード&カフェ」コーナーがオープンしました。その面積はわずか7平方メートル。一体どんな店舗なのでしょうか。

  • 太陽鉱油 千葉新港SSの「フード&カフェ」コーナー

駅、空港、道路と拡大する無人決済店舗

無人決済システムを提供するTTGは、駅構内や周辺のコンビニやファストフードショップ、8月には羽田空港のギフトショップ「ANA FESTA GO」など、次々と無人決済店舗をオープンしています。そんなTTGの次なるターゲットはガソリンスタンドで、意外に感じながら現地に向かいました。

ペーパードライバーの筆者は知らなかったのですが、ガソリンスタンドには“大型トラック向け”があるんですね。太陽鉱油 千葉新港SSは驚きの広さだったのですが、全国に69店舗を展開する太陽鉱油にとって、千葉新港SSは標準規模の大きさだそうです。

  • 千葉新港SSの正面。「フード&カフェ」コーナーの背面にもトラック用の給油スペースがある

駐車できる場所が限られる大型トラックのドライバーは、給油のタイミングでこのような大規模ガソリンスタンドで休憩するんですね。そのため千葉新港SSには長距離ドライバーのためのシャワー設備なども用意されています。

トラックドライバーの「食事の場所がない」悩み

「実はトラックドライバーの方に、『ガソリンスタンドにどのような機能があれば良いと思いますか?』というアンケートを行ったところ、食事の場所に困っている、食べるものが手に入れられないというお悩みがあることがわかりました」と、太陽鉱油の経営企画担当部長の諏訪原高博さん。

大型トラックは普通のコンビニには駐車できず、高速道路のサービスエリアにはトラックがいっぱいで待ち時間が発生することも。配送ルートを外れてまで大型トラックが駐車できるお店に立ち寄るわけにもいかないなどの事情もあり、ガソリンスタンドで軽食を購入したいというニーズが多かったそうです。

とはいえ、ガソリンスタンドも物販をするためにスタッフの人数や手間は増やせません。そこでTTGの無人決済店舗に至ったというワケです。

千葉新港SSにはドリンクの自販機を置いている休憩室があったので、そのスペースにTTGの新プロダクトである、極小地向け無人決済システム「TTG-SENSE MICRO(ティーティージー センス マイクロ)」を導入。今回の「フード&カフェ」コーナーがオープンしました。

  • 「フード&カフェ」店舗内。天井のカメラや棚のセンサーなどにより、手に取った商品を認識する

  • タッチパネルに商品が表示されるので、合っていれば、「お支払い」をタッチして決済する。決済方法は交通系電子マネー、クレジットカード、現金に対応

  • 千葉新港SSにはシャワー設備があるので、タオルやシャンプー・リンスなども販売

わずか7平米の極小スペースが無人決済店舗に

「TTG-SENSE MICRO(ティーティージー センス マイクロ)」とは、わずか7平方メートルの極小スペースを店舗化するTTGの新しい無人決済システムのこと。

「千葉新港SS は7平方メートルのスペースに3つの棚と冷蔵用のショーケース、決済スペースを備えています。7平方メートルとは自販機以上、コンビニ未満のスペースで、ある程度の収益を上げるための最小単位。カメラやセンサーなど、無人決済システムが備わった基本の骨組みを作り、それを室内に設置するだけで省スペースでの無人決済店舗の運用が可能になります」と、TTGの代表取締役の阿久津智紀さん。

通常、無人決済システムを店舗に導入するには、天井のカメラが人の動きを認識しやすい通路幅を検討したり、什器などの配置をイチから考えていくため、30日程度の日数が必要になるそうです。

でも「TTG-SENSE MICRO」の場合は基本の骨組みができているのでそれを設置するだけと、わずか2日程度での導入が可能に。7平方メートルを1パッケージに、スペースに合わせて2個使用するなどと組み合わせることで、手軽にローコストで無人決済店舗を展開することができます。

  • 「TTG-SENSE MICRO」のイメージ図

「今回の千葉新港SS は『TTG-SENSE MICRO』の第1号店舗。トラックドライバーがコンビニや飲食店などに立ち寄りにくいという課題をサポートできると共に、店舗にとっても人手をかけずに初期投資も抑えた形で新たな付加価値が付けられる点がメリットです。大型のガソリンスタンドは全国に1000店舗くらい。全国3万店舗弱ある普通のガソリンスタンドでも十分ニーズがあるでしょう。すでに数十社からの問合せがあるので、22年の春以降、パッケージプランとして提案していきたいと思っています」と、TTGと業務提携する三菱商事エネルギーの参与 経営企画部長の近藤健一郎さん。

ガソリンスタンドだけでなく、高速道路の休憩所、物流センターの休憩所など、「TTG-SENSE MICRO」のニーズは多くありそうです。本格展開する22年春以降、ガソリンスタンドを皮切りに、さまざまな場所で無人決済店舗を見かけるかもしれません。

  • 骨組みごとパッケージ化することで、短期間かつローコストで展開できることが魅力。今後さまざまな場所で見かけることになるかもしれない

DATA
店舗名:フード&カフェ 太陽鉱油 千葉新港SS店
住所:千葉県千葉市美浜区新港172-1
営業時間:7:00~23:00
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