JR東日本千葉支社は10月2・3日の2日間、両国駅西口にて「ちばトレインフェスティバル」を開催する。駅前広場に鉄道事業者らによる物販エリアやイベントステージが設けられる中、1日目は両国駅3番線ホームにE257系5500番台を展示。「緑のE257系」が来場者たちの注目を集めていた。

  • 両国駅3番線ホームに展示されたE257系5500番台

E257系5500番台は、房総地区で活躍したE257系500番台を波動用に改造した車両で、5500番台となった後も変わらず5両編成を組んでいる。秋田総合車両センターで改造工事が行われ、2021年前半に出場したという。

「ちばトレインフェスティバル」の1日目、両国駅3番線ホームに展示されたOM-52編成は、1号車(千葉方)から「クハE256-5509」「モハE257-6509」「モハE256-5509」「モハE257-5509」「クハE257-5509」の番号が振られている。来場者は駅の入場券を購入した上で、両国ステーションギャラリーを見学しつつ、普段あまり開放されることのない3番線ホームに上がり、E257系5500番台の外観を見学していた。

車体前面を見ると、大部分が黒色で、窓下に緑色のラインを入れている点が特徴。改造前のE257系500番台は黄色い輪郭にシルバーの外観だったため、改造によってかなり印象が変わったように感じられる。特急「踊り子」「湘南」用にリニューアルされたE257系2500番台と似た外観だが、ラインの配色や車体側面のカラーリングが異なるため、見分けはつきやすいのではないかと思われる。

  • 5号車(新宿方)の前面

  • 中央・総武線(各駅停車)の電車と並ぶ

  • 1号車(千葉方)の前面

  • E257系5500番台の側面。車体の中央に向かって縦に広がる緑色のラインが特徴的

E257系5500番台の車体側面を見ると、白色を基調としつつ、窓部を黒色とし、窓周りに緑色のラインをあしらっている。緑色のラインは側面の中央部に近づくにつれて縦に太くなっていくので、遠目で見ると六角形に近い模様に見えるかもしれない。中間車のドア横や各号車の客室窓上部に、「EAST JAPAN RAILWAY COMPANY SERIES E257」の文字も見られた。

車内は基本的に500番台だった頃と大きく変わっていない。客室の座席は青いモケットで、デッキの装飾やトイレ・洗面台も500番台からの変化はない。ただし、荷棚付近の壁面が、改造前の500番台は房総半島をイメージした青色・黄色だったのに対し、5500番台への改造後はダークグレーのシックなデザインに変わっている。1号車の客室端部(デッキ側)に荷物スペースも新設された。

  • 座席は改造前から変わらないものの、荷棚の壁面装飾が変更され、荷物スペースも新設された

  • デッキ部分も500番台の内装を維持している(写真は2号車)

両国駅3番線ホームでは、登場したばかりのE257系5500番台をひと目見ようと、多くの来場者でにぎわい、車両を背景に記念撮影する親子なども見られた。イベントが行われている間も、両国駅の1・2番線では中央・総武線(各駅停車)の列車が停車。とくに2番線(千葉方面)は3番線のすぐ横にあたるため、中央・総武線の列車とE257系5500番台を一緒に撮影する人も多かった。

また、「JRE MALL」千葉支社店で販売された商品として、E257系5500番台の1~3号車を内覧し、乗務員室での記念撮影・車内メロディ操作体験・車内放送体験のいずれかひとつを体験するプランも用意されていた。体験を終えた後、乗務員らに「ありがとうございました」とお礼を言って降りる人たちの姿も見られた。

■物販ブースも盛況、ステージイベントも実施

「ちばトレインフェスティバル」の1日目は10時に開会。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、物販エリアやステージ観覧待機列の足もとにはテープで一定の間隔が取られていた。来場者はマスクを着用し、間隔を守りつつ整列。エリアごとに手指の消毒を行うなど、感染対策に協力しつつ楽しんでいた様子だった。

物販エリアは2カ所設置され、鉄道事業者らによる物販が行われた。両国駅西口駐車場に設けられた「物販エリア1」では、鉄道事業者に加え、JRバス関東のグッズや千葉県の物産品の販売も。自転車(ロードバイク)のデザインが目を引く「B.B.BASE」バスも停車していた。鉄道写真家・中井精也氏による「ゆる鉄画廊NOMAD」も「物販エリア1」にブースを出展した。

  • 物販エリア1。両国駅を行き交う電車や「B.B.BASE」バスを見られるスペースで、鉄道事業者らがブースを出展

  • 物販エリア2。JR東日本千葉支社のブースではヘッドマークや入鋏はさみなども販売され、列ができるほどのにぎわいに

両国駅西口の裏手に設けられた「物販エリア2」は、10時の開会前から長い列ができるほどの人気に。中でもJR東日本千葉支社のブースは待機列が続いており、一般的な鉄道グッズの他に、ヘッドマークや自由席・指定席サボ、入鋏はさみなどが販売され、これらの部品に関心を示す来場者も多かった。筆者が11時30分頃に訪れたところ、人気の部品は開会直後に売れてしまったとのこと。

会場内のステージでは、10時の開会以降、さまざまなステージイベントが行われた。オープニングセレモニーでは、JR東日本千葉支社に勤めるヴィオリストと、3人の音楽家による演奏の後、吉川正洋さん(ダーリンハニー)、岡安章介さん(ななめ45°)、ホリプロマネージャーの南田裕介氏が登壇。フリーアナウンサーの松本有紗さんが進行を務め、鉄道好き芸能人による「鉄分の濃い」トークが繰り広げられた。久々の鉄道イベント開催に、出演者たちも喜んでいた様子だった。

続いてJR東日本執行役員千葉支社長の中川晴美氏が登壇。「このイベントを通して、鉄道の安全・安心と、地域の魅力についてお伝えしたいと思っております」と挨拶し、同愛記念病院の監修による新型コロナウイルス感染症対策にも触れた上で、「地域と一体になってお待ち申し上げております。ぜひこのイベントをきっかけに、電車で千葉にお越しいただけたらと思います」と述べた。

  • 「ちばトレインフェスティバル!」「出発進行!」のかけ声で開会

「ちばトレインフェスティバル」は10月3日まで開催され、2日目はE257系5500番台に代わり、6両編成の185系が両国駅3番線ホームを展示。物販エリアやステージイベントも引き続き予定されている。来場の際は感染症対策に協力し、熱中症にも注意した上で楽しんでほしい。