戦型は山崎八段得意の相掛かり
第80期A級順位戦(主催:朝日新聞社、毎日新聞社)の4回戦、▲山崎隆之八段(10位、0勝3敗)-△佐藤康光九段(6位、1勝2敗)戦が9月29日に東京・将棋会館で行われています。力戦を得意とし、自由奔放な棋風で知られる両者の対決がついにA級で実現しました。
両者の過去の対戦成績は佐藤九段の12勝4敗(未放映のテレビ対局を含まず)。直近の対局は8月に行われた棋王戦挑戦者決定トーナメントでのもので、佐藤九段が矢倉の将棋を制しています。
リーグ戦のためあらかじめ先後が決まっており、山崎八段が先手番。山崎八段は当然、得意戦法である相掛かりを採用しました。
これまでに両者の対戦で山崎八段が先手番だったのは8回。そのうち2局は佐藤九段が振り飛車を採用していますが、それ以外の相居飛車の将棋になった6局のうち、実に5局は相掛かりの戦型になっています。
お互いに飛車先の歩を交換した20手目、佐藤九段が△4二銀という新手を指して前例のない局面を迎えました。最近流行している相掛かりは、飛車を中段に構え、桂を早めに跳ねていく空中戦です。この△4二銀はそのような展開を目指す手ではなく、金銀を使って陣形を盛り上げていこうというものでしょう。力強い指し回しを得意とする佐藤九段らしい選択です。
全9回戦のA級順位戦を3分割するなら、序盤戦は終了して中盤戦に入っています。序盤でトップに立っているのは3連勝の斎藤慎太郎八段。それを2勝1敗で4人の棋士が追う展開です。
本局の対局者である佐藤九段は1勝2敗、山崎八段は0勝3敗と黒星先行の序盤戦となってしまいました。この対決で敗れると挑戦は厳しくなる上に、残留にも黄色信号が点灯してしまいます。
持ち時間が6時間の本局は、本日深夜から日付の変わる頃の終局見込みです。