女優の橋本愛が28日、都内で行われた「第34回東京国際映画祭ラインナップ発表記者会見」に出席。本年度のフェスティバル・アンバサダーに決定したことが発表された。
この時期に時間ができると同映画祭のサイトをチェックし、見たい映画の席が空いていたら足を運んでいたという橋本は「日常の延長線上に映画祭があったりするんですけど、思い出深い出来事がたくさんあって、自分の人生を丸ごと救われたかのような体験もさせていただきました」と打ち明け、「観客として作品を見て映画に助けてもらったというのがこの映画祭きっかけでありましたし、自分が出演した作品を上演させてもらって、レッドカーペットを歩かせていただいたり、舞台挨拶をさせていただいてみなさんにお会いしたりしていたので、ご縁があるなって個人的に思っていたので、今回アンバサダーとしての新たなご縁をいただき、本当に心からありがたいなと思っています」とうれしそうに語った。
また、MCから"人生を救われた体験"について追求されると、過去に同映画祭で『エンドレス・ポエトリー』という作品を見たそうで「すごく具体的に言うと『愛されなかったから愛を知ったんだ』という言葉があって、目から鱗というか"そっか!"と思って、得られなかったからこそ、自分が何がほしいのかわかるじゃないですか。その言葉で自分があまりうまく付き合えなかった人たちに対しても"だから私は気持ちを知れたんだ"ってむしろ感謝の気持ちが生まれて(笑)、自分の人生を変えてもらったと言ったらありふれた言葉になってしまうんですけど、本当に人生を変えてくれたので、そういうありがたい経験がありました」とエピソードを明かした。
さらに、本年度の同映画祭に望むことはあるか聞かれると「映画祭そのものというよりは、映画文化、芸術が日本という島国の地中深くに根を張っていったらいいなという思いがあります。そのためにはみなさん一人ひとりの生活に映画や芸術がもっともっといい意味で蔓延っていけたらいいなと思っていて、この映画祭の水面下にみなさんの生活だったり、人生の大きな一部になっていけるように、現状に満足せずにどうしていったらいいのか考えていけたらいいなと思います」と熱く語り、本年度の同映画祭で気になっている作品を尋ねられると「クリント・イーストウッド監督のオープニング作品(『クライ・マッチョ』)をぜひ見たいなという気持ちがありますし、個人的にダンスだったり舞踊や舞とか、身体芸術がすごく好きなので、田中泯さんの映画を見たいなって思います」と目を輝かせた。
続けて、コロナ禍における映画などの芸術文化とはどのようなものか質問されると、橋本は「人体の危機を医療が救ってくれるというものがありながら、芸術というのは心の命を救ってくれるものだと思っていて、どっちが死んでもダメで、その一端を芸術が担っているんだという意識が強いので、文化芸術は早急に必要なものではないという考えに触れると苦しいなと思うし、しんどい気持ちでいる人には文化芸術に触れて、少しでも癒しを得てもらいたいなという思いが強いです」といい、「自分も俳優として作品づくりに関わる中で、そういう作品を一つひとつ大事に作っていって、一人ひとりの心に届いてほしいなという思いでやっているので、そういう考えが根強く広がっていただけると嬉しいなと思っています」とコメント。
橋本とともに質疑応答の場に登壇していた吉田恵輔監督は、今回初対面だという橋本の印象を聞かれると「さっきの質問(の答え)もそうですけど、頭が良さそうだなと思って、横にいると俺の頭の悪さが目立ってしまって、またお漏らしをしています(笑)」と震え上がって笑いを誘っていた。
第34回東京国際映画祭は2021年10月30日から11月8日まで日比谷・有楽町・銀座地区にて開催。