エントリーユーザーをファンへとつなげる「ミドル層」の拡充方法は?

加藤氏「ヤッホーブルーイングがミドル層を拡充していく、ジャーニー設計や思想について教えてください」

佐藤氏「宣伝、知る、味わう、楽しむという4つのカテゴリーのバランスを意識しています。企業から発信したい情報と、お客様が知りたい情報の目線が異なる場面は意外と多いです。なので、このバランスが崩れないように常に意識していますね」

  • 企業目線とファン目線

加藤氏「どのようにお客様のエンゲージメントを測り、マーケティング施策を改善しているのかを教えてください」

佐藤氏「当社が実施するアンケート調査では、熱狂度とNPS(推奨意向)の2つの軸で測っています。熱狂度は5段階で、NPSは11段階で聞いていて、それぞれを3段階評価に割り当てています。回答者がどの領域に分布されるのかに着目して集計しています。以前実施したイベントでは、60%の方がよなよなエールを好きで他人におすすめしたいと回答してくださいました」

  • 熱狂度とNPSを評価したアンケート調査結果

加藤氏「それぞれの分布を製品購入金額と比較すると、KGIとなる熱狂度が購入金額として反映されていることがわかりますね。この中で、熱狂度が高いけれども製品を推奨していないお客様について、どのようにお考えですか」

  • 熱狂度およびNPSと製品購入金額の相関

佐藤氏「そうした方々も、当社としては大切なファンだと思っています。アンケート結果を分析してみると、熱狂度が高いけれども製品を推奨していない方は『クラフトビールは嗜好品なので、自身は好きだけれども他人にはおすすめしない』という方でした。NPSだけで判断するとミスリードにつながりかねないので、熱狂度もあわせて判断することが大切だと思っています」

カテゴリーリーダーを目指すマーケターの最初の一歩とは?

加藤氏「では最後に、カテゴリーリーダーを目指すマーケターが明日からできるアクションについてアドバイスをください」

佐藤氏「まずはファンを知ることが大切です。どういった製品やブランドであってもファンがいると思いますので、まずはそのファンについて理解してください。その顧客がなぜ自社製品を好きになってくれたのかというカスタマージャーニーを知ると、その先にはいろいろな気づきがあるはずです。また、現代は会社のミッションや作り手の想いがすぐに見える時代ですので、企業のパーパスや社員の自社愛、自社製品愛も大切にしてください」