京成電鉄は9月19・20日の2日間にわたり、京成トラベルサービスとイウォレ京成の後援で「親子で電車運転シミュレータ体験プログラム」を実施した。
このプログラムは、京成電鉄で電車の運転士を養成するために行われている「動力車操縦者養成課程」をこどもたちでも楽しめる内容にアレンジし、鉄道について学び、親しみを深めてもらうことを目的としている。今回は親子10組が参加した。
1日目は、京成津田沼駅構内で車掌区の様子を見学し、電車で移動した後、千葉中央駅直結の映画館「京成ローザ10」で映像・音響機器を活用した講義を受講した。
■こどもたちが本格的なシミュレータを体験
2日目の実技は、宗吾参道駅の近くにある京成電鉄研修所で行われた。京成バスシステムの最高級バス「鳳凰」で参加者たちが到着した後、専任教師による説明が行われ、こどもたちは速度反応検査に挑戦することになった。3色の色が表示され、それに合ったボタンを押すという内容で、30秒のうちに正しいボタンを何回押せるかが重要になる。
結果、多くのこどもたちが30~50回程度だったが、中には正しいボタンを62回押した子も。ちなみに、運転士になる人は50回以上が普通とのことだ。その他にも、運転士になる人は注意配分検査やクレペリン検査を受けなければならないといったことを専任講師から教わった。続いて教材室に入り、3つの班に分かれ、説明を受ける。
まずは各種設備の説明を受ける。信号機の説明では、京成電鉄ならではの内容として、「スカイライナー」が160km/hで走行する際の信号表示の説明があった。救援作業で連結器をどのように使うかの説明や、パンタグラフの昇降作業の実技も行われた。
その後は3000形シミュレータ体験を実施。江戸川駅から京成小岩駅までの区間を体験することになった。シミュレータ体験を通じて、運転ではブレーキの操作が重要になるとわかる。停止位置を越えてオーバーランするケースや、停止位置の手前で停車してしまうケースもあり、難しさが感じられた。一方、信号などに対する反応はしっかりとしていた。
3700形のシミュレータでは、こどもたちは腕をのばしていた。「出発進行」の指差喚呼にも自信を感じさせられた。3000形のシミュレータは車体を模したものであるものの、こちらは運転席だけのものとなっている。
■運転が上手になるこどもたち
午後も実践は続く。研修所の建物の外にある模擬踏切で、踏切のボタンが押されたときとその対処について学んだ。
その後は教材室に戻り、3500形の制御装置と制動装置について学ぶ。この3500形は、ワンハンドルマスコンの3000形や3700形とは異なり、マスコンとブレーキハンドルが別々のものとなった車両である。その運転台が再現され、動きに合わせて回路図が変化する様子が大画面で表示された。
再びシミュレータに。江戸川駅から京成小岩駅の1番線に入り、京成高砂駅へと向かう。京成小岩駅では、1番線に入るために早めに減速し、発車してからの加速にも時間がかかることになった。これを3000形と3700形のシミュレータで何度も繰り返した。
最後に講評を受け、修了証を授与された。「最後のほうはきれいに止まっていて、本当にすごいです」とこどもたちはほめられていた。