民間企業や公的機関などにおけるポジションの1つ、「参与」。
ビジネスシーンで見聞きする機会があるものの、具体的なや役割などを知らない人も多いでしょう。
今回は、参与とはどのような立場の人を指すのか、特徴を挙げながら詳しく解説。また、参与の英語表現や関連用語など、知っていると役に立つ情報も併せて紹介します。
参与とは?
まずは、「参与」という言葉の意味から確認してみましょう。
参与とは、事業や計画などに関わったりその相談を受けたりすることを指す言葉です。
「開発計画に参与する」や「会合に参与する」などのように使うのが一般的で、参加とほぼ同じ意味で使用することができます。
また、学識経験者を行政事務に参加させる時の職名として使われる言葉でもあります。
企業や組織における役職や肩書きの1つ
「事業や計画に参加する」という意味をもつ参与は、企業や組織における役職・肩書きの1つとしても知られています。
経営者や組織の代表を補佐するポジションとして、多くの民間企業では部長や本部長クラスの人に与えられます。
また、専門的な知識をもって特定の業務を行うため、定年退職した管理職経験者が参与として復職するケースも多くあります。
英語では「Counselor(カウンセラー)」や「Adviser(アドバイザー)」
参与は英語では、「相談役」を意味する「Counselor(カウンセラー)」や「Consultant(コンサルタント)」などと訳されます。
なお、日本企業における「相談役」という役職は別にあり、「Senior Adviser(シニアアドバイザー)」と訳されます。
相談役と参与の英語表記は似ているため、混同しないように注意しましょう。
参与の特徴
専門知識をもち、経営者を支えるという役割の「参与」。
組織において重要な立場となる場合が多いですが、社長や部長などに比べるとイメージしにくいポストのため、いまいち特徴をつかめないという人も多いでしょう。
そこでここからは、参与の特徴や具体的な地位などを詳しく解説します。
部下をもたない場合が多い
参与は一般的に、部下をもつことはありません。これまでに得た知識やスキルを用いて業務にあたるため、本部長や部長などのように指揮命令ができる役職とは違い、独立したポジションとなります。
なお、民間企業において参与は、役職ではなく職能資格とされることが多い傾向にあります。
給料は前役職により決まる
部長もしくは本部長級のポジションともされる参与ですが、給与も同じように支払われるとは限りません。
前述したように、参与は管理職経験者が定年退職後に復職する際に、与えられる役職の場合もあります。その場合、給料は直前に就いていた役職と同程度の額が支払われことが一般的です。例えば「参与」となる前の役職が取締役であった場合は、取締役時代と同程度の給料がもらえるということになります。
また、給料だけでなく、待遇も前役職から引き継がれることが多く、社内や取引先で参与という役職の人と関わることになった際は、前職をよく知っておく必要があるでしょう。
組織における地位は基本的に高い
参与は管理職経験者が定年後に就く場合が多く、それなりの立場に出世した人に与えられるポジションだと考えていいでしょう。
それだけに、一般社員では及ばない特別な知識や人脈を持ち合わせており、経営者を近い距離から支えるという役割があります。
参与の関連用語
続いて、参与の関連用語について見ていきます。知っているとビジネスシーンなどで役に立つだけでなく、参与という言葉そのものを正しく理解することにもつながります。代表的なものを覚えておきましょう。
会計参与
「会計参与」とは、株式会社において約款に定めていれば設置することのできる役職です。
この役職が与えられるのは公認会計士や税理士などに限られ、取締役などと共同して会計関係書類を作成したり、株主総会で説明したりします。会計業務に特化した役職を設置することで、企業の会計を健全にし、また経営者は経営に専念することができるという利点があります。
参事
「参事」とは国会において事務職を担う人のことを指しますが、その他の公的機関や民間企業の役職に用いられることもあります。
特定の専門領域をもち、部長や課長にアドバイスをするといった役割があります。管理職としての権限が与えられている場合もあれば、単に職能資格として用いられている場合もあります。
参与と言葉の響きや字面が似ているため混同されることが多いですが、参事が部長や課長を補助する一方、参与は経営陣の直下で企業全体を支えるという違いがあります。
また、一般的に参事より参与のほうが、立場が上に位置付けられます。
参与観察
「参与観察」は組織における役職ではありませんが、見聞きしたことがある人もいるでしょう。
社会調査方法の1つで、調査者自身が調査対象となるグループに所属し、そこで生活をともにしながら観察、資料収集をする方法を指します。
異文化調査研究の一手法に用いられることが多く、文化人類学では主要な方法とされています。
参与の役割を正しく理解しよう
参与とは、事業や計画に関わったりその相談を受けたりすることで、組織における役職としても用いられる言葉です。
専門的な知識や豊富な経験を持ち合わせ、経営陣を補佐する立場で業務を行います。英語では「Councilor(カウンセラー)」「Adviser(アドバイザー)」などと訳されます。日本の企業では管理職経験者が、定年退職した後に参与として復職するケースも多くあります。
併せて参与の関連用語も、この機会に覚えておきましょう。