『東海テレビ×WOWOW共同製作連続ドラマ 准教授・高槻彰良の推察 Season1』(フジテレビ系、毎週土曜23:40~)の第7話(18日)・最終話(25日)にゲスト出演する俳優の今井朋彦が、見どころなどを語った。
――遠山宏孝という役について教えてください。
遠山は、尚哉くん(神宮寺勇太)と同じ能力を持つ千葉県警の広報官で、第7話では警察官としては記者クラブの人たちと自分の前任者の不正や癒着を暴こうとしたある意味正義の人です。ただ、一個人としては尚哉くんの苦しみが理解できる立場。良くも悪くも尚哉くんに影響を与える存在です。登場の仕方としては非常に不気味で「こいつが悪なんじゃないか」という雰囲気を漂わせ、前半と後半では随分見え方が変わってくる役。光と影を両方感じさせなくてはいけない。ですが、そこを演じ分けようと考えるよりも、シーンごとにそこに書かれている台詞を大事にしながら演じています。「こういうキャラクターだから」というよりも、実際撮影に入って尚哉くんや高槻先生(伊野尾慧)を目の前にした時に、相手の発するものや表情、言葉の強さなど、その場の雰囲気を大事にしながら役として上手く融合することを心がけています。
――尚哉とのシーン、遠山はどんな気持ちなのか?
遠山自身が、嘘が分かる能力を持ってるが故に体験しなくてはならなかった苦難の連続を今後、尚哉くんが味わうことはほぼ確定的とわかっているので、警察に誘うのは、ある意味、父親的な感覚なんじゃないかと。自分の手元にいれば少しはカバーもサポートもしてあげられますからね。でもそれは自ら呪いの殻に閉じこもる行為でもある。第7話の後半、尚哉くんが遠山に「どうやったら周りの人の嘘に耐えられますか?」と質問してきて、遠山は「完全に耐えられるようにならない」と答えているのですが、決して突き放しているつもりはないんです。遠山の実体験から導いた答えなだけで。交番時代に能力を使って良いこともあったけど結局、社会の権力構造に潰された側面もあって…だから、あのシーンを演じている時は、過去の苦しみを自分の中で反芻して、理不尽な世の中に対して、もう一度怒りと絶望が湧いてくる感覚の方が強かったですね。
――尚哉を挟み高槻との対決もありましたが、演じてみていかがでしたか?
現場でのファースト・インプレッション(第一印象)は、お2人とも目が綺麗だということ。「いい俳優さんはみんなそうだ」と言われればそうなんですが(笑)やっぱり向き合った時の目の澄み方が印象的でしたね。私たちの仕事は「初めまして」のその日に、お互いの目を見て芝居をするわけなんですが、そこで力みなく、澄んだ目ですっとその場にいられるのというのは素晴らしく、また、変に肩の力が入っていない姿に、こちらの力も抜いてもらえた気がしましたね。加えて、お2人とも控え室からものすごくオーラを発しているという印象ではないのですが、いざカメラの前に立つと内側から“ふ~”っとエネルギーが出てくる。「(エネルギーを)出してやる!」というギラギラした感じではなく、内側から自然と出てくるものが、すごくピュアで信じられる。芝居をしているうちにジワジワと発せられるそのエネルギーに、自然と僕も引き込まれていきましたね。
――本作の「異能を持つ凸凹バディ」にかけて、ご自身の“人より優れた才能”とは?
人の名前を覚えること。2年前までの9年間、大学で教員として演技を教えていたので、毎年100人ちょっとの生徒を覚えていましたね、パーフェクトまではいかないですけど。座学のペーパーテストと違って、実技の成績をつけるには教室内を動き回る中で、どの子がどういう演技をしたかを見なくちゃならないんですよ。僕は入学時の写真で覚えているので、その後に髪を染めて「全然違うじゃん!」って子や、写真に加工を施して「かっこよくしすぎじゃないか?」って子もいたり(笑)。鈴木さんや田中さんは1クラスに数人いるから下の名前で覚えなきゃとか、毎年4月は脳みそフル回転でしたよ!
――最終回の見どころをお願いします。
第7話での遠山は謎が多く、ベールに包まれているので「こいつは一体どういう目的で、何がしたくて、こういう動きをしているのか」というのを一緒に想像しながら楽しんでもらえたと思います。最終回では尚哉にとっての未来の姿として「諦め」を体現する大人としての役割があり、遠山のように生きていくのか、それとも違う道を尚哉が選べるのか、そこをドキドキしながら見守っていただければ嬉しいです。
遠山自身も他の人物、特に尚哉との関係性が第7話とは随分変わってくるので、その変化も楽しんでいただければと思います。