女優の宮崎あおいが、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、12日・19日に2週にわたって放送される『人生の終わりの過ごし方 ~「ダメ人間マエダ」の終活~』。末期がんで余命宣告を受けたパチスロライター・マエダさんと仲間たちの終活を追った作品だ。
「最後まで楽しく死にたい」と、どんなに体調がつらくなっても、やりたいことをやり続けるマエダさん、そんな彼を特別扱いせず、いつものように笑いながら付き合う仲間たち、そして息子に先立たれようといる母親の姿……ナレーション中から収録後にインタビューを受ける間まで、涙が止まらなかった宮崎は「すごく苦しかったです」と、胸に詰まる思いを吐露した――。
(注)…宮崎の「崎」は正しくは「立つ崎」
■お母さんの気持ちになってしまうと…
番組26年の歴史で最多となる36回のナレーションを経験してきた宮崎。今年4月に「放送1000回SP」のナレーションを担当した際のインタビューで、『ザ・ノンフィクション』について、「(取材対象の人たちが)カッコ悪いところも全部さらけ出されているので、そうやって人間の良いところも悪いところも含めて見られて、『それが人間なんだ』と思うから、夢中になれる気がします」と、その魅力を語っていた。
今回密着したマエダさんは、がんの進行が進み、治療や薬の副作用で体が悲鳴を上げても、酒もタバコもやめず、仲間たちと一緒にうまいものを食べるという“終活”を実行。取材ディレクターに「自分が死ぬまで撮影してほしい」と伝えていただけあって、まさに“全部さらけ出す”姿を見せている。
そんな中で、宮崎が特に胸を打たれたのが、年老いた母との親子水入らずの場面だ。
「母にとって、子供は40代のおじさんになっても、子供であることには変わりないですよね。でも、その子供に先立たれてしまうというのは、どれだけ苦しいことかと…。自分も子供がいるので、お母さんの気持ちになってしまうと、すごく苦しかったです」
■こんなに考えさせられる番組はない
『ザ・ノンフィクション』は視聴者としても楽しみに見ているそうで、がんを宣告されたシングルマザーである料理研究家の高木ゑみさんと、8歳の一人息子の姿を追った『笑顔で生きよう~お母さんと僕の約束~』(8月8日放送)を見たときも、母親の気持ちになって「涙が止まらなかったです」と打ち明ける。
「ゑみさんはずっと笑顔できれいにされていて、亡くなる前日に息子さんと一緒にお風呂に入ったシーンが……もうダメでした。性別が同じということもありますし、お子さんがいらっしゃるというのもありますし…」
さらに、余命わずかの校長先生と家族再生の様子に密着した『最期の願い ~父と息子と家族の2週間~』(7月18日放送)にも触れ、「最近の『ザ・ノンフィクション』は最期のときを追いかけている作品が多くて、こんなにテレビを見て考えさせられる番組はないですね」と圧倒された様子。
その上で、「映画やドラマは、どうしても作られた世界の話だと思って見ているので、そこで涙が出ることももちろんありますが、この番組を見ているときは、全部が自分事になってくるから、本当にいろんなことを考えさせられます」と、ドキュメンタリーから受けるメッセージの強さを実感していた。
●宮崎あおい
1985年生まれ、東京都出身。4歳で子役としてデビュー。その後、『NANA-ナナ-』『少年メリケンサック』『舟を編む』『怒り』などの映画、『純情きらり』『篤姫』『あさが来た』などのドラマに出演。『ザ・ノンフィクション』では番組最多回数のナレーションを担当し、昨年6月7日放送の『生まれてくれて ありがとう ~ピュアにダンス 待寺家の17年~』は民間放送連盟賞・テレビ教養部門の優秀賞を受賞。今回の『人生の終わりの過ごし方 ~「ダメ人間マエダ」の終活~』で担当回は38回に達する。