ローランドは、BOSSブランドのエフェクター「200シリーズ」の新機種として、多彩なアンプサウンドを得られる「IR-200」と、ギター/ベースをシンセサイザーサウンドで演奏できる「SY-200」を追加する。ともに2021年10月発売予定で、市場想定価格は「IR-200」が44,000円前後、「SY-200」は33,000円前後。

  • 「IR-200(左)」と「SY-200」

「IR-200」は、クラシックな真空管アンプを再現したトーンから独自のMDP(Multi-Dimensional Processing)技術を採用したオリジナルアンプまで、多数のプリアンプを搭載し、内蔵している多彩なキャビネットIRと組み合わせることで、ダイナミックでレスポンスに優れたアンプサウンドをさまざまな環境で得られるエフェクターである。MDPは入力信号を様々な角度から解析を行い、瞬時に各要素に分解し、それぞれの要素に適した多次元的なエフェクト処理を同時進行しながら入力信号に応じて動的に変化させることで、これまでにない表現力を実現するというもの。また、キャビネットIRとは、スピーカーとエンクロージャー、録音に使用したマイクロホン、マイク・プリアンプ、パワー・アンプやマイク・ケーブルなどの音響特性を記録したデータを意味する。これらのデータは「インパルス・レスポンス(IR)」と呼ばれており、アンプや音響機器、再生システムのそれぞれが持っている音の特性を記録したオーディオファイルを指し、ファイルには録音する際の空間の残響と、使用した機材や演奏環境に左右される音の特性が記録されている。

ギターアンプは、ヴィンテージ真空管アンプを再現したクリーントーンをはじめ、モダンなハイゲインタイプまで8種類、ベースアンプはクリーン系からドライブ系まで3種類を搭載。IRデータは、様々なタイプのキャビネットとマイクを組み合わせたBOSSオリジナルの144種類に加え、スピーカーブランドとして有名なCelestionが提供している「Celestion Digital」のIRデータ10種類を用意する。

プリアンプの切り替えや、2つのパラメトリック/グラフィックEQによる音質の調節などは、本体パネル上のノブで直感的に行える。内蔵のIRデータは2つまで同時使用できるので、異なるキャビネットのトーンをブレンドして、広がりのあるステレオのサウンドを構築することも可能となっている。ギターアンプ、ヘッドホンなどに接続して使用できるほか、オーディオインターフェースとしての機能を備えているのでパソコンでのレコーディングやライブ配信の際にもIR-200のサウンドを利用できる。iOSデバイスとの接続では、アンプサウンドをステレオでの録音・再生が可能。macOS/Windowsでは、音楽制作ソフトなどで録音した演奏を再生しながら、IR-200のサウンド特性を付加する「リ・アンプ」にも対応する。

本体には、2基のカスタムDSPを装備し、32bit 浮動小数点/96kHz、500msまでのモノラルおよびステレオのIRデータをサポート。さらに、macOS/Windows対応の専用アプリ「IR-200 IR Loader」により、ステレオ×64種類(モノラル×128種)のIRデータを本体に追加できる。

「SY-200」は、ポリフォニック対応のアナログライクなシンセサイザーの音色を数多く内蔵。従来のギター/ベースシンセサイザーのような特殊なピックアップを必要とせず、楽器のアウトプットを本体のインプットに接続するだけでOKだ。発音の遅れがなく、ギター/ベースの奏法はそのままに自然な弾き心地で演奏できる。12種類のカテゴリーをもとに作成された171の音色を内蔵。また、音色の調節は本体パネル上の3つこちらも本体パネル上のノブで音色の調節など直感的な操作が可能。カスタマイズした音色は、128個まで本体メモリーに保存でき、足元のスイッチ操作で切り替えられる。

センド/リターン端子を使用したループ接続、外部フットスイッチやエクスプレッションペダルとの連携といった拡張性を備え、他のギター/ベース用エフェクターと組み合わせて複雑な音色を生み出せる。本体下部にある2つのフットスイッチには、シンセサイザーサウンドのオン/オフはもちろん、バイパスやメモリーの切り替え、ピッチベンド、ホールドなどの機能を割り当てられる。

サイズはともにW101×H63×D138mm。質量は、IR-200が660g(ACアダプターを除く)、SY-200は630g(電池を除く)。本体のほか、IR-200はACアダプターにゴム足×4、SY-200は単3形アルカリ電池×3にゴム足×4などが付属する。