小田急電鉄は9月7日、2050年に小田急グループのCO2排出量実質「0」の達成に向けて、「小田急グループ カーボンニュートラル2050」を策定したことを発表した。

  • 小田急グループが目指す2050年の社会(イメージ)

「小田急グループ カーボンニュートラル2050」は、「環境ビジョン」「環境長期目標」「環境戦略」の3つの柱で構成。事業活動を通じたCO2排出量の削減や資源循環、自然資源の保全・活用などの環境課題に取り組む行動指針を示している。

この指針の実現に向けた最初の取り組みとして、2021年10月から2022年2月まで、観光用ロマンスカー・VSEを「ゼロカーボン ロマンスカー」として運行する。

  • 「ゼロカーボン ロマンスカー」として運行するロマンスカー・VSE(50000形)

ゼロカーボン ロマンスカーは、鉄道事業における再生可能エネルギーの活用を推進する取り組みの一環として実施。VSEの使用電力を再生可能エネルギー由来の電力(非化石証書付き)に置き換え、期間中のCO2排出量実質「0」を実現することで環境にやさしい旅を提案する。カーボンオフセットにより、実質的に1,566tのCO2排出量削減に貢献する(通常家庭約560世帯1年分、使用電力量360万kwh相当)。

  • 「ゼロカーボン ロマンスカー」の仕組み

同社では、事業活動により発生する温室効果ガスの排出抑制、地球温暖化による気候変動への対応が持続可能な社会の実現に向けた重要な経営課題であると認識している。金融安定理事会(FSB)によって設立された気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、TCFD)への賛同を表明しており、この提言に基づく情報開示を進めていく。

環境長期目標では、2050年に小田急グループのCO2排出量実質「0」を目指し、その中間目標として2030年に46%(2013年比)の削減を設定している。その達成に向けて、グループ事業のうち使用エネルギー量の多い鉄道事業では、通勤車両の更新などの省エネ施策を進めるとともに、エネルギーの調達段階において再生可能エネルギーの比率を高めるほか、太陽光などで創発した電力の活用も行っていく。

  • 小田急グループ CO2排出量実績と目標

また、資源循環によるサステナブルな社会の実現を目指した施策の提供と、沿線に存在する自然環境を地域の貴重な資源として守り続ける保全活動にも力を入れていくという。

同社では、経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業にむけて~」を4月に策定し、経営判断の一軸に環境を据えている。これを踏まえて策定した「小田急グループ カーボンニュートラル2050」に基づき、小田急グループの環境優位性のさらなる向上を図るとともに、サステナブルな社会の実現に向け環境課題解決へ挑戦していくとのこと。