主事とは地方公共団体における独自の役職であり、一般の職員のことを指します。会社における役職のない社員であり、管理職になる前の職員です。ほかにも地方公共団体にはさまざまな役職が存在しますが、その違いは何でしょうか。
この記事では主事の定義や地方公共団体の役職を解説します。
主事とは
主事とは「地方公共団体の日常業務を担う一般的な正規雇用職員」のことです。基本的には、公的機関などにおいて慣習的に用いられる役職です。
設置が義務ではない役職のため、地方公共団体によって主事の階級の位置付けは異なります。条例や規則に規定して、正式な役職として採用しているケースもあります。
民間企業においても職能資格として主事という職位が使われることもあります。
■一般の職員
主事は基本的に役職がない職員や正規職員のなかでも低い階級の職員を指す職名として使われます。民間企業における役職のない「平社員」と同意義です。
地方公共団体でよく用いられる役職としては、主務、主幹、主査、主任があります。主事はこれらの役職のなかではもっとも低い階級です。
■担当する範囲
一般の職員であるため、専門的な分野よりも日常的な事務や業務を担当します。専門的な分野は主務、主幹、主査、主任など、ほかの役職が担います。
多くの場合、若手から中堅までの層が主事となっており、主任や係長などの役職よりも階級が低く、上位の役職者からの指示を受けて業務を行う仕組みです。
■職能資格のひとつである場合
民間企業における主事は職能資格として、管理職の専門外の分野における業務管理や調査を担当する場合があります。
また、地方公共団体においても建築主事や指導主事、社会教育主事など、各専門分野で権限を持って業務を担当する役職も存在します。
参事との違い
参事とは民間企業や国会、地方公共団体で用いられる役職で、それぞれの団体によって業務内容は異なります。
しかし、基本的には主事よりも専門的な分野で業務を遂行することが参事には求められることとなります。
■民間企業や国会における役職
参事は民間企業や国会での役職として存在します。使われる職種の範囲は幅広く、協同組合や地方公共団体などでも参事の呼称が利用される場合があります。
■専門的なスキルを持つ
民間企業では専門的なスキルを用いて特定の分野のアドバイスや調査を行う専門家の役割を持っています。部下を持つことは少なく、特定の部署を取りまとめず、組織を横断して役割を果たします。
■国会や行政機関の参事
国会では事務を担当する職員を参事といいます。階級によって名称は変わらず、まとめて参事とくくります。
ほかにも行政機関では事務の担当者を参事官と呼ぶ場合があります。
主事以外の地方公共団体における役職
地方公共団体における役職では主事以外に、主務、主幹、主査、主任などがあります。具体的なそれぞれの役職の概要を解説します。
■主務
主務とは特定分野の事業をまとめる長の役職です。部署内では大きな権限を持ち、部下に業務の遂行を指示します。
民間企業における「部長」クラスと同じ役職です。特定分野の長であることから、組織内での人数は少なくなります。
■主幹
主幹とは特定分野の事業において、業務遂行の中心となる役職です。主務に続くリーダーとして、部署をまとめていきます。
民間企業では「課長」クラスに該当します。地方公共団体では広く用いられている役職ですが、国の機関で用いられるケースは少なくなっています。
■主査
主査とは民間企業における「係長」クラスにあたる役職です。業務を行う最小単位のグループでの管理を行います。
業務の確認や意見の取りまとめなど、一般の職員たちを身近な立場からまとめることが求められます。組織によっては主査を主幹と呼ぶ場合もあります。
■主任
主任は熟練の一般職員を指す役職です。業務における主力の扱いを受けますが、管理職ではなく、あくまでも一般職員となります。管理職に管理される一般職員のなかではもっとも高い階級になるケースがあります。
また、民間企業でも地方公共団体でも共通して「主任」の呼称が使われますが、組織によっては「チーフ」や「シニアスタッフ」と呼ばれます。主事が昇進して主任となります。
主事は一般的な職員を表す役職
主に地方公共団体で使われる役職である主事は、一般的な正規雇用職員を指す言葉です。民間企業でいう平社員であり、若手から中堅が中心となり、日常的な業務を担当します。
地方公共団体で用いられやすい役職としては主務、主幹、主査、主任などがあり、主事はもっとも低い階級です。似た役職の参事は事務や専門スキルを持つ職員で、主事とは異なります。
役職の役割については法的な共通のルールはありません。地方公共団体や国会、団体、民間企業によって変わってくるため、それぞれの役職と混同しないように注意しましょう。