仮面ライダー生誕50周年を記念した最新シリーズ『仮面ライダーリバイス』で活躍するヒーローは「悪魔と契約する仮面ライダー」というのが大きな特徴となった。主人公・五十嵐一輝(演:前田拳太郎)はリバイスドライバー(変身ベルト)とバイスタンプによって「仮面ライダーリバイ」に変身し、一輝に何かとまとわりつく悪魔バイス(声:木村昴)は、一輝が変身すると同時に「仮面ライダーバイス」という名の仮面ライダーとして、実体化を果たす。彼らの戦う相手は、凶悪な悪魔を甦らせるため人間をいけにえにしようと企む悪魔崇拝組織「デッドマンズ」である。
さる7月27日に行われたオンライン製作発表会見では、一輝(とバイス)を中心に、銭湯「しあわせ湯」を営む五十嵐ファミリーが勢ぞろいした。フレッシュな五十嵐3兄妹――一輝、大二(演:日向亘)、さくら(演:井本彩花)、明るく優しい母・幸実(演:映美くらら)によりそう父・元太役には、演劇ユニット「TEAM NACS」メンバーであり、数々の映画、テレビドラマで活躍するベテラン俳優・戸次重幸が招かれ、発表直後はSNSで話題騒然となった。
今回の『仮面ライダーリバイス』キャストインタビューは、五十嵐元太を演じる戸次重幸が登場。自身の「仮面ライダー」への思いや、“売れない投稿動画作成者”というクセの強そうなキャラクター・元太をいかにして演じるかの意気込み、そして息子や娘を演じる若き俳優たちを見守り、導いていく先輩俳優としての気持ちを尋ねた。
――戸次さんが演じられる五十嵐家の父親・五十嵐元太とはどんな人物なのでしょうか。
動画投稿サイトの人気クリエイターになって一攫千金を夢見ているけれど、今まで1円も稼いだことのない“ゴクツブシ”の男です。銭湯の経営はママさんの幸実が一手に引き受けていて、その銭湯自体もママさんが親から譲り受けたもの。おそらく元太は婿養子なんじゃないかな。少なくとも僕はそのつもりで演じています(笑)。本当はせっせと働けばいいのに、よくわからない動画ばかり撮っている。非常にカッコ悪い人物なんですが、実はとても演じるのが難しい役でもあります。ただ、チャランポランでどうしようもないダメオヤジを演じていればいいのかというと、少し違う。難しい演技が必要な役柄です。
――頼りないとはいえ、元太は一家の長らしいしっかりした部分もあるのではないですか。
それが、一家の大黒柱として家族を引っ張っているのはママさんなんです。元太はまったく何もしない。そんな元太を、ママさんは放任している上に、時には擁護までしてくれる。なぜここまでママさんは元太に無償の愛をそそいでくれるのか、その理由なんかもこの1年の間に語られるのかなと期待しています。
――戸次さんが「仮面ライダー」に出演されることについて、ご家族からはどんなリアクションがありましたか。
僕には息子が2人いるのですが、上の子がそろそろ「仮面ライダー」にハマり出す年頃になりました。出演が決まった直後「お父ちゃん、こんど仮面ライダーに出るよ」と言ったら、すごく喜んでくれたんですが、その後でいろんな設定を聞き、シナリオを読んでいくうちに、すぐに言うんじゃなかったと少し後悔しました(笑)。元太という役は、お友だちに自慢が出来ないかもしれないので。仮面ライダー役ならどんどん自慢できるでしょうけど。それでも、愛すべき父親を全力で演じていきたいと思っています。
――子ども時代にお好きだった仮面ライダーは誰ですか?
小学1年生のころに観ていた『仮面ライダースーパー1』(80年)ですね。変身ポーズが拳法の型みたいでね、学校で友だちとよくマネをして遊んでいた思い出があります。
――仮面ライダーの変身ポーズを子どもたちがマネして遊ぶ、というのは、昔も今も形を変えながら受け継がれている魅力といえますね。
一輝役の前田拳太郎くんも、カッコいい変身ポーズを見せていましたね。ああいうのはもう、日本独自の文化といっていいですね。敵に向かって「変身!」と叫んで見得を切る行為は、海外のヒーローものにはない様式美だと聞きました。こんな素晴らしい「仮面ライダー」シリーズに僕が参加することができたのも、役者を続けてきたから。そう考えると、これまでの人生、間違ってなかったなと思いました(笑)。
――戸次さんがドラマやバラエティなどで共演されてきた俳優さんの中にも、仮面ライダーシリーズ出身者の方がいらっしゃったのではないですか。
そうですね。竹財輝之助くんは『仮面ライダー剣(ブレイド)』(2004年)に出ていたと聞きました。「仮面ライダー」で育った若い俳優がどんどん輝いて、大きく羽ばたいていく姿を見るのは、気持ちがいいです。僕はもうすっかり(俳優として)出来上がってしまったので、どこにも羽ばたいていくことができないですが(笑)。