東急電鉄は、道路維持管理システム「インフラドクター」を鉄道の維持管理に応用した「鉄道版インフラドクター」を実用化し、9月7日から東急線内の建築限界検査やトンネル特別全般検査に導入したと発表した。

  • 「鉄道版インフラドクター」計測車両

「鉄道版インフラドクター」は、東急電鉄と首都高速道路、首都高技術の3社が鉄道施設の保守点検と管理作業の精度向上・効率化を目的に共同開発を進めてきた新技術。レーザースキャナによる3次元点群データと高解像度カメラの画像データを取得・解析することにより、建築限界検査とトンネル特別全般検査ができるようになったという。

建築限界検査やトンネル特別全般検査はこれまで、おもに終電後の夜間時間帯に技術者の目視や計測などにより実施してきた。中でもトンネル特別全般検査は、現地に足場を組み立て、目視での検査や打音調査を行う必要があり、検査精度のバラつきや人手不足、検査費用の増加などが課題となっていたという。

  • 実証実験で取得した二子新地駅の3次元点群データ

「鉄道版インフラドクター」の導入により、現地での人力による検査や計測が機械計測に代替され、DX化が可能になるとともに、トンネル内の要注意箇所を効率的に抽出でき、人力による打音調査などが必要な箇所の絞り込みも可能に。作業の効率化や検査精度の向上につながるほか、検査費用も最大で約3割削減できる見込みだという。