ホンダは自動運転車両を使ったサービスの提供に向け栃木県の宇都宮市で実証実験を始める。まずは自動運転に不可欠な高精度地図を作成し、その後はGMの自動運転車両を実際に走らせて安全性の検証などを行う予定。どんなサービスにニーズがあるかは実験を通じて見極めていく方針だ。
自動タクシー? 無人バス?
ゼネラルモーターズ(GM)および同社子会社のクルーズと共同で「自動運転モビリティサービス」の事業化を目指すホンダが、宇都宮市の芳賀町で自動運転の技術実証に着手する。9月中には地図作成車両1台を使った高精度地図の作成を始める方針だ。地図が準備でき次第、自動運転車両「クルーズAV」で公道走行を始める予定。この技術実証には、世界初の自動運転レベル3を実現したホンダ「レジェンド」のエンジニアも参加するとのことだ。実証を行う地域の拡大も検討していくという。
将来的にはホンダ、GM、クルーズが共同開発している自動運転モビリティサービス専用車両「クルーズ・オリジン」を用いた事業を展開する計画だ。事業化は2020年代半ばごろを目指す。どの地域で、どんなサービスを展開するかについては実証を進めながら検討していく方針だという。同サービスの運営は、ホンダ子会社のホンダモビリティソリューションズが担当する。
サービスの具体像については現時点で不明だが、ホンダモビリティソリューションズの高見聡社長が出席した説明会で示されたプレゼンテーション資料には、クルーズ・オリジンを用いた自動運転サービスの「UX」として、「アプリでの配車」「指定場所まで迎えに来てくれる」「広くて快適なプライベート空間で移動時間がより自由に」「目的地に着いたら自動決済」といった文言が並んでいた。これらから想像できることとして、無人タクシーのようなサービスがアイデアのひとつとして浮上しているようだ。大都市ではタクシー、地方都市ではバスといった感じで、都市の規模によりサービスの在り方が変わるのかもしれない。車内を「楽しい空間」(高見社長)にすることも可能とのことなので、移動時間を使ったエンターテインメント(映画や音楽?)の提供もありうる。
自動運転車両をリアルワールドで運行するにあたっては、社会に受容してもらうことが不可欠となる。一度でも自動運転車両が事故を起こすと、周囲の見る目が厳しくなることは想像に難くない。ホンダとしては、「交通参加者、主に歩行者がいるところでの実験ということになるので、交通安全には十分に配慮することが重要。周辺住民の皆様にも配慮し、地域の方々と一緒に技術実証を進めていきたい」(高見社長)とのことだった。