「30局以上の勝率が6割5分以上」の昇級規定を満たして来期からC級2組入り
第52期新人王戦(主催:しんぶん赤旗)の準決勝、▲梶浦宏孝七段-△古賀悠聖四段戦が9月8日に東京・将棋会館で行われました。結果は116手で古賀四段が勝利。決勝三番勝負に進出するとともに、「フリークラスからC級2組への昇級規定」を満たしてC級2組への昇級も決めました。
梶浦七段は竜王戦ランキング戦通算3回優勝の規定により、5月に七段に昇段。決勝トーナメントでも連勝を重ね、ベスト4に進出する活躍は記憶に新しいところです。新人王戦の参加資格を有するのは六段以下の棋士のため、今期が最後の新人王戦出場となりました。
古賀四段は2020年10月にデビューしたばかり。1年目にして早くも決勝進出がかかる大一番を迎えました。
戦型は先手の梶浦七段の左美濃対後手の古賀四段の雁木に。戦いが始まってからは両者一歩も引かない大乱戦となりました。
共に敵玉のすぐ近くに成り駒を作り、激しく攻め合う終盤戦から抜け出したのは古賀四段でした。梶浦玉への攻めの手掛かりを残しつつ、自玉付近の相手の攻め駒を一掃することに成功。最後は梶浦七段の粘りを振り切り、梶浦玉を即詰みに打ち取って勝利を収めました。
これで古賀四段は決勝三番勝負に進出。伊藤匠四段-斎藤優希三段戦の勝者と対戦します。もし伊藤四段が勝ち上がれば、デビュー1年目の同期対決となります。
また、古賀四段はこの勝利で直近30局の成績が20勝10敗(未放映のテレビ対局を含む)になり、「フリークラスからC級2組への昇級規定」である「30局以上の勝率が6割5分以上」を満たしました。
実は古賀四段は三段リーグで2度の次点獲得によって、四段に昇段しています。この場合はフリークラスからのスタートとなり、10年以内に規定の成績を残してC級2組へ昇級しなければ引退となってしまうのです。昇級規定は以下の4つ。いずれも簡単なものではありません。
1.年間対局の成績で、「参加棋戦数+8」勝以上の成績を挙げ、なおかつ勝率6割以上。
2.良い所取りで、30局以上の勝率が6割5分以上であること。
3.年間対局数が「(参加棋戦+1)×3」局以上。ただし、同じ棋戦で同一年度に2度(当期と次期)対局のある場合も1棋戦として数える。
4.全棋士参加棋戦優勝、タイトル戦挑戦。
(将棋連盟ホームページより引用)
しかし、古賀四段はデビューから勝ち続け、1年も経たないうちに条件を満たしたのでした。すでに第80期順位戦は進行中のため、古賀四段の順位戦参加は来期の第81期からとなります。
新人王戦決勝三番勝負進出とフリークラス脱出を同時に達成した古賀四段。2001年1月1日生まれの20歳(提供:日本将棋連盟)