ビジネスシーンでは「左様でございます」という言葉をよく聞きますが、この言葉の適切な使い方がわからないという人もいるでしょう。この記事では、「左様でございます」の意味や正しい使い方を解説します。また、例文や類語・言い換え表現表現についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

  • 「左様でございます」の意味

    「左様でございます」の正しい使い方や意味を説明します

「左様でございます」の意味とは

「左様でございます」は、「その通り」という意味です。相手の発言を肯定する意味合いがあります。また、「左様」には何かをふと思い出した時の「そうそう」「そういえば」といった使い方もあります。

ただし、現代社会のビジネスシーンにおいては、「その通り」という前者の意味で使うことがほとんどです。なお、「左様」は「さよう」と読みます。

なぜ左と書くの?

なぜ「左様」と書いて「その通り」という意味になるのか疑問に思っている人も多いかもしれません。実は、「左様」の「左」は当て字で、元々は「然様」と書くそうです。「然」には「その通り」という意味があるので、これが語源となっています。

「左上右下」という言葉があるように、日本では古くから右よりも左を上位とするしきたりが存在してきました。このことから、敬意を表す意味合いで使う「左様でございます」の当て字になったと言われています。

  • 「左様でございます」の意味

    「左様でございます」を使えば、相手に対する同意や肯定を、丁寧に表現できます

「左様でございます」は敬語?

「左様でございます」は、正しい敬語表現です。「左様でございます」を聞きなれていないと、正しい敬語なのか不安を感じることもあるでしょう。ビジネスシーンでお客様などに使って問題がない敬語なのか、確認していきましょう。

「左様でございます」は正しい敬語

「左様でございます」は、敬語として正しい表現です。お客様や形式的な場での使用にも適しています。「その通りです」というよりも、相手への敬意を表現することが可能です。 状況や相手との関係性に合わせて使うようにしましょう。

「左様でございます」は間違いではない

「左様でございます」は、二重敬語ではありません。種類が同じ敬語を重ねて使うことを二重敬語といい、誤りとされます。しかし、「左様」は形容詞で尊敬語に当たらないため、「左様でございます」は二重敬語にはならず、間違いでもありません。

  • 「左様でございます」は敬語?

    「左様でございます」は敬語として正しいです

「左様でございます」の使い方と例文

「左様でございます」がよく使用される場面での使い方を、例文も交えて解説していきます。 また、「左様でございます」を使う時の注意点についても紹介するので、押さえておきましょう。

ビジネスシーンでの接客や電話応対

ビジネスシーンでの接客や電話応対の時に「左様でございます」は使えます。下記は、お客様の発言を肯定する時の例文です。

A:この商品をオンラインで買う時の決済方法は、クレジットカードですか?
B:左様でございます。

「決済方法はクレジットカードだけ」という、お客様の発言を「その通り」と肯定しています。

「左様でございますか」であいづちに

「左様でございますか」と「か」をつけた形で、あいづちのように使うパターンもあります。

A:送ってもらった商品、数が足りなかったんだけど
B:左様でございましたか。大変申し訳ありません。

お客様からのクレームや指摘を受けた際に、「そうですか」では、他人事のような印象を与えて、相手を怒らせてしまう恐れもあります。「左様でございますか」を使っていったん相手の言い分を肯定することで、丁寧な印象を与えることができます。

メールでも使える

「左様でございます」は、メールでも使われる表現です。会話同様、相手に対する肯定の際に使用でき、お客様からの問い合わせのメールに対する返信などで使います。

例えば、「次回の訪問場所は、3階の事務室でよろしかったでしょうか」という問い合わせが来た場合、返信メールにおける使い方は以下の通りです。

>次回の訪問場所は、3階の事務室でよろしかったでしょうか
左様でございます。
3階事務室にて、お待ちしております。

ビジネスメールでは「>」を文章の先頭につけて、相手のどの発言に対して肯定をしているのか分かるようにしましょう。そして引用の直後に「左様でございます」を使って、相手の発言を肯定します。

相手の文章を「>」でそのまま引用することを、インラインと呼ぶので合わせて覚えておきましょう。

「右様」とはいわない

「左」があるなら、「右」もあるのではと考える人もいるかもしれませんが、「右様(うよう)」という言葉はないので、注意しましょう。「左様」の左は、右左の左ではありません。左様は「その通り」を意味する言葉として使われています。

相手に与える印象に注意

「左様でございます」は、相手への敬意を示す言葉ですが、何度も使いすぎるとくどい印象を与えます。使い過ぎには注意しましょう。

また、直属の上司など目上の人であっても、ある程度親しい間柄の人に使う場合は注意が必要です。「左様でございます」は形式ばった表現なので、近しい距離感の人に使うと不自然な印象があります。

「左様でございます」を使う頻度や場面、相手に注意しましょう。また、必要に応じて、類語表現を使うのも、効果的です。

  • 「左様でございます」の使い方

    実際の例文とあわせてどのような使い方をするのか知っておくことで、スムーズに使えるようになります

「左様でございます」の類語・言い換え表現

「左様でございます」には、似た表現がいくつかあります。類語や言い換え表現を覚えておくことで、相手や状況に合わせた使い分けが可能です。会話の流れも自然になるため、例文とともに覚えておきましょう。

おっしゃる通り

「おっしゃる通り」は、相手の発言に対する同意やあいづちとして使えます。敬語表現なので、ビジネスシーンでのお客様への対応時にも使えると便利です。

A:会場は2階ですよね
B:おっしゃる通りでございます。正面のエスカレーターを上がりまして、2階でございます。

関連記事: 「おっしゃる通りです」とは? メールで使える敬語? 意味や使い方、注意点も

その通り

「その通りです」も、「左様でございます」と同じ意味の言葉です。ただし、「その通りでございます」とした場合でも敬語ではないため、お客様や目上の方に対しての使用には適していません。

「その通り」は友達や、職場でも同僚や部下など、使う相手が限られるので注意しましょう。

A:この書類は、原本とコピーの2部必要ですか。
B:その通り。コピーはうちで保管して、原本は提出だよ。

ごもっとも

「ごもっとも」は、相手の発言を肯定する意味の敬語表現です。「左様でございます」よりも、相手に対する共感が強い印象があり、相手が疑問を感じたこと自体も含めて「その通り」と肯定するニュアンスがあります。

・ごもっともなご意見でございます。

ご指摘の通り

「ご指摘の通り」は、相手の発言の中でも、特に指摘に対する肯定や同意を示す敬語表現です。より丁寧な敬語として使う場合は、「ご指摘の通りでございます」と表現します。間違いなどを指摘された時に、使える表現です。

・ご指摘の通り、イベントの開催日時についての表記に誤りがございました。
・ご指摘の通りでございます。資料の2ページ目と3ページ目が入れ替わっております。

関連記事: 「ご指摘」の意味とは? 「ご指導」「ご教示」との違いは? 言い換えや例文も紹介

  • 「左様でございます」の類語表現

    「左様でございます」の類語も使っていきましょう

「左様でございます」を正しく使いましょう

「左様でございます」は、ビジネスシーンにおいて、よく使われる表現です。お客様への対応時など「左様でございます」がスムーズに出てくると、自然な流れで相手に対しての肯定を表現できます。

「左様でございます」は多用すると、不自然な印象を与えてしまいます。状況に応じて「おっしゃる通り」「ご指摘の通り」などに言い換えて、相手に失礼がないように肯定の気持ちを表現しましょう。