サムスンの折りたたみ(フォルダブル)スマートフォン「Galaxy Z」シリーズの最新モデル「Galaxy Z Fold3 5G」「Galaxy Z Flip3 5G」の2モデルが日本でも発表されましたグローバル版の発表から1カ月弱と、早期に日本での発売も決定した形です。ただし発売はいずれも10月上旬以降で、NTTドコモとKDDIから。まずは「Galaxy Z Fold3 5G」を試したインプレッションをお届けします。

  • Sペンによる手書き入力に対応したGalaxy Z Fold3 5G

    Sペンによる手書き入力に対応したGalaxy Z Fold3 5G

唯一無二のフォルダブル「Galaxy Z Fold3 5G」

Galaxy Z Fold3 5Gは横折りのフォルダブルスマートフォンで、折りたたむと通常のスマートフォン、開くとタブレットとして利用できる点が特徴。スマートフォンとしては6.2インチDynamic AMOLED 2Xを搭載。画面サイズは一般的なスマートフォンですが、アスペクト比が24.5:9とかなり細身。それでも「分厚いスマートフォン」としては使えます。

  • 折りたたんだ状態

    折りたたんだ状態。一見するとちょっと細長い普通のスマートフォン

  • 背面にはカメラを3つ搭載

    背面にはカメラを3つ搭載

  • 折りたたみ状態横から1
  • 折りたたみ状態横から2
  • 折りたたんだ状態だとスマートフォン2台分に近い厚みはあります

  • 折りたたみ状態側面から

    側面から見るとスマートフォンを2台重ねて持っているようにも見えます

開くと現れるのが7.6インチという大画面のDynamic AMOLED 2X Infinity Flexディスプレイ。タブレットとしては大画面とは言えませんが、スマートフォンに比べれば大画面で、コンテンツの視聴やテキスト入力で威力を発揮します。

  • 本体を開いたところ

    本体を開いたところ。大画面タブレットとして使えます

この大画面を生かすのがSペンのサポートです。これまでのシリーズではペン入力をサポートしていませんでしたが、とうとうSペンでの手書き入力に対応。大画面での手書き入力は快適で、さらに専用Sペンの書き味はかなり良好ですので、手書きメモやイラスト作成など様々なシーンで役立ちそうです。

  • 3種類のペン

    上からS Pen Pro、S Pen Fold Edition、従来のGalaxy Note用Sペン。本体に収納できない代わりに、太く長くなったので持ちやすさは向上しています

  • S Pen Pro利用シーン

    S Pen Proはさすがに太く長く、本格的なイラスト作成などで使うイメージでしょうか

  • S Pen Fold Edition利用シーン

    S Pen Fold Editionは一般的なペンと同じような感覚で手書きができます。バランスは最もよいでしょう

  • 従来のGalaxy Note用Sペン

    従来のGalaxy Note用Sペン(Z Fold3では使用できません)。Note本体に収納できるのは便利で、必要十分な書き味でしたが、改めて太いペンを使うと、やはりペンには一定の太さが必要と感じました

それでいながら、折りたためばスマートフォンサイズで持ち歩けるというのがメリット。大画面タブレットを一生懸命持ち歩かなくても、手軽に取り出して手書きができます。

実際に手書きをしてみたところ。滑らかに書けて書き味は良好です

Z Fold3はディスプレイを折りたたむという構造上、画面の素材を強固にできません(折りたためなくなってしまいます)。そのため、ペンで強く画面を押し込むと破損してしまう危険性があります。結果として、専用Sペンでは強く押し込むとペン先がペン内に押し込まれる機構を採用しました。これによって押し込む力を逃がすわけですが、従来のSペンにはそうした機構がありません。

  • 従来のGalaxy Note用Sペンの警告

    従来のGalaxy Note用Sペンで画面に触れると警告表示が出ます

  • S Pen Proのペン先を押し込む

    S Pen Proのペン先を強く押し込むと……

  • ペン先が沈み込む

    ペン先が沈み込みます。これはS Pen Fold Editionでも同様です

従来のSペンをZ Fold3の画面に触れさせると警告が表示されて使えません。逆に、Z Fold3専用Sペンは従来のGalaxy Noteには使えません。これは、Sペンを区別するために異なる周波数を使っているからだそうです。別売されるS Pen Proでは、スイッチでFold用と従来用を切り替えられるため、1つのペンで双方のデバイスで手書きができるようになっています。

  • S Pen Proの切り替えスイッチ

    上がS Pen Pro。スイッチを切り替えることで従来のSペンとZ Fold3用の切り替えができます

  • S Pen Fold Edition用ケース

    Sペンを本体に収納はできませんが、S Pen Fold Editionを収納できる専用ケースも用意しています

  • ペンを収納

    専用ケース使用時、ペンは向かって左側に収納されるため、やや取り出すのが面倒ではあります

  • 閉じた状態

    ペンを使いたい場合、背面を向けてペンを取り出し、一気にタブレットの状態に開くと良さそうです

  • タブレット状態

    タブレットの状態になったところ

  • カバー側

    カバー側ディスプレイで操作している状態で開くと通常のスマートフォンのフリップカバーのように使えます

  • カバーを折りたたんだ状態

    カバーを折りたたんでテーブルに置くと、なかなかちょうどいい角度になって便利です

  • テキストメモの手書き入力

    手書きしたメモをテキスト化することも可能。これはGalaxy Noteにもあった機能(Galaxy Noteアプリを利用)で、認識精度はかなり良好

  • テキストボックスへの手書き入力

    メモアプリだけでなく、テキストボックスに直接手書きで入力することもできます

  • テキストに変換された

    手書きした内容がテキスト変換されました

実際にテキストボックスに手書き入力したところ。手書きの「Galaxy」という文字列が変換されてテキストボックスに入力されます

  • マルチウィンドウ

    大画面を生かしたマルチウィンドウも便利

  • 4つのアプリを起動

    最大4つのアプリを起動できます

  • フレックスモード

    普通のタブレットにもスマートフォンにもない使い方が、この半ば折りたたんだ状態で自立させるフレックスモード。画面が半分になって、上下でアプリを使い分けられます

  • ディスプレイの折れ目

    見る角度を変えればディスプレイの折れ目が分かるのですが、使っている間はそれほど気になりません

さらに防水性能も備えたことで、濡れた手で持っても雨の中で使っても問題なく使えるようになりました。折りたたむという構造ながら、その全体をシーリングするなどして防水性能を備えたのはさすがの技術力です。

  • 水に濡れた状態

    IPX8相当の防水性能を備えており、1.5mの水深で30分まで防水性能が維持できるとしています

日本版では、これに加えてFeliCaを搭載したことで、おサイフケータイやGoogle Payによるキャッシュレス決済もサポートしました。これによって、現行のスマートフォンでできることはほとんどカバーし、これ1台で様々なシーンに対応できる高い完成度を実現しています。

  • au版/ドコモ版の背面

    折りたたんだ状態での背面の右側にFeliCaを内蔵。左はau版でロゴは最小限。右がドコモ版です

問題は、グローバル版とは異なりシングルSIMとなっている点。この仕様を主導しているのはキャリア側ですが、キャリア自身がeSIMへの取り組みを開始している中、グローバル版のデュアルSIM+eSIMという仕様を維持してほしかったところです。今後、そうした仕様のSIMフリー版をサムスンが発売してくれると嬉しいのですが……。

  • Foldシリーズ3モデル

    ちょっと分かりづらいですが、これまでのシリーズ3モデルを並べたところ。左から初代Fold、2代目のZ Fold2 5G、そしてZ Fold3

  • Foldシリーズ3モデル 折りたたみ状態

    初代は折りたたんだときのカバーディスプレイが小さかったのですが、2代目からは大型化してスマートフォンライクに使いやすくなりました

  • アンダーディスプレイ拡大1
  • アンダーディスプレイ拡大2
  • Z Fold3の特徴の1つとして、インカメラがディスプレイに埋め込まれたアンダーディスプレイタイプを採用している点が挙げられます。目立たないかと言われれば、それなりに存在は見えますが、ふと一瞬インカメラの存在を忘れられる、という印象です

いずれにしても、10月上旬の発売に向けて早くもキャリアでは予約が開始されています。ドコモ版の一括価格は23万7,600円。決して安い価格ではありませんが、Z Fold2のau版が25万9,980円だったため、それでも低価格化しています。

現状、折りたたみで防水でおサイフケータイでペン入力対応で……という盛りだくさんの端末はZ Fold3のみ。そうした唯一無二の機能が魅力でしょう。

  • au版の2カラー

    ちなみにau版のみ本体カラーとしてファントムブラックに加えてファントムグリーン(右)が用意されています