帝国データバンクは9月7日、「新型コロナウイルスによる企業業績への影響調査(2020年度)」の結果を発表した。調査は、同社保有の企業財務データベースの中から、2020年度決算業績が判明している約10万7,000社(金融・保険を除く)のデータを抽出し、集計した。
2020年度決算の企業業績をみると、全産業(金融・保険を除く)約10万7,000社のうち、「減収」となった企業は、2019年度から18.0pt増の58.3%。業種別でみると、減収企業の割合は製造が7割を超え、非製造でも55.6%を占めた。
一方、「増収」となった企業は41.5%と、前年度から11.9pt減少し、コロナ禍が売り上げに与える影響が明らかに。前年からの売上高伸び率平均は0.2%のマイナスとわずかな減収幅ながらも、2019年度(+6.8%)から一転してマイナスとなっており、2019年度(+6.8%)から減少に転じた
業種ごとの売上高伸び率平均をみると、43業種中27業種でマイナスに。最も落ち込みが大きかったのは「宿泊業」でマイナス28.5%。次いで「飲食店」、「娯楽業」と続き、新型コロナウイルス感染拡大が企業業績に大きな影響を与える結果に。対して、売上高の増加率が高かったのは、「電気通信・郵便」(+11.0%)、「教育」(+8.0%)、「不動産」(+6.2%)。多くの業種がマイナスの影響を受けた一方、 働き方、生活様式の変化に伴う需要が生まれたことで、増収を維持する業種も見受けられた。
企業が持つ現預金の余力を示す「現預金手持日数」は、全産業の平均で99日分となり、2019年度(74日分)と比較すると、25日分の増加という結果に。製造は同28日分増加の105日分、非製造も同24日分増加の98日分と前年度から増加。新型コロナウイルス感染拡大に伴う、各種制度融資などを利用した資金確保が進んでいることがうかがえた。
また、月商に対する有利子負債の割合を示す「有利子負債月商倍率」は全産業の平均で5.1倍(2019年度4.1倍)に達しており、借入金を増やすことで資金を確保し、不測の事態に備える動きがみられる結果となった。