アクアは9月6日、両開きタイプのデザイン冷蔵庫「TZシリーズ」に、特別版となる「Special Edition」を発表しました。従来モデルに「LED野菜室機能」などを追加した多機能モデルです。カラーもスタイリッシュなダークシルバー色に。Special Editionモデルは512LタイプのAQR-TZA51Kと、420LタイプのAQR-TZA42Kを用意します。価格はオープン、推定市場価格と発売日は、AQR-TZA51Kが330,000円前後で9月15日、AQR-TZA42Kが308,000円前後で9月22日です。

  • 512LタイプのAQR-TZA51Kとマイナビニュース・デジタルの林編集長(身長は165cm)。本体サイズは幅830×奥行き635×高さ1825mm、本体質量は133kg。女性でも一番上の棚の奥まで手が届くように、比較的背が低く、奥行きは浅めにデザインされています

  • 420LタイプのTZシリーズ。左から旧モデルのダークウッドブラウンとサテンシルバー、そしてダークシルバー色のSpecial Edition(AQR-TZA42K)です。AQR-TZA42Kは本体サイズが幅700×奥行き635×高さ1825mm、本体の重さは121kg

光の力で野菜を長持ちさせるツインLED

一見すると従来モデルと同じように見えるTZシリーズ Special Editionですが、さまざまな点が進化しています。わかりやすいポイントとしては、本体カラーにTZシリーズとしては初めてのダークシルバーを採用したこと。

アクアによると、最近はキッチン家電をダーク色で統一するユーザーが増え、家電製品のプレミアム系モデルにもツヤ消しブラック色が増えているそう。今回のSpecial Editionは、そうした家電と配色を合わせやすいマットなダークシルバーを採用しました。TZシリーズは2019年の発売以来、インテリアにこだわるユーザーから根強い人気があるだけに、カラーリングにも注目です。

  • 冷蔵庫は表面積が広い「物体」なので、完全な黒色にするとキッチン全体が重い印象に。世界的なプロダクトデザイナーの深澤直人氏によって、「ダークだけど重すぎない」ギリギリの絶妙なカラーリングを目指したといいます

  • AQR-TZA51Kのドアを開いたところ。上が冷蔵室、下が冷凍室です。国内の冷蔵庫としては、かなり冷凍室が大きくとられています。庫内LEDの多さも特徴的です

機能面も大きく進化しました。最大のポイントは野菜室。TZシリーズは従来モデルから、野菜室を半密閉構造にしてHCS-Vフィルターを搭載していました。このフィルターが野菜庫の湿度を高く保ちつつも、余分は湿気は放出して結露を抑制します。Special Editionでは、この湿度コントロール機能に加えて、野菜庫に特殊な近赤色LEDと赤色LEDを配置した「ツインLED野菜ルーム」となりました。

  • ドアクローズ時とオープン時、3秒間だけ野菜室内の赤色LEDが点灯

  • ツインLEDの近赤色LEDと赤色LEDでできること

近赤色LEDには、北海道電力(ほくでん)が開発したジャガイモの緑化防止ライト「ポテライト」の技術を応用。冷蔵庫に入れたジャガイモを発芽させない効果があります。

  • 常温で1カ月保存したジャガイモ(写真右)と、近赤色LED搭載のSpecial Editionの野菜室で保存したジャガイモ(写真左)。近赤色LEDを照射したジャガイモは、芽が出ていません

赤色LEDには、植物の光合成を促進したり、野菜から発生するエチレンガスを抑制したりする効果があるそうです。

エチレンガスは野菜の成熟を促して軟化・腐敗させるほか、野菜の呼吸を促して糖分や有機物を減少(野菜の重さも減少)させる働きがあります。野菜がほどよく熟すと美味しくなりますが、美味しい状態を過ぎると腐敗が近づいてきます。赤色LEDは植物内部で作られるエチレンを抑え、野菜の成熟と呼吸も抑制。トマトやイチゴといった野菜が時間とともに柔らかくジュクジュクになるのを防ぎます(もちろんいつまでも腐らないわけではありません)。

  • 14日間保存したトマトの固さ比較グラフと、5日間保存したイチゴの比較写真。7日間保存したキャベツでは、ビタミンCの残存量が一般的な冷蔵庫(野菜室)と比較して約16%アップしていたそうです

アクアのお家芸「オゾン除菌機能」

冷蔵室には、マイクロオゾン除菌機能も搭載しました。たとえば、スーパーで購入する食材の衛生状態に不安を感じるようなユーザーにうれしい機能です。アクアは、前身の三洋電機時代(2006年~)からオゾン除菌製品を発売しており、オゾン除菌・除臭を備えた製品に定評あるメーカーです。現在もオゾン除菌機能を搭載した業務用の洗濯機や業務用のオゾン除菌器をラインナップしています。

  • 冷蔵室奥に配置されたマイクロオゾン発生器。オゾン機能を使いたくない場合は停止も可能

  • 浮遊菌や付着菌、脱臭作用の経過グラフ。自然減衰よりもすばやく除菌できています

最後の新機能が、AQR-TZA51Kのみ搭載の「自動クイック冷凍機能」です。512LタイプのTZシリーズは、もともと約-30℃の冷気で食材を急速冷凍する「クイック冷凍」機能を持っています。ただ、従来モデルでクイック冷凍機能を利用するには、食材を専用トレイにセットしたあと「クイック冷凍」ボタンを押す必要がありました。新モデルのSpecial Editionはトレイ上部に温度センサーを搭載し、凍っていない食材を検知すると自動的にクイック冷凍機能が働きます。クイック冷凍機能を使うと、調理したの料理で粗熱をすばやく冷ましたり、肉や野菜を一気に冷凍させて解凍時のドリップを減らしたりできます。

  • 「自動クイック冷凍機能」が使えるのは、右上の冷凍室にある金属トレイがセットされた一区画のみ

TZシリーズは、そのデザイン性の高さからインテリアにこだわりのあるユーザーからとても人気の高いシリーズです。引き出しで区分けされた一般的な冷蔵庫よりも大容量の冷凍室など、ほかの国内メーカーにはない特徴的な機能も多く搭載しています。

一方でこの数年、国内大手家電メーカーは冷蔵庫のプレミアムモデルに続々と特徴的な野菜保存機能を加えてきました。アクアの旧TZシリーズは野菜保存機能が湿度コントロールのみと、もの足りなさを感じていた人もいるでしょう。今回のSpecial EditionはツインLEDによって野菜保存にも力を入れています。

  • 旧モデルは野菜室の小ささも指摘されていましたが、Special Editionではキュウリや葉物野菜などをポケットに収納できるスペースも。このスペースでは高湿度コントロールやツインLEDは利用できませんが、全体では従来モデルよりも多くの野菜を保存できるようになったのは、素直にうれしいポイントです

また、除菌機能が注目されるいま、アクアが得意とするオゾン除菌・除臭機能を搭載した点にも注目。実際にTZシリーズのSpecial Editionを見たところ、旧製品と大きく機能が変わったわけではありませんが、いまのトレンドをうまくキャッチして、ユーザーのニーズに合わせた進化をしている製品だと感じました。