アクアは9月6日、両開きタイプのデザイン冷蔵庫「TZシリーズ」に、特別版となる「Special Edition」を発表しました。従来モデルに「LED野菜室機能」などを追加した多機能モデルです。カラーもスタイリッシュなダークシルバー色に。Special Editionモデルは512LタイプのAQR-TZA51Kと、420LタイプのAQR-TZA42Kを用意します。価格はオープン、推定市場価格と発売日は、AQR-TZA51Kが330,000円前後で9月15日、AQR-TZA42Kが308,000円前後で9月22日です。
光の力で野菜を長持ちさせるツインLED
一見すると従来モデルと同じように見えるTZシリーズ Special Editionですが、さまざまな点が進化しています。わかりやすいポイントとしては、本体カラーにTZシリーズとしては初めてのダークシルバーを採用したこと。
アクアによると、最近はキッチン家電をダーク色で統一するユーザーが増え、家電製品のプレミアム系モデルにもツヤ消しブラック色が増えているそう。今回のSpecial Editionは、そうした家電と配色を合わせやすいマットなダークシルバーを採用しました。TZシリーズは2019年の発売以来、インテリアにこだわるユーザーから根強い人気があるだけに、カラーリングにも注目です。
機能面も大きく進化しました。最大のポイントは野菜室。TZシリーズは従来モデルから、野菜室を半密閉構造にしてHCS-Vフィルターを搭載していました。このフィルターが野菜庫の湿度を高く保ちつつも、余分は湿気は放出して結露を抑制します。Special Editionでは、この湿度コントロール機能に加えて、野菜庫に特殊な近赤色LEDと赤色LEDを配置した「ツインLED野菜ルーム」となりました。
近赤色LEDには、北海道電力(ほくでん)が開発したジャガイモの緑化防止ライト「ポテライト」の技術を応用。冷蔵庫に入れたジャガイモを発芽させない効果があります。
赤色LEDには、植物の光合成を促進したり、野菜から発生するエチレンガスを抑制したりする効果があるそうです。
エチレンガスは野菜の成熟を促して軟化・腐敗させるほか、野菜の呼吸を促して糖分や有機物を減少(野菜の重さも減少)させる働きがあります。野菜がほどよく熟すと美味しくなりますが、美味しい状態を過ぎると腐敗が近づいてきます。赤色LEDは植物内部で作られるエチレンを抑え、野菜の成熟と呼吸も抑制。トマトやイチゴといった野菜が時間とともに柔らかくジュクジュクになるのを防ぎます(もちろんいつまでも腐らないわけではありません)。
アクアのお家芸「オゾン除菌機能」
冷蔵室には、マイクロオゾン除菌機能も搭載しました。たとえば、スーパーで購入する食材の衛生状態に不安を感じるようなユーザーにうれしい機能です。アクアは、前身の三洋電機時代(2006年~)からオゾン除菌製品を発売しており、オゾン除菌・除臭を備えた製品に定評あるメーカーです。現在もオゾン除菌機能を搭載した業務用の洗濯機や業務用のオゾン除菌器をラインナップしています。
最後の新機能が、AQR-TZA51Kのみ搭載の「自動クイック冷凍機能」です。512LタイプのTZシリーズは、もともと約-30℃の冷気で食材を急速冷凍する「クイック冷凍」機能を持っています。ただ、従来モデルでクイック冷凍機能を利用するには、食材を専用トレイにセットしたあと「クイック冷凍」ボタンを押す必要がありました。新モデルのSpecial Editionはトレイ上部に温度センサーを搭載し、凍っていない食材を検知すると自動的にクイック冷凍機能が働きます。クイック冷凍機能を使うと、調理したの料理で粗熱をすばやく冷ましたり、肉や野菜を一気に冷凍させて解凍時のドリップを減らしたりできます。
TZシリーズは、そのデザイン性の高さからインテリアにこだわりのあるユーザーからとても人気の高いシリーズです。引き出しで区分けされた一般的な冷蔵庫よりも大容量の冷凍室など、ほかの国内メーカーにはない特徴的な機能も多く搭載しています。
一方でこの数年、国内大手家電メーカーは冷蔵庫のプレミアムモデルに続々と特徴的な野菜保存機能を加えてきました。アクアの旧TZシリーズは野菜保存機能が湿度コントロールのみと、もの足りなさを感じていた人もいるでしょう。今回のSpecial EditionはツインLEDによって野菜保存にも力を入れています。
また、除菌機能が注目されるいま、アクアが得意とするオゾン除菌・除臭機能を搭載した点にも注目。実際にTZシリーズのSpecial Editionを見たところ、旧製品と大きく機能が変わったわけではありませんが、いまのトレンドをうまくキャッチして、ユーザーのニーズに合わせた進化をしている製品だと感じました。