贈り物をしたいときに、どのような言葉と一緒に贈ろうか悩む人もいるのではないでしょうか。そのようなときに使えると便利なのが、「ささやかながら」という言葉です。
本記事では、ささやかながらの意味や使い方について解説していきます。また、例文や似ている言葉についても解説していくので、相手やシーンにあわせて自由に使えるようになりましょう。
「ささやかながら」の意味とは
ここでは、「ささやかながら」の意味と漢字表記を解説します。
「ささやかながら」の意味
「ささやか」は「小さくて細かい様子や小規模なさま、わずか」といった意味をもっています。「ながら」は「~ではあるが、~にもかかわらず」の意味をもちます。
この2つの単語を組み合わせることで、「たいしたものではありませんが、わずかばかりではありますが」という意味になります。実際に粗末なものを贈るのではなく、自分の贈り物や催し事を謙遜する気持ちを表しています。
「ささやかながら」の漢字表記は?
ひらがなで使われることが多いですが、実は漢字で書くこともできるのです。「ささやか」は「細やか」と書くことができるので、漢字表記は「細やかながら」です。
ただ、「こまやか」と同じ表記になってしまうので、間違った伝わり方をしてしまう可能性が高いです。紛らわしい表現にならないように、ひらがなで書くことをおすすめします。
「ささやかながら」の使い方・例文
それでは実際に使われがちなシーンごとに例文を見ていきましょう。適切な場面で正しい使い方ができるように、例文をもとに使い方を想像してみてください。
■プレゼントを贈るとき
最も使われる場面としては、贈り物やプレゼントをするときでしょう。自分の贈るものを謙遜することで、相手への敬意を表現します。「ささやかながら、贈り物を用意しましたのでお受け取りください」などと表現しましょう。
■送別会や懇親会で使うとき
自分が開催した送別会や懇親会に対して使うこともあり、「ささやかながら送別会を催したく存じますので、ご案内いたします」のように使います。主催する立場をへりくだることで、参加者に敬意を払います。言葉通りにささやかなものである必要はなく、たいしたものではないという謙遜の気持ちを表しています。
■結婚式で使うとき
こちらも自分たちが主催する結婚式を謙遜する表現です。結婚式を開催する側が、参加してくれた人に対して敬意を払います。スピーチなどで、「本日はご参加いただきありがとうございます。ささやかながら、この席を設けさせていただきましたので、楽しい時間をお過ごしいただければ幸いです」のように使います。
主催者が使う言葉なので、招かれた側が使うのは失礼に値します。そのため、友人からのスピーチなどでは使ってはいけません。
■応援したいとき
誰かを応援したいときに、自分の応援は役に立たないかもしれないという謙遜の気持ちで使います。「ささやかながら応援しております」と表現することで、謙遜しながらも応援する気持ちを伝えることができます。
「ささやかながら」を使うときの注意点
よく使われるシーンと例文を把握できたところで、正しく使うために押さえておきたいポイントについて解説していきます。注意点をしっかり把握して、失礼のないように使っていきましょう。
■何がささやかなのかをはっきりさせる
「ささやか」なのは何なのか対象をはっきりさせることが重要です。具体的に表現しないと、相手に誤解を与えてしまう可能性があります。例えば「ささやかながらがら集まりを開催いたします」とすると、集まった人たちがささやかだというようにとらえられてしまうかもしれません。そうならないよう、「ささやかながら〇〇会を開催いたします」のように、具体性を重要視しましょう。
■相手のものには使わない
謙遜の表現なので、相手の贈り物や催しなどに使ってしまうと失礼に値します。ささやかと表現する対象は、自分や自分の身内が用意した贈り物や催しに限定しましょう。
「この間開催してくれた歓迎会は、ささやかながら楽しかった」となると、相手が開催してくれた会が粗末なものだったということになってしまいます。
相手にマイナスな印象を与えないためにも、対象は自分か自分の身内に限られているかを確認しましょう。
■高価なものを贈るときに使うと嫌味にとられるかも
謙遜の気持ちを表現する言葉なので、高価なものを贈る際にも間違った表現ではありません。ただ、「高価なものだが自分にとってはささやかだ」という嫌味にとらえられてしまうこともあります。
そのため、一般的に高価なものや大掛かりな催しなどを対象にするのはおすすめできません。値段が具体的に線引きされているわけではないので判断が難しいですが、相手のことを考えて嫌味にならないかを確認してみてください。
「ささやかながら」の類語・言い換え表現
ここからはささやかながらを別の表現で言い換えたいときに使える類語について解説していきます。複数の表現を把握しておくことで、相手や場面によって違う表現をすることができるので表現の幅が広がるでしょう。
■「つまらないものですが」
贈り物をもらうときに「つまらないものですがお受け取りください」といわれたことがあるでしょう。この表現でも、本当につまらないものを贈るのではなく、これは謙遜の気持ちです。
ただ、謙遜したつもりがつまらないものを贈る人だととらえられ、相手によっては不快感を抱かれることもあります。マイナスにとらえられてしまう可能性を考えると、他の表現をしたほうがいいかもしれません。
■「ほんの気持ちですが」
「ほんの」は「つまらない、小さい」といった謙遜の表現です。贈り物をするときに使い、カジュアルなニュアンスになるので親しい相手に使うようにしましょう。友人にも使える表現で、日常生活で贈り物をするときにも使えます。
■「お納めください」
贈り物を贈る際に、「受け取ってください」という意味で使います。かしこまった表現なので、ビジネスシーンで使われることが多く、目上の人に使っても失礼にはなりません。ビジネスシーンだけでなく、お葬式やお通夜など香典を供える場合にも使うことができます。丁寧な気持ちを表現したいときに使うといいでしょう。
■「お祝いのしるしです」
お祝い事に関する贈り物をするときに使える表現で、結婚式や出産時の贈り物を渡す場合などに使います。お祝いの言葉を添えると、その場を祝福している気持ちがより伝わるので、一緒に使ってみてください。ビジネスシーンで使う場合は、昇進や栄転などのタイミングになるでしょう。
相手へ謙遜の気持ちを表現する表現「ささやかながら」
ささやかながらを使うと、贈り物やプレゼントを贈るとき、歓迎会や結婚式など催しを開催する際などに謙遜する気持ちを表現することができます。
ビジネスシーンだけでなく、プライベートでも使うことができる表現なので、相手を敬う気持ちを表現したいときに使いましょう。似たような意味をもつ類語が複数あるので、いくつか把握しておくと適切な場面で使いわけができるでしょう。
ささやかながらを使うときには、対象を具体的にしたり、相手のものには使わないように気をつけたりする必要があります。注意点をしっかり把握して、相手に不快な思いをさせないようにしましょう。