角換わりの将棋で終盤一気に抜け出す

第42回将棋日本シリーズJTプロ公式戦(主催:地方新聞11社)の二回戦第一局、▲広瀬章人八段-△豊島将之JT杯覇者戦が9月4日に東京都「シャトーアメーバ」で行われました。結果は108手で豊島JT杯覇者が勝利し、ベスト4へ進出。連覇まであと2勝としています。


第42回将棋日本シリーズJTプロ公式戦のトーナメント表

前回大会優勝者(豊島将之JT杯覇者)とタイトル保持者(渡辺明名人、藤井聡太二冠、永瀬拓矢王座)、それに賞金ランキング上位者を合わせた上位12名の選抜された棋士によって争われる、将棋日本シリーズJTプロ公式戦。持ち時間は10分、切れたら1手30秒未満、他に1分単位で合計5分の考慮時間という、超早指し棋戦です。

振り駒で先手番になったのは広瀬八段。戦型は両者得意の角換わりになりました。

お互いに手待ちで戦機を探り、先攻したのは先手の広瀬八段でした。豊島JT杯覇者は金銀の形を乱されつつも、角を打って反撃。広瀬八段も角を打って局面は激しさを増しました。

混戦を抜け出したのは豊島JT杯覇者。手にした銀で角を入手し、その角で飛車・金取りをかけたのが決め手級の一手。広瀬八段はやむなく飛車を見捨てて豊島玉へと迫っていきますが、あと一押しが足りません。

広瀬八段の攻めが緩んだタイミングで豊島JT杯覇者は飛車を敵陣に打ち下ろし、2枚の飛車で縦横から広瀬玉に襲い掛かります。広瀬八段は銀を自陣に投入して粘りますが、縦からにらみを利かせていた8四の飛車を△8六飛と切ったのが豊島JT杯覇者の決め手。この飛車を取ると自玉が詰んでしまう広瀬八段はここで投了を告げました。

この勝利で豊島JT杯覇者はベスト4に進出。次戦で渡辺明名人-木村一基九段戦の勝者と決勝進出を懸けて戦います。

連覇が懸かる豊島JT杯覇者。写真は叡王戦五番勝負第4局のもの(提供:日本将棋連盟)
連覇が懸かる豊島JT杯覇者。写真は叡王戦五番勝負第4局のもの(提供:日本将棋連盟)