米Microsoftは現地時間2021年8月31日、公式ブログを通じて、Windows 11を2021年10月5日から提供開始することを明らかにした。正直、驚きである。
確かに、MicrosoftはWindows 11を2021年秋にリリースすると表明していたが、Windows 11 Insider Previewの更新頻度を踏まえると、「早くても晩秋だろう」と見ていた。アプリやOSのUI基盤となるWinUI 3(旧Project Reunion)もGA版(一般提供版)に達しておらず、Windows App SDK 1.0もリリース予定日は2021年第4四半期である。
もっとも6年という月日を経て、Windows 10は完成度を高めてきた。振り返ると3Dオブジェクト作成機能の廃止や、アップデートチャネルの混乱といった紆余曲折はあったものの、基盤としてのOSと見れば必要にして十分である。UI周りの修正にとどまるのであれば、大規模な改修は不要なのだろう。
Microsoftは先の公式ブログで、Windows 11が備える11の特徴を列挙している。詳細はそちらを確認していただきたいが、端的にまとめると「デザイン」「スタートボタン」「スナップ機能」「Microsoft Teamsチャット」「ウィジェット」「DirectX12 Ultimateなど」「Microsoft Store」「アクセシビリティー」「開発環境」「音声入力をはじめとするUI」「ハイブリッドワークOS」がWindows 11のアピールポイントだという。正直に感想を言えば、いずれも「Windows as a Service」を冠としたWindows 10を上回る特徴とはいいがたい。一部のユーザーには大きなアドバンテージとなるはずのAndroidアプリ動作も、今後のWindows 11 Insider Previewに持ち越しだ。
Windows 11のシステム要件はやや厳しい。サポート対象となるCPUには制限があり、TPM 2.0必須など一部のPCでは快適に動作しない可能性が高い。なお、Microsoftは現地時間2021年8月27日に公式ブログでサポート対象CPUのラインナップを更新した。合わせて、ユーザーのPCがWindows 11システム要件を満たしているかチェックする「PC正常性チェック」をアップデートしている。
おそらく新規インストールメディアを用意すれば、サポート外のCPUでもWindows 11は動作するだろう。ただ、Microsoftは先の公式ブログで「最小システム要件を満たしていないPCと要件を満たしたPCを比較すると、満たさないPCではBSoD(ブルースクリーン)が52%多く発生した。(中略)未サポートのハードウェア環境でも、アプリのハングアップが17%、ファーストパーティー製アプリ(MS製アプリと思われる)が43%多くクラッシュした」と述べている。このテレメトリーデータは無視できない。前述のシステム要件や安定性に関わる情報を踏まえると、システム要件を満たさないPCはWindows 10のサポート終了日となる2025年10月14日まで継続利用し、Windows 11 PCへ段階的に移行するのが賢そうだ。