鹿児島県阿久根市とトラストバンク、ならびにトラストバンク阿久根は9月2日、地域内再生可能エネルギー活用モデル構築事業に関する包括連携協定を締結した。
昨今、脱炭素社会に向け、2050年二酸化炭素実質排出量ゼロに取り組むことを表明している自治体が増え、地域の再生可能エネルギーへの関心が高まっている。阿久根市は、今回の事業を再生可能エネルギーの導入による自立循環型社会の構築への第1歩として位置づけ、2050年に二酸化炭素の実質排出量ゼロを目指すとともに、災害に強いまちづくりに取り組む。
トラストバンクは、地域経済の循環を促すうえで、地域からの漏れが大きい電力インフラにおいて、地産地消のエネルギーを目指す「エネルギー事業」を展開している。
今回の協定締結は、地域内再生可能エネルギー活用モデル構築事業の実施により、地域の脱炭素化を目指し、再生可能エネルギーの活用推進およびレジリエンスの向上に寄与することを目的としている。
同協定では、阿久根市内でのエネルギー地産地消を目指し、主に「地域の脱炭素化および再生可能エネルギーの活用推進」「地域内再生可能エネルギーの効率的な活用のための公共施設の設備制御」「非常時における関係公共施設などの電力確保などのレジリエンス向上」の3点において連携する。
具体的には、トラストバンク100%出資の「トラストバンク阿久根」が、太陽光発電などの電源や電力を貯蔵する蓄電池などを調達し、地域内再生可能エネルギー活用モデルの構築を行う。発電設備により発生した電力は自営線などを通じて、阿久根市の公共施設に供給していく。
今回、阿久根市内に地域マイクログリッド網として地産地消の再生可能エネルギーシステムを構築することで、従来のエネルギーシステムでは域外に漏れていた電力が域内の需要家に届き、電気料金も同市内に循環することが可能となる。さらに同市内のCO2排出量の削減が見込め、発電された電力の一部が供給される阿久根市内の公共施設においては、約80%のCO2排出量の削減効果も期待できるという。
さらに、自治体単位の分散型エネルギーシステムを構築するため、非常時における域内での電力確保を実現し、大規模災害など地域の防災や減災対策にも寄与する。
同協定では、トラストバンク100%出資の「トラストバンク阿久根」を設立。トラストバンク阿久根は、再生可能エネルギーの運用におけるノウハウと同社の事業による収益を阿久根市に残すため、阿久根市および地元企業の資本を受け入れることで、トラストバンクの資本比率を下げ、将来的に阿久根市および地元企業による地域エネルギーに限らない地域経済循環の仕組構築を目指す。