12人の映像監督による12本の短編映画製作プロジェクト『DIVOC-12』三島有紀子監督チームの予告映像が2日、明らかになった。
同プロジェクトは、ソニーグループが新型コロナウイルス感染症により世界各国で影響を受けている人々を支援するために設立した「新型コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金」を活用した支援プロジェクト。藤井道人監督チーム(テーマ:成長への気づき 志自岐希生監督、林田浩川監督、廣賢一郎監督)、上田慎一郎監督チーム(テーマ:感触 ふくだみゆき監督、中元雄監督、エバンズ未夜子監督)、三島有紀子監督チーム(テーマ:共有 山嵜晋平監督、齋藤栄美監督、加藤拓人監督)と3チームに分かれた12人のクリエイターたちが作品を制作していく。
今回公開されたのは、三島監督チーム4作分の予告映像。三島監督の『よろこびのうた Ode to Joy』から始まり、歩(藤原季節)から「いい仕事あんですけど、一緒にやりませんか?」と東北弁で優しく声をかけられる冬海(富司純子)の姿が描かれ、ベートーヴェンの交響曲第9番「喜びの歌」が高らかと響き渡る中で、2人の人生への不安、そしてよろこびを予感させる映像となっている。
続けて、山嵜晋平監督作品『YEN』。ポラロイドで写真を撮って遊ぶ高校生の夏希(蒔田彩珠)と冬美(中村守里)は「あの子たちほんっとうざい! -300万円!」と嫌いな人に低額をつけて仲良く笑い合うが、ある日、冬美から「帰って」という言葉が。女子高生のきらきらした若さと不安定さが感じられる内容となっている。
齋藤栄美監督作品の『海にそらごと』では、生まれてから一度も会ったことのない母親の真実(中村ゆり)に会いにいったが、その生活ぶりに戸惑いを隠せない海斗(高田万作)が「恥ずかしくないの? 家族捨てて、こんな生活して」と言い放つ。「なんで嘘ついたの?」という海斗のセリフから、2人の関係に秘密があることが感じられる予告となっている。
最後に加藤拓人監督作品『睡眠倶楽部のすすめ』では、「何かを忘れたまま私はここで暮らしている」と透子(前田敦子)が語り始める。透子は、様々なストレスによって眠ることが出来なくなった人々が暮らす、“睡眠倶楽部”で生活している。透子が忘れてしまった大切な何か、そして彼女の行き着く先が気になる映像となっている。
各作品の場面カットも到着し、不安げな表情の歩(藤原季節)と冬海(富司純子)の姿や、ポラロイドを川に流す夏希(蒔田彩珠)と冬美(中村守里)のカット、ぎこちない海斗(高田万作)に愛おしそうに寄り添う真実(中村ゆり)の姿、広い部屋の中でどこかを見上げる透子(前田敦子)のカットなど、の不安や寂しさもありながら温もりも感じられるカットとなっている。
三島監督は、“共有”というテーマについて「2020年から、世界中がこんなに同じことに苦しんだり、悲しんだり、少し喜んだり……同じ問題と気持ちを共有したことってないのではないか、と思いました。ある種、救いがないように思えるこの時期を共有したその先に、私たちは何を共有できるのか、できないのか、共有していきたいのか。ということをあらためて、俳優やスタッフを始めチームの監督達といろいろ話しながら作れたらいいな、と思ったことがテーマにした理由の1つです。チームでは作る時間を共有し、みなさまには作品を観る時間を共有していただければ幸いです。きっと、みなさまそれぞれに、〝共有〟が見つかると願っています」と語っている。
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