マッチングアプリメディア「マッチアップ」編集長の伊藤早紀さん、九州大学の助教で「婚学」を教える佐藤剛史さんという二人の専門家が、先ごろ開催されたオンラインイベント「オンライン婚活の成功法」に登壇した。
同イベントで明かされた「コロナ禍における婚活の現状」「婚活ヅカレを分析して成功に導くヒント」について紹介したい。
コロナ禍の婚活は?
伊藤さんによると、近年の婚活では、マッチングアプリが広く普及しており、2018年の婚姻者数のうち7.4%がマッチングアプリをきっかけに結婚に至っているという。
コロナ禍に入ってからの婚活は、もはやマッチングアプリ一択という状況で、婚活をしている男女での婚活手段として、9割以上の男女がマッチングアプリを利用している。これは、婚活パーティー(男性16.7%、女性17.6%)や合コン・街コン(男性7.8%、女性17.6%)と比較してもダントツに多い。コロナ禍において、人が集まる場所を避けたいため、これまではマッチングアプリを避けていた層も今はユーザーになっていると話す。
マッチングアプリのユーザーでは、「まずはビデオや電話で会話がしたい」と希望している人が4割。まずは実際に会うよりもオンラインから、と考える人も少なくない。これは、コロナ禍の影響も大きいと思われる。
そんな現代の婚活事情だが、なかなかうまくいかず"婚活ヅカレ"に陥ってしまう人も多い。
悩みの傾向としては、男性は「マッチングしない」「メッセージが途切れてしまう」「いいと思う相手と続かない」という理由が多く挙げられているが、女性は「メッセージを返すのが面倒」「不快な人と会った」「どの人に会ってもピンと来ない」という理由が多く、悩みには男女差があることが浮き彫りになっている。
男性はアプローチヅカレ、女性はアプローチされヅカレが大きな傾向としてあるようだ。
婚活ヅカレのパターンを分析
婚活ヅカレについて、マッチングアプリ専門家としての知見から伊藤さんがパターンを分析。大きく4つのパターンが紹介された。
これを受けて、佐藤さんは婚活ヅカレにならない心構えとして「婚活NG五原則」、「婚活の心得五原則」が大切だと話す。
婚活NG五原則
・ネガティブで暗い
・人のせいにする
・言い訳する
・文句ばかり言っている
・笑顔がない
婚活の心得五原則
・素直
・謙虚
・積極的
・明るい
・笑顔(第一印象)
そのうえで、婚活でうまくいかない人の傾向として「相手が悪かった」「主催者がよくなかった」など、人のせいにしてしまいがち。そのような傾向をまとめた「婚活NG五原則」の裏表になっているのが「婚活の心得五原則」。
この原則を意識することが大事だとアドバイスした。
また、婚活を特別なものと考えず、仕事をするような感覚でいることも大切だという。マッチングしてみて、結婚相手としてはピンとこなくても、もしかしたらいい友人になれるかもしれないし、ビジネスの相手になるかもしれない。
それにもかかわらず、今回はダメだ、とシャットアウトしてしまうのは非常にもったいないこと。ひとり一人が大切なお客様として、連絡には締め切りを設けたり、PDCAを意識したりと、仕事をするように婚活するよう、考え方を変えていくべきだと語った。
伊藤さんもこれに同意し、婚活に悩む人には「まず自分のファンを増やしなさい」とアドバイスしているという。その中から1人を選べば結婚であり、出会った相手を選り好みしないこと。好きな人の前でだけ頑張るのではなく、日ごろから相手との時間を楽しむように伝えていると話した。
オンライン婚活を成功させるのは第一印象
続いて、婚活での悩みについて、どう改善していけばいいか佐藤さんが解説した。
まず、1つ目の悩みは「カップルになれない」こと。これには、第一印象を改善するとよいという。
「ありのままの自分を見てほしい」と言う人は非常に多いが、婚活では選んでもらわなければ意味がない。人の第一印象は3秒で決まり、4分で固定化される。最初の3秒で認識されやすい、清潔感のある服装や身だしなみ、メーク、マナーなどを整えることが大切だと言う。
また、人の行動が他人にどのような影響をおよぼすかを数値化した「メラビアンの法則」では、見た目などの視覚情報が55%を占めている。つまり、半分以上は見た目で判断されるということになる。
このことからも、服装など、好印象を持たれるような見た目に整えていくことが重要だとした。中でも、何より大事なのは笑顔。笑顔は、あなたに好意がありますというメッセージでもあるからだ。
さらに、メラビアンの法則によれば、口調や話の速さなどの聴覚情報が38%となっており、話の内容などの言語情報はわずか7%にすぎない。話の内容そのものよりも、話し方や聞き取りやすさを意識したほうがよいことがうかがえる。
オンライン婚活も「コミュニケーションの基本」が大切
次の悩みは「カップルになっても連絡が続かない」こと。ビジネスであれば、連絡やレスポンスはなるべく早く、というのは常識だが、恋愛になると「ガツガツしていると思われたくない」とその常識が覆されてしまっている場合が多い。
そんなことは気にせず、カップルになったらすぐにお礼のメールを送るなど、素早く行動をとる方がよいという。
コミュニケーションの基本は「相手の気持ちをちゃんと受け止めること」。そして「自分の気持ちをちゃんと相手に伝えること」。連絡が続かない人は、メールなどの内容が、あいさつだけ、スタンプだけ、のような気持ちのないものになっていないかも検討してみるといいだろう。
佐藤さんによると、「こんな人とは話したくない」と思う人がよくしてしまっているコミュニケーションとは、「本当に私の話を聞いている?」と思わせてしまう態度だと指摘。
具体的には、話を遮る、否定する、相槌がない、自分の話ばかりする、といった行動が挙げられた。コミュニケーション能力がない、と思い込んでいる人の多くは「自分には”話す力”がない」と思ってしまいがち。だが実際のところは圧倒的に”聞く力”が不足していることがうかがえる。つまり、コミュニケーションが上手な人は聞き上手だそうだ。
オンライン婚活では時間も大切
そして「恋愛関係に発展しない」「結婚に踏み切れない」という障壁に対しては、何より女性も男性も”時間”がもっとも重要な資産であることを考えるべきだとした。
連絡が続いているのであれば、決め手の一言を伝えて恋愛や結婚に進めるべきで、それをしないでズルズルと時間を経過させるのはよくない。
もしダメなのであれば、お互いに早く別の人に行けるようにするのがベストだという。“決め手”は男性から、という風潮もあるが、伊藤さんによれば「女性からアプローチしても全然よい」と話す。それだけでほかの方との差別化にもなるようだ。
コロナ禍での婚活ヅカレに悩んでいる人は、参考にしてみてはいかがだろうか。