カシオ計算機の「PRO TREK(プロトレック)」は、1995年に誕生したアウトドアウオッチのブランドおよび腕時計。2021年までの26年間という歴史は数々のモデルが彩っているが、1999年発売の「PRT-1GPJ」が今回、独立行政法人 国立科学博物館による「2021年度重要科学技術史資料(未来技術遺産)」に登録された。
未来技術遺産は、国立科学博物館が平成20年度から実施している登録制度。「科学技術の発達史上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つ科学技術史資料」、および「国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えた科学技術史資料」の保存と活用を図る――を目的としている。
PRO TREKのPRT-1GPJは「サテライトナビ」の愛称を持ち、PRO TREK最上位モデルとして登場。腕時計として世界で初めてGPS機能を搭載し、当時の主流だったハンディタイプのGPSナビゲーション機器と比較して、大幅な小型化と軽量化を実現した。今回の未来技術遺産への登録も、GPS機能をウオッチにいち早く搭載した点が評価されたものだ。
カシオの製品は過去にも未来技術遺産に登録されており、順に「電子式卓上計算機 カシオミニ」(2008年)、「デジタルカメラ試作機 DC-90」(2009年)、「液晶デジタルカメラ QV-10」(2012年)、「カード型電卓 SL-800」(2013年)、「科学技術用計算機 AL-1」(2014年)、「初代G-SHOCK DW-5000C」(2019年)、「電子キーボード カシオトーン 201」(2020年)。今回のPRT-1GPJは8回目の栄誉だ。
PRT-1GPJは、実機の写真を見ると非常にゴツい時計だが、GPSアンテナの大きさ、バッテリー、磁力の影響(一般的にアンテナ周りは磁化しやすい、つまり性能が劣化しやすい)などを1つ1つクリアしていくと、当時の技術ではこのようなスタイルにならざるを得なかったのだ。GPS機能による現在位置(緯度・経度)の計測だけでなく、目的地を緯度・経度で設定しておくことで、現在地から見た目的地の方向と距離をグラフィック表示する機能や、緯度・経度を記憶する機能も備えていた。
PRO TREKの歴史については、以下のシリーズ連載もぜひ一読いただきたい。少々古い記事だが、PRO TREKの進化は障壁への遭遇と克服の繰り返しだ。
■カシオのアウトドアウオッチ「PRO TREK」、20年の進化を紐解く
第1回 PRO TREK黎明期
第2回 PRO TREK転換期
第3回 PRO TREKアナログ化
第4回 さらなる進化へ - トリプルセンサー Ver.3
第5回 アウトドアウオッチのパイオニアでありトップランナー