「満を持して」という表現を聞いたことはあっても、日常会話では使う機会がないかもしれません。
本記事では満を持しての意味や使い方、類語、対義語までくわしく解説します。さらに、英語での表現も紹介しますので、しっかりと理解して使いこなせるようになりましょう。
「満を持して」とは
「満を持して」は、「満を持す」という動詞に接続助詞の「して」をつけた言葉です。まずは満を持しての正しい読み方や意味、由来などを確認しておきましょう。
「満を持して」の読み方と意味
満を持しては「まんをじして」と読みます。「準備を整えて機会を待つ、事を実行するのに絶好の機会となる」といった意味で使われる言葉です。
「満」というのは、満ちるという意味の言葉ですが、この場合は「弓をいっぱいに引き絞った状態」という意味があるとされています。「持す」には「保つ」という意味があります。ここから「満を持す」で「準備を整えた状態で機会を待つ」という意味になりました。
「満を持して」の由来は?
中国「史記」に書かれている「持満(じまん)」が語源だといわれています。持満は中国語で「弓を引き絞ったまま待機する」ことを意味する言葉で、そこから「十分に準備を整えて待つ」という意味が生まれました。
「満を持して」の使い方・例文
ここでは、「満を持して」の使い方を例文で紹介します。
- 人気ゲームの新キャラクターが満を持して公開された
- 話題になっていたアニメ実写版のキャストが満を持して公開された
- 我が家も満を持して新築を購入した
「満を持して」の類語
満を持して(満を持する)には、似たような意味合いで使われている言葉がいくつかあります。
■機が熟する
「何かを行うため絶好の機会となる」「よい頃合い、適した時期が訪れる」といった意味です。待っていたチャンスが訪れたときに使います。
■時が満ちる
「物事を行うのに最高の状態となる」という意味を表す言葉です。チャンスが訪れるという意味でも使われますし、好機に至った状態を指す意味でも使われます。
「満を持して」の反対語(対義語)
満を持しての対義語として使える言葉はいくつか存在します。
■準備不足
「物事を行うための準備が整っていない」という意味の言葉です。満を持しては準備万端な状態を表すので、反対の言葉になります。
■性急
「気が短くせっかち、物事が早く進む」という意味があります。急ぐという意味合いの言葉なので、準備をしっかりと整えた状態で機会を待つ意味の満を持してとは反対の意味になります。
「満を辞して」「万を持して」の表記は正しい? 誤り?
ネット上などでは、満を持しての誤表記を見かけることがあります。ここで紹介するのは、その誤表記の一部です。間違えて使用しないように、注意しましょう。
■満を辞して
「持して」が「辞して」と書かれていることがあります。別の意味を持つ言葉なのかと勘違いするかもしれませんが、「辞して」は誤字です。ビジネスメールなどで使用するときに変換ミスをしてしまわないように気をつけてください。
■万を持して
こちらも同じく誤字です。語源を考えても「万」ではなく、「弓をいっぱいに引き絞りいつでも射ることができる状態」の意味のある「満」を使うのが正しいです。「万を持して」では意味が伝わらなくなってしまいますので、しっかりと覚えておきましょう。
「満を持して」の英語表現
満を持してをそのまま言い換えた英単語やフレーズはありません。そのため、使いたいシーンや意味合いによって、さまざまな表現を使いわける必要があります。いくつかご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
■ wait with full preparation
「十分準備をして待つ」という意味です。満を持しての「準備を整える」という意味合いを表すにはぴったりなフレーズです。
■ long-awaited
「長く待ち望まれていた、お待ちかね、心待ち」といった意味があります。満を持しても「好機を待つ」という意味がありますので、「待つ」というニュアンスが強いケースで使えるフレーズです。
「満を持して」を使いこなせるようになりましょう
満を持してや「満を持す」という表現は、日常会話の中で登場する回数は少ないかもしれません。しかし、ビジネスシーンなどのさまざまな場面で使える言葉です。
意味をしっかりと理解していれば、使用すべきタイミングもわかるようになります。間違いやすい漢字にも注意して、今よりさらに表現力を高めていきましょう。