第1局は意表の三間飛車を採用した永瀬王座だったが、本局は相掛かりになった
藤井聡太二冠が2連勝で挑戦権を獲得か、それとも永瀬拓矢王座が1勝1敗のタイに持ち込むのか。豊島将之竜王への挑戦権を懸けた第34期竜王戦(主催:読売新聞社)挑戦者決定三番勝負第2局が8月30日に東京・将棋会館で行われています。
8月12日に行われた第1局では、先手の永瀬王座が意表の三間飛車を採用しました。プロデビュー当時の得意戦法とは言え、現在ではほぼ使っていない作戦です。
両者がっちりと穴熊に囲い、飛車・角・歩で攻めをつなげようとします。藤井二冠は飛車を盤上四段目で左右に行ったり来たりさせながら、攻めの糸口を探りました。対する永瀬王座は金を六段目に繰り出し、さらに穴熊の桂を跳ねて押さえ込みを図りました。
中盤で優位に立ったのは藤井二冠。永瀬王座の守備網を飛車角を切って突破し、桂香を拾って穴熊の金銀をはがしていきます。一方の藤井玉は金銀3枚の穴熊にしっかりと守られていて鉄壁です。終盤、永瀬王座も反撃を開始しますが、懐の深い藤井玉に迫ることはできません。最後は藤井二冠が金・銀・と金の小駒の物量で永瀬玉を押し潰して勝利を収めました。
第2局は藤井二冠が先手番。藤井二冠が初手に▲2六歩と突くと、永瀬王座も△8四歩と飛車先の歩を突いて相居飛車の将棋に。その後戦型は相掛かりになっています。
永瀬王座が飛車先の歩を交換したタイミングで、藤井二冠は▲7六歩と角道を開けました。後手の飛車が8筋からずれると、先手には▲8二歩の手段が生じます。ここで永瀬王座は17分の考慮で強く△7六同飛と対応。藤井二冠は狙い通り▲8二歩と打って桂を端に跳ねさせてから、▲9五歩と追撃します。対局開始早々から一気に激しい展開になりました。
8~9筋に傷を抱えた永瀬王座ですが、ここで大怪我を負わずに局面を落ち着かせることができれば、歩得が生きる展開になりそうです。逆に歩損の藤井二冠は、このまま8~9筋から一気に攻め込んでいく展開にしたいところです。
持ち時間が5時間の本局は、本日夜の終局見込みです。