「つつがなくお過ごしでしょうか」など、「つつがなく」という言葉はあらたまったシーンで使われることがあります。なんとなく使い方は想像できるかもしれませんが、意味や語源などを理解した上で使っている人はそう多くはないでしょう。

この記事では、「つつがなく」の意味や語源を解説します。また、類語表現や使い方、英語表現などもまとめました。

  • 「つつがなく」とは

    「つつがなく」の意味や使い方、類語表現などを紹介します

「つつがなく」の意味とは

「つつがなく」とは、あらたまったシーンでよく使われる表現です。「つつがない」という形容詞の連用形で、「過ごす」などにつなげてよく使われます。

「つつがなく」の意味

「つつがなく」とは、「健康に毎日を過ごすこと」「病気や災いもなく、日々を過ごすこと」を意味します。

「つつがなく」の漢字表記と語源

「つつがなく」の漢字表現は「恙無く」です。日本では「つつがない」や「恙無(つつみなし)」などという表現が、古い文献でも用いられています。「恙無」の意味は、「無事であることや健康であること」です。

例えば、8世紀頃の文献である万葉集には、漢字表記は異なりますが「つつみなく」という表現が用いられています。

  • 「つつがなく」とは

    「つつがなく」とは病気や災いがなく日々を過ごせることを意味しています

「つつがなく」の例文・ビジネスでの使い方

「つつがなく」は日常会話では使う機会が少ないため、いざ使おうと思っても戸惑うことがあるでしょう。そこで、「つつがなく」の具体的な使用例を紹介します。

「つつがなく」のビジネスにおける例文

ビジネス会話やメールなどでは、進捗状況を報告するときに「つつがなく」をよく使います。何の問題もなく順調であることを報告する場合に用いる言葉です。

・明日のプレゼンの準備はつつがなく進行しています。
・初めて大きなイベントを担当させていただきましたが、お陰様でつつがなく終えることができました。
・昨年はお世話になりました。つつがなく新年を迎えられましたのも皆様のおかげです。

「つつがなく」は、日本語として古くから使われている言葉ですので、目上の人にも違和感なく使えます。

また、年賀状など新年の挨拶で「つつがなく新年を迎えられました」という言い回しもよく用いられますので、覚えておきましょう。

「つつがなく」の手紙での例文

「つつがなく」は手紙で近況を知らせる場合や相手の近況をたずねる場合によく使われます。下記の例文のように大きなトラブルなく無事であることを表す場合に、活用してください。

・長らくご無沙汰しておりますが、皆様つつがなくお過ごしでしょうか。
・日々寒さが増していきますが、皆様どうかつつがなくお過ごしください。
・こちらはつつがなく暮らしておりますので、心配なさらないでください。

「つつがなく」を使うのにふさわしくないシーンとは

「つつがなく」は順調であることを示す言葉ですが、「つつが」という病気や災いを表す表現が含まれています。そのため、病気や災いについて想像したくないシチュエーションでの使用はふさわしくありません。

例えば、結婚式や葬式、見舞いなどでは「つつがない」という言葉は避けて、「滞りなく」など他の表現を使いましょう。

  • 「つつがなく」の例文

    「つつがなく」はビジネスシーンでもよく使われる表現です

「つつがなく」の類語

「つつがなく」には「滞りなく」以外にもいくつかの類語表現がありますので、覚えておきましょう。

平穏無事に

「平穏無事」は形容動詞「平穏無事だ」の連用形で、「穏やかで変わったことがなく安らかであること」という意味があります。「つつがなく」と似た意味があり、言い換えられる表現です。

・お陰様で今年も平穏無事に過ごせました。
・お陰様で今年もつつがなく過ごせました。

首尾よく

「首尾よく」には「予定や計画に遅れがない様子」という意味があります。仕事の進捗状況に問題ないことを報告する場合に、「つつがなく」と似た意味で使われる表現です。

・プレゼンの準備は首尾よく進んでいます。
・プレゼンの準備はつつがなく進んでいます。

順調に

「順調に」は形容動詞「順調だ」の連用形で、「物ごとが調子よく進むこと」「滞りなくはかどること」という意味がある言葉です。仕事の進行を報告する場合、「つつがなく」を言い換えるときに使えます。

・お陰様で順調にイベントの準備を終えることができました。
・お陰様でつつがなくイベントの準備を終えることができました。

お変わりなく

「お変わりなく」は「争いや不幸ごと、病気などなく、穏やかな暮らしをする様子」という意味があります。手紙で「つつがなく」を使う場合に「お変わりなく」に言い換えても問題ありません。

・ご無沙汰しておりますが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。
・ご無沙汰しておりますが、皆様つつがなくお過ごしでしょうか。

お元気に

「お元気に」も「争いや不幸ごと、病気などなく、穏やかな暮らしをする様子」を意味する表現です。手紙などで「つつがなく」を使う場合、「お元気に」に言い換えられます。

・皆様どうかお元気にお過ごしください。
・皆様どうかつつがなくお過ごしください。

  • 「つつがなく」の類語

    「つつがなく」の類語表現は「首尾よく」などさまざま表現があります

「つつがなく」の英語表現

ビジネスなどで英語を使う機会があるなら、「つつがなく」の英語表現も確認していきましょう。

in perfect order

・Preparations for the event are going in perfect order.(明日のイベントの準備はつつがなく進んでいる)

「in perfect order」は「完全に」「完璧に」などの意味がある英語表現です。仕事の進捗状況に問題がないことを表す場合に、用いられることがあります。

in safety

・She has arrived in safety.(彼女はつつがなく到着した)

「in safety」は「つつがなく」の英語表現のひとつです。「安全に」というニュアンスが含まれていますので、危険を伴う行動に対して使われます。

well

・All my family are well.(家族はみんなつつがなく過ごしています)

「well」は「申し分なく」「よく」などの意味がある英単語です。手紙で近況を伝えたりた尋ねたりする場合によく使われます。

  • 「つつがなく」の英語表現

    「つつがなく」の英語表現は状況によって使うべき表現が異なります

「つつがなく」の意味は「問題がないこと」

「つつがなく」とは、「病気などがなく無事であること」や「問題とする点などがなく物ごとが順調なこと」などを意味する言葉です。漢字で書くと「恙無く」で、日本において古くから使われていました。現代では、「つつがなく」は手紙で相手の状態をたずねる場合や、ビジネスシーンなどで使われることがあります。

「平穏無事に」や「滞りなく」など、類義語も多いですので、状況に合わせて使い分けてください。

「つつがなく」はビジネスで使える表現ですので、覚えておくと便利です。この記事で紹介した意味や使い方などを参考に活用してみましょう。