「大丈夫です」は口語表現としてよく浸透していますが、肯定の意味でも否定の意味でも使われるため、意味が伝わりにくい面がある言葉です。ビジネスで使う場合、相手に誤解を招いてしまうこともありますので、別の言葉に言い換えるのが望ましいでしょう。
この記事では、「大丈夫です」にはどのような意味があるのか、ビジネスシーンでの言い換え例や使い方、英語表現などを紹介します。
「大丈夫です」とは
何かを問いかけたときに、若者を中心に「大丈夫です」と返答する人が増えています。しかし「大丈夫」は肯定の意味でも否定の意味でも使われており、意味があやふやです。
例えば、「体調がいいです」という意味で「大丈夫です」と答えることもあれば、「必要ありません」という意味で「大丈夫です」と答えることもあります。
どのような意味で「大丈夫です」と答えているのかは前後の文脈から推測しなければならず、少しわかりにくい表現です。
「大丈夫」の意味
「大丈夫」には、下記のような意味があります。
・危なげなくしっかりしている様子
・間違いがなく確かである様子
このように、本来「大丈夫」という言葉はポジティブな意味で使われる表現です。相手の提案を否定する場合に用いる「大丈夫です」のようにネガティブな意味として用いられる表現ではありません。
つまり現代において「大丈夫です」は、本来の意味とは異なる意味で使われています。
ビジネスシーンにはふさわしくない
「大丈夫です」という言葉は、肯定と否定どちらの意味でも使われるため、場合によっては受け手がどちらの意味かわからないこともあります。誤解を招いてしまう原因となるため、ビジネスシーンで使うのはなるべく避ける方がいいでしょう。
「大丈夫」のもともとの意味
日本において「大丈夫」という表現は、13世紀頃の書物にはすでに登場していました。しかし、現在の使い方とは少し異なり、「立派な男子」という意味でした。
そこから意味が変化していき、「極めて丈夫である様子」という現在の使い方になったと言われています。
「大丈夫です」の言い換え表現
「大丈夫です」という表現には丁寧語の「です」が付いているものの、敬語とは言いがたい表現です。内容のあやふやさもあって、ビジネスシーンにはふさわしくありません。
そこで、「大丈夫です」を言い換えられる、ビジネスシーンにふさわしい表現を見ていきましょう。
肯定の意味で使う場合
「大丈夫です」を肯定の返事として「大丈夫です」を使いたい場合は、否定の意味と誤解されないよう下記のような表現に言い換えましょう。
・問題ありません
・問題ございません
・かしこまりました
否定の意味で使う場合
「大丈夫です」を否定の言葉として用いる場合、ビジネスシーンでは下記のような表現に言い換えるのが適切です。
・いいえ結構です
・お気遣いなく
・必要ありません
・出席できません
・できません
「結構です」を使うのが適切でない場合もある
断る場合に「結構です」はよく使われる表現ですが、「大丈夫です」と同様誤解されてしまうことがあります。なぜなら「結構です」は肯定の意味で使われることもあるからです。そのため「はい」や「いいえ」など、どちらの意味で使っているのかがわかるよう、他の言葉と組み合わせるのが良いでしょう。
また断る場合の「結構です」は、相手にきつい印象を与えてしまう可能性がある表現です。ビジネスシーンにおいては、「辞退させていただきます」「見送らせていただきます」など、柔らかい表現に言い換えるとよいでしょう。
「大丈夫ですか」も言い換える方が望ましい
ビジネスシーンでは相手に「大丈夫ですか」を使って尋ねたい場合、下記のような言葉に言い換えるのが適切です。
・よろしいでしょうか
・問題ございませんでしょうか
何を聞きたいのかがはっきり分かる言葉を付け加えれば、より伝わりやすいでしょう。
「大丈夫です」のビジネスシーン別言い換え例
ビジネスシーンで「大丈夫です」を使うと、相手に稚拙な印象を与えてしまうことがあります。そこで、ビジネスシーンで「大丈夫です」をどう言い換えればいいのか、具体例を見ていきましょう。
都合や日程を尋ねられて問題ないことを伝えたい場合
ミーティングや社内の会合などへ参加できるか尋ねられ、参加の意志や問題ないということを伝えたい場合、下記のような言い回しで返事しましょう。
・ご提示いただいた日程で問題ありません
・はい、その日程で結構です
・よろこんで参加させていただきます
・かしこまりました。ご提示いただいた日程で調整させていただきます
できるかどうかを尋ねられてできると答えたい場合
できるかどうかたずねられて「大丈夫です」と返答すると、肯定なのか否定なのかが伝わりにくいです。下記のような言い回しに変えて、自分の意志を伝えられるようにしましょう。
・ご提示いただいた内容で問題ありません
・かしこまりました。早速着手させていただきます
・ぜひ担当させてください
・問題ございません
商品やサービスを勧められて断る場合
商品やサービスを勧められて断る場合に「大丈夫です」と伝えてしまうと、肯定の意味だと誤解されてしまうことがあります。下記のような表現に言い換えましょう。
・今回は結構です。お気持ちだけいただきます
・(購入を勧められて)申し訳ありませんが、今回は購入できません
・(購入を勧められて)この商品は必要ありません
・(会合への参加を誘われて)残念ながら今回は出席できません
・今回は見送らせていただきます
・残念ながら辞退させていただきます
謝罪された場合
相手から謝罪された返答として適切な返答がわからず、「大丈夫です」と言ってしまうことがあります。しかし、ビジネスシーンでは適切ではありませんので、下記のような返答に言い換えましょう。
・どうかお気になさらないでください
・ご丁寧にありがとうございます。どうかお気遣いなさらないようお願い申し上げます
「大丈夫です」の英語表現
「大丈夫です」の英語表現を紹介します。肯定の意味と否定の意味とでは、使う表現も異なるのでそれぞれ覚えておきましょう。
肯定の返事をする場合
「大丈夫です」を肯定の意味として使う場合、英語では「問題ありません」「OKです」など、返答の内容によって表現を調整してください。
・no problem
・sure
・It's all right
・That's fine with me
・It's OK
否定の返事をする場合
否定の意味で「大丈夫です」を使う場合、否定の言葉である「no」や「not」を、場合によっては必要であることを表す「need」や「necessary」と組み合わせると、うまく伝わります。
・No thank you
・It is not necessary
・I won't need that
「大丈夫です」はあやふやな表現! ビジネスシーンでは他の言葉に言い換えましょう
「大丈夫です」という表現は肯定の返事としても否定の返事としても使われることがあります。内容があやふやで伝わりにくいため、ビジネスシーンでの使用は避けておくのがいいでしょう。
肯定の返事をする場合は「問題ありません」「かしこまりました」など、否定の返事では「必要ありません」「お気持ちだけいただきます」などに言い換えられます。しかし、状況によっては適切でない表現もあるので注意しましょう。