現在上演されている、DISCOVER WORLD THEATRE vol.11『ウェンディ&ピーターパン』の取材会が7月下旬に行われ、女優の黒木華が取材に応じた。
同作はイギリス・スコットランドの作家、ジェームス・マシュー・バリーが20世紀初頭に書いた世界的傑作『ピーターパン』の小説版を、ロンドンで注目の若手作家であり演出家でもあるエラ・ヒクソンが新たにウェンディの視点から翻案した作品。2013年に英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの新作公演『WENDY&PETER PAN』として上演された。台詞に加えてダンス、フライングや、小道具、美術、映像などを駆使した“フィジカルシアター”のスタイルと、スペクタクルとマジカル満載の美しい舞台が話題となり、2015年にはウエストエンドでの再演も果たした。
ウェンディという誰もが知っている役を演じることになった黒木は、フライングにも初挑戦で「飛びながらのお芝居はしたことがなかったので、大変ではありますが、楽しいです」と明かす。ダブル主演となる中島については「お芝居から、とても真面目で素直な方だなというのを感じます。身体能力がすごく高くて、殺陣やフライングも全部一発で覚えちゃう。ピーターパンにピッタリだと思います」と絶賛。フック/ミスター・ダーリング役の堤真一については「今までにも何度かご一緒させていただいているので、安心感があります。子どもたちとのやりとりもとても自然で、すごくユーモアのある方で、違和感なく父娘の関係が築けているように思います。立ち回りも経験が豊富な方なので、教えてもらっています」と信頼を表した。
今回はウェンディの視点から新たな『ピーターパン』を届ける物語ということで、黒木は「ウェンディは、家族に大きな影響を与える存在だと感じています。壊れかけた家族を自分がなんとかしないといけないと思っている」と語る。ウェンディの母親についても描かれ、「母親であると同時に自分が社会の中でどう生きていくかを模索しています。これまでの『ピーターパン』にはなかったシーンです」と原作との違いも。
もともと『ピーターパン』についてはディズニーのイメージが強く「タイツを履いた少年が空を飛んでいる、みたいなイメージで、夢の世界に誘われる子供のための物語」という印象だったが、「今回エラさんが女性の社会的な立場や成長に注目していて、作中の女性に対するイメージに疑問を持って描かれた作品になっています。そういう部分が日本ではどのように伝わるか興味があります」と観客の反応が気になる様子。一方で、中島演じるピーターについては「タイツは履いてませんよ!」と断言していた。
ピーターについては「ウェンディの想像の中の登場人物なのかなと思います。ウェンディが思う理想のヒーローであり、目の前に現れてほしい人物の象徴なのかなと。ジョナサンから『フックもウェンディが想像する、魅力的でちょっと危ない大人の男性のイメージ』だと聞いて、新たな発見でした」と明かす。「ピーターは、自分を助けてくれる理想の男の子なのかな。強くてアグレッシブで怖いものなしだけど、センシティブな一面もある、すごく魅力的な男の子だと思います」と、その魅力を分析した。
同作は東京・Bunkamuraオーチャードホールにて9月5日まで上演される。