電通は2021年8月、「カーボンニュートラルに関する生活者調査」の結果を発表した。同調査は6月9~10日、全国10~70代の男女計1,400人を対象に、インターネットで実施した。
昨今、脱炭素社会を実現するための考え方として、「カーボンニュートラル(炭素中立: 生産・活動によって排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ量で相殺されている(中立)状態)」への関心が高まっている。世界的に持続可能な社会へ向けた取り組みが加速する中、日本においても、2050年にカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことが宣言された。
「カーボンニュートラル」について知っているか尋ねたところ、「内容まで知っている」または「内容までは知らないが、言葉だけは知っている」の合計は42.8%だった。「内容まで含めて知っている」は11.8%にとどまり、内容理解の浸透に課題があることがわかった。
「カーボンニュートラル」の実現に向け、取り組んでいくことは必要だと思うか聞くと、73.8%が「感じている」と答えた。前回調査からスコアに大きな変化は見られなかった。
「2030年度温室効果ガスを46%削減することを目指すことを政府が表明したこと」を知っているか尋ねたところ、53%が「知っている」と答えた。「4月の気候変動サミットにおいて「脱炭素」が議題となったこと」は40%、その他の政策情報の認知は約3割にとどまった。
「パリ協定」に関する内容は認知されている傾向がみられるが、国が「グリーン成長戦略」を発表したことの認知は約4割にとどまり、14の重点分野が設定されたことの認知は更に低かった。
14の重点分野のうち、「自動車の脱炭素化・蓄電池技術の実現」「資源循環型社会の実現」の取り組みに対してはやや認知されているが、現状では14の重点分野の取り組みに関する認知は低い傾向は前回調査から変わっていないことがわかった。
「脱炭素」と「カーボンニュートラル」に取り組んでいる企業と、今後積極的に取り組んでほしいと思う企業について尋ねた。取り組んでいることがよく知られ、今後への期待も高い業種は、「自動車」の他、「電気機器」「エネルギー(電力・石油)」「運輸(鉄道・空運・陸運)」などが挙がっている。「通信」「食品」「小売業」は低い傾向にあった。
2050年のカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて、国・自治体や企業・団体などがさまざまな取り組みを行っていく上で、関連する衣食住や移動などにおける追加の費用負担は、月いくらくらいまでであれば、上乗せされることが許容できるか尋ねた。追加でのコストが許容できるのは「電気代」 「ガス代」「水道代」などライフラインの割合が高い。一方「医療費」「保険代」「通信費」などの許容度は低かった。
次は、カーボンニュートラルの実現に取り組む企業への投資意向を持つ個人投資家に、投資判断を行なう上で重視するポイントについても聞いた。その結果、カーボンニュートラルに関心が高い個人投資家は、投資判断において、企業の情報開示・PRを前提として、開発・製造・輸送・販売にわたるサプライチェーン全体での企業の取り組みを重視していることがわかった。