「その節は」は、日常生活だけではなくビジネスでもよく使われますが、正確な意味を理解している人は少ないでしょう。
本記事では「その節は」の詳しい意味や読み方、使い方と具体的な例文を紹介。注意点や言い換え、英語表現もまとめました。
「その節は」の意味と読み方とは
「その節は」とは過去のことを話すときに使うフレーズです。「あの時」「この前」などと言い換えることができる言葉ですが、他の表現と比べて丁寧な印象を与えることができます。
使用できるのは、過去において、話し手と聞き手に接点があった場合に限られます。ビジネスシーンにおいては、過去に仕事をしたクライアントやサービスを利用してもらった顧客相手に使える便利な言葉です。
「その節は」は「そのせつは」と読みます。
「その節は」を使う際の注意点
「その節は」を使用する際には注意が必要です。この言葉は部下に使ったり、現在のことに対して使ったりすることはできません。取引先など敬意を示す対象に向けて、過去のことを話す場合に使いましょう。
・その節はお世話になりました。
・その節はご迷惑をおかけしました。
過去の出来事に関してであれば、「その節は」の後にさまざまなフレーズを続けることができます。積極的に使ってみましょう。
「その節は」が、未来形として機能している例外もあるので紹介します。
その節はよろしくお願いいたします。
こちらもよく耳にする言葉だと思います。しかし、「その節は」は基本的に過去のことに対して使うフレーズだと認識しておきましょう。
「その節は」の使い方と例文
「その節は」の用法を把握し、例文をフォーマットとして記憶できればさまざまな場面で応用できます。感謝や謝罪を伝えるときに「その節は」をあわせて使うと便利なので、覚えておきましょう。
感謝の言葉のクッション言葉として(「その節はありがとうございました」など)
感謝の言葉を伝える前のクッション言葉として「その節は」は効果的です。急に「ありがとうございました」と言われた人は、何に対して感謝されているのかすぐに把握できない場合があります。
そのため前置きとして活用して「その節はありがとうございました」などとすると、相手に感謝を伝えやすくなるでしょう。たくさんの言い回しができるので、表現をストックしていくと便利です。
謝罪の言葉のクッション言葉として(「その節は申し訳ありませんでした」など)
感謝と同様に、いきなり「申し訳ありませんでした」といっても相手にうまく伝わらないケースがあります。そのため謝罪においても「その節は」をクッション言葉として使うと効果を発揮します。
過去に起きたことに対して、丁寧に謝罪を表したい場合に使いやすいフレーズです。
円滑なコミュニケーションに(「その節はお世話になりました」「その節はどうも」など)
ビジネスシーンでは、同僚や取引先に感謝を伝える機会が多くあります。そのような場面で、クッション言葉として「その節は」を使って感謝の気持ちを伝えると、仕事をスムーズに進められるかもしれません。
・その節はお世話になりました。
・その節はどうも。
・その節はお心遣いありがとうございました。
本題に入る前に感謝を伝えることで、場の緊張感が和らぎコミュニケーションをとりやすくなるでしょう。
謝罪する場合にも、単に「申し訳ありませんでした」と伝えるとややぶっきらぼうな印象になってしまいます。しかし、以下のように表現すれば「申し訳ない」という気持ちがより伝わりやすくなるでしょう。もちろん態度で示すことが最重要ですが、少し言葉を言い換えるだけでも効果は期待できます。
その節は申し訳ございませんでした。
「その節は」は前置きのフレーズとして優秀です。言葉を添えるだけで印象が大きく変わるため、試してみてください。
ビジネスメールでも使える
「その節は」は、ビジネスメールでも効果を発揮します。このフレーズをメール文に加えると、淡泊な印象を抑えられるでしょう。
しかしビジネスメールの場合は感情が見えにくいため、より丁寧な表現をしたほうが好ましいです。以下に例文を紹介します。
・その節は大変お世話になりました。
・その節は誠にありがとうございました。
・その節は大変勉強になりました。
直接の会話に「大変」や「誠に」などをプラスして丁寧さを強調することで、より相手に気持ちが伝わりやすくなります。メールでは、何度も書き直しができるので慎重に作成してみてください。
「その節は」の類語と違い・使い分け
「その節は」のいくつか類語があります。しかし、時制によって類語も異なるので注意が必要です。間違った使い方をしないように、使い分けの方法についても把握しておきましょう。
「その際は」は未来の事柄に
「その節は」は基本的に過去の出来事について用いますが、先述したとおり、「その節はよろしくお願いいたします。」といった未来の出来事に対して使われる場合もあります。このケースでは「その際は」が類語として使用可能です。
「その際は」は未来のことを話す場合に便利な表現なので覚えておきましょう。
・その際はよろしくお願いします。
・その際はぜひ当社にお越しください。
・その際にはご連絡いただけますと幸いです。
「先般は」は過去の事柄に
「先般」は、過去に起きたことについて使えるフレーズです。そのため、「その節は」の基本的な意味である、過去の出来事を踏まえた意味での言い換え表現として活用できます。ただし、何十年も前のことに対して使うのは不自然なので「数か月前」くらいの近い過去のことを話すときに使うようにしましょう。
・先般はありがとうございました。
・先般はお気遣いありがとうございました。
「その折は」は未来と過去の事柄に
「その折」は、「そのとき」を意味しており、ビジネス会話やメールでも使用できます。未来の意味にも過去の意味にも使うことができる言葉です。「その節は」は比較的近い過去を示しますが、「その折」は遠い過去のことに使います。
・その折は大変助かりました。
・その折に説明いたします。
「その節は」の英語表現
英語で「その節は」を意味する表現を紹介します。
「その節は」は、英語で表すと以下のようになります。
- on that occasion
- at that time
- then
これらは「そのとき」を意味する英語表現です。ほかにも、言い換え可能な表現は多数あるので確認してみましょう。
「その節はお世話になりました」の英語表現
感謝を表現する英語もいろいろあります。「その節はお世話になりました」を意味する英文は以下の通りです。
・Thank you for all your help on that occasion.
・Thank you for your kindness on that occasion.
・Thank you very much for all your help at that time.
「その節はご迷惑をおかけしました」の英語表現
謝罪の場面でも「その節は」は使われます。そこで「その節はご迷惑をおかけしました」の英語表現も押さえておきましょう。
・ I am sorry to have troubled you on that occasion.
・ I'm sorry for troubling you at that time.
「その節は」はビジネスで使える便利な言葉
「その節は」は、あらゆる場面で使える便利な表現です。ビジネス会話にもメールにも使用できますので、日頃から積極的に使ってみましょう。使っていく中で、適切な使い方がわかってきます。
例文を覚えて、さまざまな場面で活用してみてください。