「さぞかし」という言葉を使ったことはありますか? 普段あまり使う機会はないかもしれませんが、知っておくと会話やメールで表現の幅を広げることができます。
この記事では「さぞかし」の意味や使い方を例文とともに解説します。また、類語や英語表現もまとめたので参考にしてみてください。
「さぞかし」の意味と漢字
「さぞかし」は、日常生活だけではなく、ビジネスシーンでも使える非常に便利な言葉です。しかし、場合によっては、皮肉に聞こえてしまう表現でもあります。普段はなんとなく使っている人も意味を正しく把握し、相手に誤解を与えない使い方ができるようにしておきしょう。
「さぞかし」とは
「さぞかし」とは、「きっとそのような状態に違いない」という意味の表現です。まだ経験していないことへの推量や他人への共感表現として使えます。「きっと」や「さだめて」といった言い方とほとんど同じです。「きっと」という言葉を多用している人は、言い換え表現として「さぞかし」を使ってみましょう。
また、「さぞかし」は、古語として古くから日本にある言葉で、古文でも使われています。
「さぞ」と「かし」の意味
「さぞかし」は昔の言葉で、副詞の「さぞ」と終助詞の「かし」を組み合わせた表現です。
「さぞ」は、推量の表現に伴って使われます。「さぞうれしかっただろう」や「さぞ楽しかったに違いない」などのように、未来のことに対する推量表現で使う方法が主流です。
「かし」は、終助詞といい強調した表現ができます。聞き手に対して念を押す使い方が可能です。
漢字は「嘸かし」
「さぞかし」は漢字で書くと、「嘸かし」となり、やや難しい印象があります。「嘸」は、音読みすると「ブ・ム」ですが、訓読みすると「さぞ」です。
漢字で表現する機会はほとんどありませんが、念のため覚えておきましょう。
「さぞかし」の使い方と例文
「さぞかし」はやや古めかしい印象はありますが、使えるようになると差別化が図れるというメリットがあります。ビジネスシーンで使えるよう、用法や例文を覚えておきましょう。
推量
「さぞかし」は、以下のような推量表現に伴って使われるケースがほとんどです。文章で使いやすい表現なので覚えておくと便利でしょう。
- さぞかし……だろう
- さぞかし……に違いない
- さぞかし……であったでしょう
- さぞかし……したことでしょう
皮肉表現に注意
「さぞかし」は相手への共感を示すフレーズではありますが、使い方を間違えると皮肉に聞こえてしまう恐れがあります。 前後の文脈によって、意味が左右される言葉ですので、使い方には注意しましょう。
皮肉に聞こえてしまう可能性がある使い方を、例文で紹介します。
・さぞかし楽しかったでしょう。
・さぞかし悔しかったに違いない。
・さぞかし大変だったでしょう。
・さぞ悲しかっただろう。
相手の感情への共感を示す場合に、皮肉と捉えられてしまう可能性が出てくるので注意が必要です。
会話
「さぞかし」は敬語表現ではないですが、目上の相手にも使いやすい言い回しです。ビジネスの現場では、上司やクライアント相手にも使うことができますが、皮肉を言っているように思われないよう、使うときには細心の注意を払いましょう。
「さぞかし」は、会話文では推量や相手の共感を示す文章に使えます。いろいろな意味合いのフレーズを覚えておきましょう。
・まさか彼が社長になるなんて、さぞかし驚いたことでしょう。
・焦っているなんて、さぞかし時間に余裕がないのでしょう。
・海外に駐在するなんて、さぞかし大変に違いない。
・大病を患っているのに、仕事を続けなければいけない状況はさぞかし辛いことでしょう。
・会社内でMVP賞を獲得したなんて、さぞかし喜ばれたことでしょう。
メール
ビジネスメールでは、相手をいたわるような文章で使用すると、よい印象を与えられます。 メールで使用する場合も、前後の文章との文脈を確認し、皮肉を言っているようにとられない例文を参考に注意して使いましょう。
・皆様におかれましては、さぞかしご心配されたことと存じます。
・皆様におかれましては、さぞかしご心労のことと拝察申し上げます。
・ご家族の皆様におかれましては、さぞかしご無念のことと存じます。
・お若い頃に、さぞかしご苦労されたことと存じます。
「さぞかし」の類語表現
「さぞかし」は推量の文章に伴って使われるフレーズなので、同じような意味を持つ言葉に言い換え可能です。ここでは、「さぞかし」の類語表現を紹介します。
どんなにか
「どんなにか」は推量の文章に伴って使われる表現で、他の人の経験について共感する姿勢を示すときに使える言葉です。 ただ「さぞかし」よりも堅苦しい言い方になるので、あまり使う機会はないかもしれません。
・私たちのプレゼンが成功すれば、これまでの努力がどんなにか報われることだろう。
・正社員が一人だけだなんて、どんなにか忙しい日々を送ったことだろう。
さぞ
そもそも「さぞかし」は「さぞ」の強調表現なので、さぞ単体でも使えます。「さぞかし」 が使いづらい場面や文章では、「さぞ」を代わりに使うと自然な表現になるかもしれません。
・遅くまで残業していたなんて、さぞ疲れたことでしょう。
・貴社の発表を拝見しました。さぞご尽力されたことと存じます。
・弊社の手続きが大幅に遅れてしまい申し訳ありません。さぞご迷惑をおかけしたことと存じます。
・彼がこんなにも大きな成果を出したなんて、さぞ上長も喜ばれたことでしょう。
「さぞかし」の英語表現
「さぞかし」は、推量に伴う表現として使われます。英会話でも、推量の表現は使う頻度が高いです。 目にする機会も多いので覚えておきましょう。
must
「must」は「違いない」という意味合いで使われます。また、「must have 過去分詞形」のように助動詞と完了系を混ぜた過去推量の表現で使える便利な助動詞です。
「must」を推量表現で使う際は、ほかの推量表現よりも強い表現となるので、「だろう」よりは「違いない」という意味合いになります。使う際は、「must be 形容詞」の形で用います。
・He must be very tired.(彼はとても疲れているに違いない)
・You must know it.(あなたはそれを知っているに違いない)
・They must not be famous team.(彼らは有名なチームのはずがない)
さらに、「must」を過去推量で使う場合は、「したに違いない」という表現になります。過去のことを確信的に話したい場合に効果的な表現です。使用する際は「must have 過去分詞形」といった形になります。
・She must have worked overtime.(彼女は残業していたに違いない)
・I must have called the wrong number.(私は違う番号に電話したに違いない)
・He must have been disappointed.(彼はがっかりしたに違いない)
皮肉な意味にならないよう「さぞかし」を上手に使いこなそう
「さぞかし」は、さまざまな推量表現に使える便利なフレーズです。使用する場合には、皮肉に聞こえないように注意しましょう。
上司やクライアントに対しても使いやすい言い回しなので、ビジネスシーンや日常で役立ちます。この記事を参考にして、日常で役立たせてみてくださいね。